有明海の中央西岸に位置する諫早湾は国の主導による干拓が進められ、一時期環境への影響が懸念されるなど話題となりました。紆余曲折はありましたが、現在は諫早湾は堤防によって締め切られていて、その堤防沿いに諫早湾干拓堤防道路、通称「雲仙多良シーライン」という名の道路が2007年に開通しています。
この「雲仙多良シーライン」は、諫早湾のど真ん中を縦断し、諫早市と対岸の雲仙市を一直線の最短距離で結ぶ爽快なドライブルートなのです。
写真:bow
地図を見る諫早湾の堤防が閉め切られたのは1997年。その際に次々と落とされる防潮堤の姿が”ギロチン”さながらの映像としてニュースでも度々取り上げられていたので、その姿を覚えている方も多いことでしょう。この”ギロチン”のイメージが強すぎたのか、「雲仙多良シーライン」は「ギロチンロード」と呼ばれることも。
今でもその”ギロチン”の名残である水門を「雲仙多良シーライン」の北岸南岸にそれぞれ見ることができます。正確には排水門と呼ばれており、仕切りの開閉により諫早湾内側の水位を調節する機能があるそうです。
写真:bow
地図を見る諫早湾を干拓するために造られた潮受堤防の上を走る「雲仙多良シーライン」は全長約8kmにも及ぶ海を渡る道路。ずーっと真直ぐに伸びた道は2車線ではありますが、交通量も少なく快適なドライブルート。
その中央部分には広々としたパーキングスペースの休憩所が設けられています。ここには展望所や、遊歩道も整備されていて、眺望を楽しむことができますので立ち寄ってみましょう。一番のビューポイントは歩道橋の上!雲仙市方面を眺めれば雲仙普賢岳を、諫早市方面を眺めれば多良岳を望むことができる絶景ポイントになっています。また、遊歩道からは有明海の対岸にある熊本県を望むこともできます。
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地図を見るそもそも諫早湾の干拓事業が動き始めたのはまだコメ不足・食糧難という言葉があった1952年、当時の長崎県知事が発案したのが発端。ところが工事が実際に着工となったのは1989年、もはやコメ不足どころか減反政策により米の生産調整がされるような時代。公共事業が一度動き出すと止めるのが困難であることは全国各地の案件をみても明らか。
当然、干拓事業により恩恵を受けている人も多く、高潮などの災害から地域を守るという大きな役割を担っているのは休憩所にある干拓事業の説明を見ればよくわかります。しかし、諫早湾の生態系の変化などを受け、漁業者など被害を受けている人がいるのも確かなのです。
旅行者たる身では、この地に生きる人たちの苦悩はわかりませんが、この「雲仙多良シーライン」を通るのならば少しだけでも何かを感じ、また考えてみてもいいのではないでしょうか。
佐賀県方面から雲仙方面へと旅行するならば、かなり便利なショートカットルートにもなる「雲仙多良シーライン」は8kmにも及ぶ道路ですが、通行は無料。とにかく走りながら見えてくる雲仙普賢岳や多良岳の眺望は素晴らしいものがあります。また、夕暮れ時の情景も最高です。ぜひドライブルートに盛り込んでみてください!高速道路経由であれば、長崎自動車道「諫早IC」を下車後約30分です。
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この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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(2025/2/11更新)
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