写真:たぐち ひろみ
地図を見るポーランド北部の港町グダニスクから車で小1時間。都市部を抜け、森の一本道をひたすら走って、草原に抜けたところにあるクロコヴァの村。その中心にそびえる格式ある館が「クロコヴァ城(Zamek Krokowa)」です。ここは、もう5kmも北上すればバルト海沿岸に突き当たる、ポーランドでも北辺の地帯。広大な森に覆われ、そこかしこに小さな湖がちらばる自然豊かなエリアです。
そんな田舎にひっそりと佇むクロコヴァ城は、13世紀以前から続く由緒ある貴族クロコヴスキー(Krokowski)、後のフォンクロクフ(von Krockow)家由来の館。もともとは城壁に囲まれた要塞色の強いお城でしたが、17世紀後半以降、改築と造園を重ねて、住むことを目的とした居城に生まれ変わりました。その後もさらに改築が続き、現在のような外観を呈するようになったのは19世紀の末頃です。
1990年、この由緒あるお城がいよいよホテルとして営業を開始。以来、珠玉の古城ホテル&レストランとして訪問客をもてなしていますが、観光地から離れた田舎にあるため、日本人にはほとんど知られていません。だからこそ、わざわざ来てみたい隠れ家的なホテルなのです。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るホテルに到着すると、まずその敷地の広さに驚かされることでしょう。本館の周囲を巡る水堀の外側には、小さな幾何学式庭園や並木道があり、さらにその先には森、池、野原が続きます。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るあまりに広大な庭園、はたして一体どこまでがホテルの敷地なのかは、ちょっと歩いたくらいでは見当もつきません。実際ホテルでは、この敷地を「庭園」ではなく、「公園」と呼んでいるほど。ゆっくり時間をかけて散策して、豊かな自然を目で楽しんで、ほっと一息ついてみる。そんな、なんでもない時間を過ごすのにぴったりな美しい庭園です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るホテルの本館は、19世紀に建てられた3階建の古い木造建築。ネオゴシック様式の内装、土地の名産・琥珀をふんだんにあしらったインテリアなど、ポーランド貴族の館らしい重厚で格調ある建物です。
レセプション、ラウンジ、レストランのある1階に対し、2階と3階、その上の屋根裏階は客室専用。シングル5室、ダブル15室、スイート5室の計20室があります。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る敷地内には他に別館(写真)が建てられていて、こちらはシングル・ダブル合わせて14室。近代的な建物、機能的な内装と抑えた料金で、主に長期滞在者向きです。
本館2階にはさらに広間や大広間があり、会議や結婚式のレセプションなどに使用されています。また、夏期にはポーランド内外のミュージシャン、ヴォーカリストによるコンサートや、子供のためのイベントも開催。多くのゲストが集って賑わいます。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る古城ホテルに泊まるからには、やはり歴史ある本館に泊まってみたいもの。写真はその本館3FにあるA20号室です。32平米のスイートルームで、リビングエリアと寝室エリアを分けるように、太い梁が渡されているのがフォークロア調で印象的。グレイッシュブルーと淡いピンクの落ち着いた色調と小花模様のあしらわれた内装はまた、ちょっとメルヘンで女性好みです。
こんなかわいらしい部屋で、ひばり、かっこう、羊の鳴き声に目覚める朝は、何ものにも代えがたい貴重な時間。窓から眺める朝日も、いつもと違って見えるから不思議です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るところで、バスルームはスペースこそ広いものの、設備はとても質素。簡易シャワー&バスタブと洗面台だけ、アメニティーもシャンプーとソープのみという、かなりのあっさり感です。ただ、ポーランドでは超高級ホテルを除いてどこも同様なので、これが一般的なのかもしれません。
そしてもう1つポーランドらしいのが宿泊料金。この広さ+朝食付きが、2名でわずか490ズウォチ(約12,500円)〜という安さです! 物価の安いポーランドならではの、うれしい特典といえます。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る「クロコヴァ城」のもうひとつのおすすめはレストラン。ランチとディナーで営業しているこのホテルレストランは地元客にも人気で、ちょっとおしゃれした家族連れなどでいつも賑わっています。料理の種類もなかなか豊富。この地方の伝統料理やポーランドの代表的料理、はてはベジタリアンメニューまで、多種多様な品々がメニューに並んでいます。
海が近いことから、中でもイチオシなのが地元産の魚料理。例えば、バルト海産ヒラメのソテーは手頃な値段ながら、手抜きのないおいしさ! キャンドルのほのかな灯りの下、ワイングラスを傾けつつ、上質な料理をゆっくり味わえるなんて、これぞ至福のひとときと言わなくて何でしょう?
写真:たぐち ひろみ
地図を見るこのレストランはまた、朝食ビュッフェの会場ともなります。大きなホテルのようなゴージャス感はありませんが、ハム、チーズ、サラダ、パン各種、シリアル、卵料理、フレッシュジュース、はてはデザートのケーキまで、あらゆる料理を過不足なく味わえる充実の品ぞろえです。
一度は泊まってみたい「古城ホテル」。残念ながら、その多くがとても行きにくい不便なロケーションにあるのも事実です。この「クロコヴァ城」も、ご多分に漏れず、公共の交通手段ではたどり着けない「陸の孤島」にあります。必然、ここに行くにはレンタカーを借りるか、タクシーを使う以外に方法はありません。
おすすめは、あらかじめホテルに地元のタクシーを予約してもらうこと。グダニスク〜ホテル間が片道150ズウォチ(約3800円)〜、グダニスクで頼んだ場合の相場(300ズウォチ=7600円〜)よりかなり安価になります。
忙しいスケジュールをこなす観光旅行の途中、ちょっと休憩して、心と体を解きほぐしてみたい。そんな小休止にぴったりなホテルが「クロコヴァ城」です。滞在そのものを目的とした1泊を、あなたもいかがですか?
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事を書いたナビゲーター
たぐち ひろみ
自然が大好きな気ままトラベラーです。これまで旅した地域は、国内47都道府県、海外45ヶ国。人とはちょっと違った体験・穴場デスティネーションを求めて、今も世界各地を歩き回っています。大人のための上質な旅…
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