写真:肥後 球磨門
地図を見る仙巌園はJR鹿児島中央駅から車でおよそ20分、錦江湾に面した国道10号線沿いにあり、1658年に薩摩藩19代当主であった島津光久が造った別邸です。桜島を築山、錦江湾を池に見立てた約15,000坪の大きな借景庭園は、1958年に国の名勝に指定されました。屋根が錫でできていることから「錫門」と呼ばれる殿様専用の朱塗りの門が残っていて、今では誰でもが通ることが出来るので、殿様気分でくぐると楽しくなります。
園内には全国初のガス灯といわれる鶴灯籠や、幕末期に鉄を溶かして大砲を造っていた施設「反射炉跡」など歴史を物語る史跡が残されていて、「反射炉跡」は「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されました。園内の、幕末動乱期に近代化を進めてきた史跡を巡り、当時の人々の軌跡を感じながら散策してみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る島津の殿様が別邸として建てた「御殿」は、明治になって城を明け渡した29代当主忠義がここに引っ越した後、本邸となりました。豪華な内装にため息が出る御殿は仙巌園一番のメインスポットで、当主の部屋や世継の部屋、女性の部屋などがはっきりと区別された建物の造りから、当時の島津藩の生活を知ることができます。
御殿の内部を着物姿のガイドさんが案内してくれる「御殿ガイドツアー」があり、最後に金屏風をバックに中庭を見ながら抹茶とお茶菓子がいただけて、ちょっと殿様気分に浸れます。御殿でお茶を飲みながら、在りし日の殿様の暮らしに想いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る仙巌園の魅力はなんといっても、眼前の錦江湾を池に、そして桜島を築山に見立てた雄大な借景です。園内から見る桜島は頻繁に噴火していて、園内散策中にその瞬間を見ることができます。
徳川将軍家に嫁いだ篤姫はこの庭園に何度も足を運んだといわれています。桜島に魅了されていたのかもしれませんね。来園者を魅了する風情豊かな仙巌園から日本の近代化が始まりました。豪快に噴煙を吹き上げる桜島を見ながら、激動の時代の歴史を感じてみてはいかがでしょうか。
噴煙は風向きによっては仙巌園側にくる場合があり、火山灰が降る可能性があるので風向きには十分注意してください。
写真:肥後 球磨門
地図を見る仙巌園を散策していると「御殿」の裏の小高い場所に小さな神社があります。猫を祀った「猫神神社」で、文禄・慶長の役(1592〜1598年)の際、第17代島津義弘が朝鮮に連れて行った7匹の猫のうち、日本に生還した2匹の猫が祀られています。
神社では毎年2月22日に猫長寿祈願や供養祭が行なわれます。また、義弘が猫の目の瞳孔の開き具合で時刻を推測していたと云われていることから、毎年6月10日の『時の記念日』には、時計業者が参集して例祭が行われています。
本当に小さな神社なので通り過ぎてしまいそうですが、猫好きは見逃さないであろうユニークな神社です。神社の横には「猫屋」という店があり、猫のお守りや焼酎瓶を抱いた酔っ払い猫などの創作猫人形が販売され、猫好きにはたまらない店なので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
写真:肥後 球磨門
地図を見る仙巌園を訪れて絶対に外せないのが名物「ぢゃんぼ餅」です。“ジャンボ”ではないので、『大きい餅』という意味ではありません。ぢゃんぼ餅は『両棒餅』と書きます。侍が大小2本の刀を腰に差しているのを「両棒差し」と言い、餅に二本の竹串を差した格好が武士の「両棒差し」に似ていることから、「両棒(ぢゃんぼ)餅」と呼ばれています。
昔ながらの素朴な醤油ベースの甘辛タレと、仙巌園のオリジナルとして開発された味噌を使った味噌タレの2種類があります。餅は毎朝ついたモチモチのものが使用され、甘すぎず辛すぎずのタレは病み付きになる美味しさでおススメの一品です。庭園散策の前後に召し上がってみてはいかがでしょうか。
仙巌園は御殿や猫神神社のほか、日本に初めて移植された孟宗竹の竹林や江戸時代の姿をそのまま残す曲水の庭など見所満載です。園内には芋焼酎を取り扱った酒店や、鹿児島のおみやげ屋もあるので立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
仙巌園に隣接する尚古集成館本館は、世界文化遺産に認定された建物で、島津斉彬が進めた近代化の資料などが展示されているので、仙巌園見学とあわせて訪問することをススメします。
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(2025/2/8更新)
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