写真:権丈 俊宏
地図を見る薩摩硫黄島は薩南諸島北部に位置する活火山島です。鹿児島港からフェリーで行きますが、運が良ければ船中でイルカの大群やウミガメにも出会える程の豊かな海に囲まれています。
一方、薩摩硫黄島の港では海が赤褐色に変色しています。これは鉄分を多量に含んだ温泉が港周囲の海底から自然湧出している為。また大きな山が二つありますが、写真手前は休火山の稲村岳、写真奥は現在も噴煙を上げている硫黄岳です。硫黄岳周囲でも海岸線沿いに温泉が自然湧出していて、白濁や緑色に染まった海を臨むことが出来ます。
写真:権丈 俊宏
地図を見る「東温泉」は何も遮るものが無い、自然のままの開放感のあるロケーションで有名な野天湯です。 晴天時なら果てしない水平線が見渡せ、海の色が温泉成分により染められた緑から海本来の色である青へ連続的に変化する様は、他では決して味わうことが出来ない光景です。
「東温泉」は溶岩が固まった小さな大地の一角にあり、岩盤の隙間から自然湧出した源泉を、動力など一切使わず自然の勾配を利用して、巧みに湯船へ取り入れています。三段ある湯船のうち写真一番手前の湯船にまず温泉が入れられ冷まされてから、順に中央の湯船から奥の湯船へ注がれます。一番手前の湯船は熱すぎて入浴出来ませんが、野天湯にも関わらず好きな温度の湯船を二つのうちから選べるのは嬉しいです。入浴料は無料ですが、ほぼ自然のままの状態に近い温泉ですので、高波などの悪天候時には危険ですので入浴出来ません。
写真:権丈 俊宏
地図を見る源泉はその溶岩の固まった岩盤の隙間から複数ヶ所で自然湧出しています。写真は「東温泉」最大の源泉。草津温泉の湯畑がまるで海にある様な光景で、全く利用されることなく海へ落下していきます。海の色が黄緑に染まっているのは温泉成分の影響です。
野天湯ですので成分表はありませんが、温泉は強酸性でpHは1.6(筆者計測値)。明礬(アルミニウム)が多く含まれる泉質で、体に擦り傷があるとピリッと刺激を感じ、目に温泉が入ると沁みる程の濃厚な泉質です。草津温泉(群馬県)・蔵王温泉(山形県)・塚原温泉(大分県)等に類似した、日本を代表する強酸性の名湯と言えます。
写真:権丈 俊宏
地図を見る「東温泉」は朝一、夜明け後の入浴もおすすめです。高さ数十メートルはあろうかという断崖絶壁に阻まれ朝日は見えませんが、そのせいで上手い具合に逆光になり、白と黒主体の静寂な世界に浸れます。日中の緑や青に囲まれた極彩色とは全く違う世界が広がります。
水平線が一部太陽光でかすんで見えて、「地球はやっぱり丸いのだなあ!」と感じ取れる一時。薩摩硫黄島へ来たら、朝一番の入浴も是非堪能しましょう!
写真:権丈 俊宏
地図を見る「東温泉」の魅力は単に絶景とか泉質だけでは語れません。天候や太陽光の差し具合、潮の満ち引き等の状況の変化により、様々な表情を見せてくれます。
写真は午後(15時頃)の入浴写真です。太陽光を背にした角度で温泉が照らされるので、緑がかった温泉の色は輝きを増し、エメラルドグリーンとでもいうべき鮮やかな色になります。この様に「東温泉」の多彩な魅力を体感する為にも、時間帯を変えて何度も入浴することをおすすめします。
今回ご紹介した薩摩硫黄島「東温泉」は如何だったでしょうか? 日本屈指の絶景露天風呂でありながら強酸性の泉質も素晴らしく、交通の便は悪いですが一生に一度は是非体感してほしい温泉です! 「東温泉」が見せる多彩な魅力は、これから温泉を巡っていきたいという人から泉質重視の温泉マニアまで、きっと深い感銘を与えるに違いありません。その魅力を是非体感してみては如何でしょうか?
また薩摩硫黄島へのアクセスとして、鹿児島空港から航空機(小型機。最大乗客3名)で薩摩硫黄島へ行くことも可能です。フェリーに比べてコスト面では高額になりますが、所要時間50分と大幅短縮されますので、どうしても時間をかけられない方にはこちらもおすすめします。
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(2024/10/6更新)
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