雲仙普賢岳の麓に広がる長崎県島原市は、市内のいたる所に湧水がある町としても知られています。その豊富な水量を誇る島原の湧水を用いて作られる名物こそが「かんざらし」と呼ばれる、上品な甘さの和のスイーツ。
白玉粉で作った小さなお団子を島原の湧水で冷やすことにより、独特のモチモチ感が!それに蜂蜜や砂糖等で作った特製の蜜をかけたものが「かんざらし」。その名の由来は原材料となるもち米を「大寒」の日に水にさらすことから「寒ざらし」と呼ばれるようになったのだとか。市内では約20店舗がこの「かんざらし」を提供していて、気軽に楽しめることから観光客に人気となっています。
写真:bow
地図を見る環境庁から名水百選に選ばれた「島原の湧水群」。市内にはなんと60ヶ所もの湧水スポットがありますが、その中でも「浜の川湧水」は代表的な湧水の一つ。
「浜の川湧水」は4つの区画に区切られています。各々食料品を洗うところ、食器を洗うところなど上から順々に水を利用していくようになっていて、豊富な水量の湧水ですが無駄に使わないという合理的な仕組み。現在もそのしきたりが守られ、地域住民が管理する生活に密着した湧水として知られています。その「浜の川湧水」の目の前にある、「かんざらし」の元祖ともいえる名店が「銀水」なのです。
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地図を見る大正4年に入江ギンさんが始めた「銀水」は昭和30年に田中ハツヨシさんがお店を引き継ぐことに。名物おばあちゃんとして知られた2代目の田中ハツヨシさんが1人で切り盛りしていた「銀水」は地元の人々に愛され、観光客はもとより多くの著名人が全国から訪れる人気店となりました。
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地図を見るしかし、田中ハツヨシさんが亡くなり「銀水」は閉店。以来、イベント時に臨時営業することはありましたが、約20年間近く「銀水」の建物は空き家のまま時が経ちました。そんな中、島原市は「銀水」の建物と土地を取得、総事業費約2500万円をかけて改修し、名店の復活を目指したのです。
復活を遂げる「銀水」、しかし「かんざらし」のレシピは門外不出の秘伝だったとされ、その再現には大きな壁があったのです。地域住民への聞き取りや店内に残っていた空き袋などのゴミから原材料を探るなど、探偵さながらの努力と試行錯誤により「銀水」の味を再現したのです。
そしてメニューもところてんなど、当時提供されていたものを揃え、店内も「かんざらし」が浸してあるタイル張りの水槽や、湧水の噴き出し口にあったピンポン球が回る仕掛けなど、当時の状態が再現されています。
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地図を見る数種類の砂糖をブレンドして作られた、特製の蜜の優しい甘さはノスタルジーの漂う味。どうしても懐かしさや素朴さを思い浮かべてしまいますが、昔は砂糖やハチミツが贅沢品であったため、大切なお客様へのおもてなしとして出されていたという「かんざらし」。
その伝説の名店として復活した「銀水」は観光客と地域住民の交流の場として、そして島原市待望の新たな観光スポットとして、伝説の第2章の幕が開いたのです。
復活を遂げたかんざらしの伝説の名店「銀水」へのアクセスですが、電車であれば「南島原駅」から徒歩約10分。駐車場も近くに完備されているので車でのアクセスも可能。島原市中心部の島原城から約5分程の距離です。
かつてのように名物おばあちゃんではなく、島原の地域おこし協力隊である若い夫婦が切り盛りすることになった「銀水」の営業時間は10:00〜17:00で不定休。島原でもおすすめしたいスポットがまた一つ増えました!
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(2024/9/16更新)
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