ジョン・レノンがはじめて万平ホテルを訪れたのは1970年。1976年からは毎年アルプス館128号室に家族で宿泊していた。家具は軽井沢彫の落ちついたクラシックな部屋で、ジョン一家のお気に入りだった。
そして、ジョン一家のお気に入りの場所がもう一つ。それはカフェテラス。そよ吹く風がすがすがしい。ジョンはここでロイヤルミルクティーを特別にオーダー。今やそれは定番メニューになっている。
このカフェテラスで、ロイヤルミルクティーにジョンもお気に入りだったアップルパイも一緒にオーダーして、ジョンの気持ちに浸るのも素敵だ。このカフェテラスの入口にも、ジョン一家を撮った写真が飾られている。
もう一つ見逃したくない場所。それは一階ロビー奥にある資料館。一番奥にあるピアノ。ホテルが購入した普通のピアノだが、かつてはダイニングルームに置かれて、ダンスパーティなどで演奏されていたものだ。そのピアノはジョンお気に入りで、何度も弾いたこともあるという。しかもジョンはこのピアノをとってもほしがっていた、というエピソードもある。
軽井沢に滞在していたジョンとヨーコは、息子のショーンを自転車に乗せサイクリングをして回っていた。そしてよく立ち寄ったのが、林の中の小さな喫茶店「離山房(りざんぼう)」。
広くはない店内では他のお客さんの目があるので、いつも決まって庭の東屋で過ごした。息子のショーンの背を測ったりハンモックに寝かしたりして、ゆったりした幸せなひとときを過ごしたのだろう。ショーンの背を測った木が、背丈の印をつけたまま残っている。東屋の前で記念撮影をした時に、一家が座ったパイプ椅子もそのままだ。当時の時が止まったままのようなシーンに感慨深い。その当時の写真は店内の壁に所狭しと飾られている。
ジョン一家、軽井沢最後の夏は1979年だった。その幸せだったときの離山房でのひとときを、妻のオノ・ヨーコさんが描いたスケッチがここに残されている。離山房を訪れた最後の日ジョンはある忘れ物をした。
ジョンの愛用品(レプリカ)が展示されている。それは、メガネとジタンのタバコとライター。また今度来たときにと思っていたのだろう。その最後の来店の日に、レノンご夫妻が使用したコーヒーカップも展示されている。その後一家はニューヨークに渡り、運命の日を迎えることになった…。
それから30年。離山房での思い出を綴ったオノ・ヨーコさんから感謝の手紙が届き、それも壁に展示されている。当時のジョン・レノン一家を思いながら、ジョンの大好きだった離山房のブルーベリージュースを飲み往時を偲ぶひとときをじっくり味わいたい。
ジョンは毎朝自転車に乗って、旧軽銀座にあるフランスベーカリーを訪れた。お気に入りのフランスパンを決まって買い求めていた。フランスベーカリーは、元万平ホテルのベーカーチーフがオープンした軽井沢でも歴史あるパン屋さんの一つ。当時からレシピは替わっていない。
店内はイートインスペースもあり、いつも人でごった返している。入口を入った正面には、自転車でやって来て前カゴにパンを放り込んだジョン・レノンの大きな写真も飾られている。ジョン・レノンファンにとっては聖地のようなパン屋さんある。
フランスパンのバケットは短期滞在者にすれば大きすぎるかも知れないが、こちらではハーフサイズも販売しているので便利だ。また塩クロワッサンなども人気メニューになっている。
フランスベーカリーから軽井沢銀座通りの緩い坂を少し下ると、ミカド珈琲店が見つかるはずだ。ジョンとヨーコはここのモカソフトがお気に入り。店内二階のテラス席でもいただくことは出来るが、やはり手に持って舐めながらぶらぶら通りを歩くのが一番だ。
中華料理の「榮林(えいりん」は、東京赤坂と軽井沢で半世紀以上も営業している老舗。元々日本料理の料亭だった榮林(えいばやし)から中華に変わったお店で、和の中華ともいわれており、特に軽井沢店はコテージ風で落ちついた雰囲気だ。
名物料理は「元祖榮林の酸辣湯麺」。実はこれ中国にはない料理で、こちら榮林のまかない料理から出来たメニュなのだ。スッキリとした酸味とラー油の辛さを閉じ込めたスープ。それにたまご麺の相性は抜群でとっても美味しいものだ。
そんな独自の和中華の味をジョン・レノン一家も好み、軽井沢に滞在中は何度も訪れている。そして最後に訪れたのは、1979年の夏。その最後の夏の「榮林」での食事を家族とともに楽しんだテーブルには、その思い出のプレートと写真が飾られている。その席はどのテーブルかというのは、実際に訪ねて食事をして確認してもらいたい。
旧軽銀座に2016年「ジョン・レノンミュージアム」がオープンした。1970年代軽井沢で過ごしたジョン・レノンの思い出。ヨーコ夫人のご実家の別荘も軽井沢にあり、ジョン・レノンと軽井沢は深い縁で結ばれていた。すなわちそれは、ジョン・レノンの足跡が一番くっきりと、しかもたくさん残っている場所でもある。
しかも軽井沢は避暑地であるがゆえ、より日常的でプライベートな愛に満ちたジョンの姿だったに違いない。ミュージアム内は、当時の写真とイラストなどが中心の展示だ。用意されたゆったりとしたソファーに佇み、ジョンの思い出に浸ってみるのもいい。
運がよければ、オーナーからジョンにまつわるエピソードを色々うかがえるかも知れない。観光客で人通りの多い旧軽銀座通りだが、ここでソファーに身を任せている時間はゆったりとして、時間が止まっているかのと思うほど落ち着けるひとときである。
軽井沢といえば見どころたくさんで、観光と避暑を兼ね毎年夏には多くの人が訪れる。でも、観光ガイドに書かれた通り一遍のツアーで終わってしまいがちでもある。一つのテーマに絞って歩いてみるのも旅の楽しみかと思う。
そんな中、ビートルズ来日50年を過ぎたこの日に軽井沢をこよなく愛した「ジョン・レノン一家」に焦点を当てた旅をおすすめしたい。今回ご紹介したコースは、充分一日で回りきれる。ジョンファンなら、是非とも時間を工夫してぜひ軽井沢へ行ってみよう。
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