東京・立川でオーロラを!「南極・北極科学館」は南極の氷にもさわれるワンダーランド

東京・立川でオーロラを!「南極・北極科学館」は南極の氷にもさわれるワンダーランド

更新日:2016/08/22 18:14

松縄 正彦のプロフィール写真 松縄 正彦 ビジネスコンサルタント、眼・視覚・色ブロガー、歴史旅ブロガー
地球の未開拓地、南極や北極。これらの場所には中々行けませんが、東京・立川市の南極・北極科学館では、常時“オーロラ”を見る事ができます。本物の“南極の氷”を直接手にとる事ができ、月や火星の“隕石”も展示されているのです。さらに赤ではなく“白い血”をもつ珍しい魚も見られます。ここは大人から子供まで楽しめる、“入場無料”のワンダーランドです。

極地のオーロラを見る!

極地のオーロラを見る!

写真:松縄 正彦

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この科学館は、南極や北極に基地を擁し、極地での観測を行っている「国立極地研究所」の広報展示施設です。こう説明し始めると、お堅い・難しいイメージが先に立つかもしれませが、実は素人でも大変楽しめる施設で、見どころがたくさんあるのです。順を追って紹介しましょう。
まずはなんといってもオーロラ(写真)です。
南極や北極は地球の磁気の極にあるため、美しいオーロラが見られます。但し自然現象のため、太陽風が吹く時だけ見られるのですが、日本の昭和基地はこのオーロラの名所なのです。

この科学館には、日本で唯一“常時オーロラが見られる”施設「オーロラシアター」があります。南極や北極で撮影したカラーの3D映像を、およそ5分間、15分間隔で映写しています。オーロラは、太陽風の粒子が大気の酸素とぶつかると緑色に、また窒素にぶつかると紫〜ピンク色に光ります。ゆったりとした椅子に座り、オーロラのゆっくりとした動きをぜひ楽しんでください。

これが本物の南極の氷!〜さあ手にとってみよう〜

これが本物の南極の氷!〜さあ手にとってみよう〜

写真:松縄 正彦

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この科学館の特徴の1つが、なんと“南極の氷”に直接さわれる事です。この氷は南極からわざわざ持ち込まれたものです。
日本は南極に、昭和基地など4つの観測基地をもっています。これらの基地に、物資や人員などを南極観測船「しらせ」が毎年運んでいます。物資を運んだ帰り、空いたスペースに大量の氷を積み込み、これを日本に持ち帰って、科学館で少しずつ公開しているのです。

貴重な氷、手に取ってみて下さい。意外に重い気がしますが、この中には凍った当時の古い地球の空気そのものが気泡として閉じ込められています。氷は次第に溶けますので、太古の地球の空気が少しずつ出てきています。そう、あなたも太古の地球の空気を吸えるかもしれませんよ!

月や火星からの隕石も!〜さわれる隕石もある〜

月や火星からの隕石も!〜さわれる隕石もある〜

写真:松縄 正彦

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南極からは大量の隕石が見つかっています。実は、これら隕石を発見するノウハウを日本が発見しました。なんと“山脈のふもと”から大量に見つかるというのです。
これには氷河の動きが関係しています。氷河の上に落ちた隕石は、氷河が動く事により移動するのですが、山があると氷河の動きが止まってしまいます。このため山のふもとには多くの隕石が自動的に集まる事になるのです。

このノウハウ・仕組みを解明した事で、全世界の隕石の1/3を日本が保有しています(日本は世界最大の隕石保有国の1つで2010年までに16,836個を保有)。この中には月、また火星からの隕石があり、写真は“月の裏側”から放出されたといわれる貴重な隕石です。
アポロ宇宙船が持ち帰れなかった月の裏側からの石、とくとご覧ください。また、この石のすぐ横に並んで“火星からの隕石”も展示されています。

さらに26kgもの大きな鉄隕石も展示されています。これは原始地球の内部を構成していたといわれる代物で、貴重な隕石なのですが、この隕石にはさわる事ができます。大気圏に突入した時に表面が溶けたためでしょうか、ツルッとしています。ぜひ本物の感触を楽しんでください。

面白い生き物も!〜血の色が白い魚、何年も乾眠するクマムシ〜

面白い生き物も!〜血の色が白い魚、何年も乾眠するクマムシ〜

写真:松縄 正彦

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南極は極寒の地です。海も-2℃〜-3℃と冷たく、普通の生物は生きられません(淡水魚は-0.4℃〜-0.5℃で凍るといわれます)。しかしご存じのように変温動物である魚も生息しています。この理由は、身体の中に特殊なタンパク質をもち、血液の氷点を降げ、身体が凍らないようにしているのです。ハゼ、キス、アイナメなどがその代表例ですが、このなかでも特殊な魚がいます。写真の“コオリウオ”です。

我々、脊椎動物の血は、酸素を運ぶ役目をする“ヘモグロビン”があり赤い色をしています。しかし、この魚の血は、赤血球がなくヘモグロビンもないために“白(無色透明)”い色をしているのです。赤い血をもたない魚がいるなんて面白いですね。

また南極の海にはコケが生えているのです。1〜2か月しかない夏の期間に繁茂するため身体に筋状の“生長線”が出現するという面白い特徴があります。ところで、コケの中にいるのが“クマムシ”です。身体から水分を出し、乾燥させて眠る事で、何年も生存できるという特殊な動物(体長が0.1〜1mm)です。
実は、“30年”間も冷凍されていたクマムシを日本人研究者が蘇生させました。これは世界最長記録なのだそうです(MEMO欄参照、動画を見て下さい)。30年も生きられるなんて、まさにSF映画の人工冬眠みたいですね・・。

この他、アザラシやペンギンなどの剝製も展示されています。並んで立つとその大きさが良く理解できますので、お子様とぜひ背比べをしてみて下さい。

猫もいた!〜南極観測で活躍した動物たち〜

猫もいた!〜南極観測で活躍した動物たち〜

写真:松縄 正彦

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南極観測で活躍した動物というと“犬”、教科書に載っている“タロー”と“ジロー”が有名です。この施設の裏手にはこれらのカラフト犬のモニュメントが置かれています(写真)。もともとは慰霊のため動物愛護協会が東京タワーの入口に設置していたたものですが、整備計画の関係もありここに寄贈されました。

ところで犬の他にも南極に行った動物がいました。ほとんど知られていませんが、第一次観測隊と一緒に実は“猫”も行っていたのです。その名は“子猫のタケシ”。オスの三毛猫で、隊員の心を慰める役目をしていたといわれます。無事に帰国後、行方不明となったためでしょうか、ほとんどその存在が忘れられてしまいました。
この他、なんとカナリアも南極に行ったのです。これらの紹介パネルがありますのでぜひお読みください。これを知ると猫派や鳥派の方もこれから少し自慢できるかもしれません・・?

この他、まだまだ見逃せない見どころがたくさんあります。
南極で欠かせないのが雪上車。ここには本物の雪上車が展示され、中に入る事ができます。また南極で研究者が住んでいる個室も見る事ができます。さらに極地で欠かせないのが分厚い防寒具ですが、南極で使われた本物を着る事もできるのです。

入場無料・撮影自由のワンダーランド

南極や北極、この未開拓の地球の神秘、その解明に向けた人間の活動、さらに宇宙からの贈り物などをこの科学館で見る事ができます。
科学館というとお堅いイメージが先行してしまいますが、優しく説明されるスタッフもおられます。また、“入場無料で撮影自由”です。敷居の低い場所ですのでぜひ一度お越し下さい。

なお、変わり種ですが、ショップでは、“南極の記念切手に南極観測船船内郵便局のスタンプが押された、ここだけのレア物の封筒”も販売されています(在庫少)。郵便マニアには見逃せない品物です。
さらに加山雄三、安住紳一郎、宮崎美子、カンニング竹山さんなど、ここを訪れた有名タレントのサイン入り色紙もショップ横に飾ってあります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/16 訪問

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