美しい悲しみの世界へ ヨーロッパの麗しき墓地5選

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美しい悲しみの世界へ ヨーロッパの麗しき墓地5選

美しい悲しみの世界へ ヨーロッパの麗しき墓地5選

更新日:2016/08/19 09:55

藤 華酉のプロフィール写真 藤 華酉

ヨーロッパでは、墓地は公園や憩いの場としての意味も持ちます。家族連れがピクニックに出かけ、仕事帰りに犬の散歩に足を運び、恋人同士でご挨拶に訪れる、生活に密着した場なのです。歴史に興味のある方、静謐な廃墟を愛する方、風変わりな観光地を求める方へ。美しく整えられたヨーロッパの墓地の中でも、特に観光の場として愛され、人を惹きつけてやまない、悲しくも美しい墓地をご紹介します。

    ヴェネチア「サン・ミケーレ島」

    ヴェネチア「サン・ミケーレ島」

    写真:藤 華酉

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    サン・ミケーレ島はイタリア、ヴェネチア本島の北に浮かぶ「墓地の島」です。居住者はおらず、びっちりと敷き詰められたお墓と小さな教会だけが建つ小さな島です。
    ヴェネチアは埋立地として生まれた歴史上、人工に比べて極端に敷地面積の少ない国でした。埋立地でもあるので、亡くなった人を埋葬する場所にも事欠きます。ヴェネチア本土がペストやコレラと言った疫病に何度も襲われた事もあり、遂には墓地だけの島が生まれました。その特殊な生い立ちや美しさから、しばしば映画や小説の舞台となる「サン・ミケーレ島」ですが、いつも観光客の姿はまばら。静かな美しさを満喫出来る場所です。

    交通の便にも優れており、一大観光地である「ムラーノ島」への途上にある為、ヴェネチア本土から水上バスで僅か10分程度で訪れる事が出来ます。

    アイルランド「グレンダーロッホ」

    アイルランド「グレンダーロッホ」

    写真:藤 華酉

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    草原と廃墟の国、アイルランドの「グレンダーロッホ」は、6世紀から始まり、千年以上もの歴史を持つ聖地です。かつては「七つの教会の町」と称えられ、文化と教養の中心地でした。しかし、ヴァイキングの襲撃などで町は衰退し、現在は霧深い廃墟と化しています。「グレンダ・ロッホ」の歴史は中世初期に終わりを告げましたが、周囲に立ち並ぶ墓の歴史は案外長いもので、16世紀の豪商の墓などを見る事も出来ます。天候に恵まれない日の多いアイルランドですが、暗い森と深い霧に包まれた「グレンダロッホ」は神秘的で、訪れる人を荘厳な気持ちにさせてくれます。

    「グレンダーロッホ」は森や湖、廃墟が美しい為、ハイキングコースとしても愛されていますが、交通のアクセスはやや不便です。ツアーに参加しての訪問をお勧めします。

    チェコ「セドレツ納骨堂(骸骨寺)」

    チェコ「セドレツ納骨堂(骸骨寺)」

    写真:藤 華酉

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    「セドレツ納骨堂」は、チェコの首都プラハから列車で1時間程の距離にある「クトナー・ホラ」にあります。外見は小さく控え目な教会ですが、その地下に足を踏み入れた観光客は皆度肝を抜かれてしまうでしょう。壁、シャンデリア、燭台や床のレリーフに至るまで、全てが人間の骨で作られているのです。この納骨堂の制作に使われた人間の骨は一万人以上、更に四万人分の骨が眠っているそうです。
    十字軍の折、聖地イスラエルから持ち帰られた土が収められたのがこの教会の始まりでした。納骨堂に使われているのは、ペストの大流行や、フス戦争での大勢の犠牲者の骨だと言う事です。
    不謹慎だな〜残酷だな〜と思うでしょうか。当人達に聞いて見なければ分かりませんが、フス戦争の参戦者は、故郷の繁栄の為に戦った人々。自分達の骨で観光客が集まり、故郷が賑わっていると知れば、案外笑ってもくれるかも知れません。

    ルクセンブルク「アメリカ軍墓地」

    ルクセンブルク「アメリカ軍墓地」

    提供元:Wikipedia

    https://de.wikipedia.org/wiki/Luxembourg_American_…

    ルクセンブルクの「Luxembourg American Cemetery Memorial」は、第二次世界大戦の際、ドイツ軍に占領されたルクセンブルクを解放する為に戦い死んだ、五千人以上のアメリカ軍人が眠る場所です。ルクセンブルク市内から程近い場所にありますが、整頓された公園内は清潔で静かな空気に満ちています。
    また、付属の博物館は、第二次世界大戦中の西方戦線や多くのアメリカ人犠牲者を出した「バルジの戦い」についての歴史を学ぶ事が出来る施設になっています。

    リトアニア「十字架の丘」

    リトアニア「十字架の丘」

    写真:藤 華酉

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    リトアニアのシャウレイにある「十字架の丘」は厳密には墓地とは呼ばれず、遺体は埋まっていません。ロシアの占領下で連れ去られて遺体も戻らなかった人々を悼む為の概念の墓であり、世界遺産に登録されています。元々は何も無かった郊外の丘ですが、ロシアの暴政への反抗が強まり、反乱が起きては失敗し、犠牲者を増やしていた19世紀以降、この丘には無数の十字架が集まるようになりました。現在でも十字架は歓迎されており、観光客も、手持ちの十字架を捧げて行く事が出来ます。

    最寄の町であるシャウレイからはバスと徒歩で30分程度です。丘の周囲には、小さなお土産物屋さんとビジターセンターの他にはまるで何もありません。畑風景の中に突然現われる「十字架の丘」の姿には独特の迫力があります。

    おわりに

    美しい墓にはそれぞれ素晴らしい歴史があり、この墓地を手入れし続けて来た人々の愛情があります。そんな美しい歴史を感じに、静寂の場所を訪れる旅はいかがでしょうか。

    注意点としては、
    ・墓地の写真撮影は問題ありませんが、お祈りしている方を映す事はマナー違反です。人が写らないようお気をつけ下さい。
    ・交通の便が良い墓地でも、日が落ちると人気が無くなります。生きている人間が出て来る方が危険ですので、肝試しなどはせず、日が落ちる前には観光を切り上げるようにして下さい。

    掲載内容は執筆時点のものです。

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