初秋頃になると、各地でコスモスの花が秋風にそよそよとゆれる風景が見られます。中でもこの藤原宮跡のコスモス畑は、未だ発掘調査も行われている古の都の跡地の風景と共にコスモスを見られるという魅力的な場所です!
広大な敷地には、当時の立地のイメージを再現する朱色の列柱が建てられています。列柱は、大極殿の南門と朝堂院の東西南の各門の位置を示しています。大極殿は天皇が執務を行うところで、朝堂院は役人の仕事場でした。藤原宮は日本で初めて都城制をしいた本格的な国家都市で、持統天皇が694年に飛鳥京から遷宮し、その後3代にわたり、16年間続きました。
そんな古の都の地では現在、四季折々にお花が咲き乱れます。秋には約300万本のコスモスが開花し、地元の人や観光客に親しまれています。種まきは毎年8月頃に地元住民の協力によって行われています。
※写真は北向きで正面は耳成山
藤原宮跡は大和三山に囲まれた土地です。つまり、大和三山がよく見えるところにあるのです。東に天香具山(あまのかぐやま)、北に耳成山(みみなしやま)、西に畝傍山(うねびやま)の3つの山の総称として大和三山と呼ばれています。
特に天香具山は万葉集でも詠まれており、よく知るところではないでしょうか。
「春過ぎて 夏来たるらし 白妙(しろたへ)の 衣(ころも)干したり 天香具山」 持統天皇(巻1-28)
まさにこの藤原宮を建てた持統天皇の歌です。こうした万葉集の時代の風景が今も変わらずそこにあります。藤原宮の建物こそ残ってはいませんが、古の人たちが見た景色とそう大きくは変わっていないはずです。行政の規制もあり、周囲に高い建物が建たず、風致地区として景観が残ったのも功を奏しています。
悠久の時が流れる地で、地元住民のお手入れによって広がるこのようなコスモス畑の光景は感慨深いものがあるのではないでしょうか。三方に大和三山を望み、古の歴史に想いをはせながらコスモス絨毯の眺めを楽しんでみてください!
※写真は東向きでススキの後ろが天香具山
夕暮れ時には、西の畝傍山の向こうの葛城山系に陽が沈みます。傾いた陽がコスモスとススキにあたり、きらきらと輝くこの時間帯の観賞が一番のおすすめ!一画にだけ生えているススキがアクセントになり、秋の風物詩をコラボレーションで楽しむことができます。
日没後は月とススキ、コスモスのトリオも秋らしい景色です。夕闇の薄暗い時間帯のコスモスは花びらの色が浮き出たように見え、日中とは違った姿を見せます。夕陽を眺めたあとは少し長居して、ちょっと大人の雰囲気のコスモスもおすすめです!
※写真は西向きで正面が畝傍山
藤原宮跡のコスモス畑は奈良県内でも有数の広さです。大和路の歴史とも関わりが深い大和三山が見え、広大な跡地は四方を遠く見渡せる開放感があります。甲子園球場のグラウンド約2倍の広さの一面のコスモス畑は圧巻です!
例年の見頃は10月上旬から下旬頃です。詳しい開花状況が毎年、ホームページで公開されるので、訪問の際はチェックしてみてください。
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