写真:温泉ソムリエぐっち
地図を見る木部谷温泉は「松の湯」のみの一軒宿です。山間部に位置しますが、山深い秘境というよりは、ちょっと開けた平坦な場所にあります。アクセスするための南北の道はしっかり整備され、険しい山道というよりは高原を走るような気持ちの良い道です。
また、日帰り利用をされる方が多く、この地域の方々のオアシス的な場になっています。
写真:温泉ソムリエぐっち
地図を見る木部谷温泉「松の湯」には間欠泉があります。建物の向かって左側の小道を少し登っていくと間欠泉に到着します。
木部谷温泉は、元々鉄分の多い鉱泉が湧き出していて、当初は鉄製の五右衛門風呂のような浴槽で利用されていたそうですが、昭和45年にボーリングを試みたところ、現在の間欠泉が湧き出し、地元の有志の方々によって憩いの家を運営されていました。その後、昭和63年11月に現在の「松の湯」が開業されました。
全国で間欠泉自体とても珍しいのですが、多くの間欠泉は地中で高温に加熱され沸騰した水蒸気の圧力によって噴き上がる間欠沸騰泉。しかし、木部谷温泉の間欠泉は低温で地中の炭酸ガス(二酸化炭素)の圧力によって噴き上がる間欠泡沸泉になります。
さらに、木部谷温泉の間欠泉は約25分毎に約2mの高さまで吹き上がり、まさに圧巻です。是非お越しの際には間欠泉もご覧下さいませ。ただ、炭酸ガスに虫が寄ってくる傾向がありますので、行かれる際は蚊対策は万全に。さらに特に夏場はアブに注意してください。
写真:温泉ソムリエぐっち
地図を見る浴室は男女別の内湯のみとなります。まず目を引くのが茶褐色の湯の色。間欠泉で噴き出した時には透明ですが、温泉に含まれた鉄分が空気に触れ酸化されることにより茶色く変色しています。
源泉温度は20度程度と冷たいため、加温しての入浴となりますが、このシステムも非常に珍しいです。まず、源泉は自由にバルブを調節して温泉を投入することが出来ます。ただ、源泉を投入しすぎるとぬるくなってしまいますが、別に蒸気による加温装置があります。これも自動ではなく、入浴者が自分で調整して温度を好みにすることが可能です。蒸気による加温であれば、加水による温泉が薄まることもほぼなく、さらにこのような蒸気による加温装置は全国的にも非常に珍しいです。
欲感は鉄分が多い泉質ゆえのキシキシ感があり、さらに塩分効果も相乗し温まり効果はかなり高いため、長湯される場合は湯あたりに十分ご注意下さいませ。
さらに床は温泉成分により茶色と緑がまだら模様のようになっています。茶色い成分は温泉成分の鉄分とカルシウム分によるものですが、緑色はコケによるもので、こちらの温泉成分ならではのコケのようです。
写真:温泉ソムリエぐっち
地図を見る敷地内には湧水が湧き出している場所があります。木部谷温泉温泉はとても温まる温泉で、発汗により想像以上の水分が失われてしまいますので、こちらの温泉に入る前、入った後にはここの湧き水をたっぷりと飲みましょう。癖のないひんやりした湧水はとても美味しいです。
木部谷温泉「松の湯」へのアクセスは中国自動車道の六日市インターチェンジより車で15分程度、津和野からも30分程度とアクセスは悪くはありませんが、一般的にはまだまだ知られていない温泉です。
日本の数ある温泉の中でも非常に稀有な間欠泉を有する木部谷温泉「松の湯」は隠れた名湯と言っても過言ではないでしょう。
◆木部谷温泉「松の湯」
【住所】島根県鹿足郡吉賀町柿木村木部谷529
【泉質】ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉
【湯の使い方】源泉かけ流し(加水なし・加温あり・消毒なし)
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(2024/10/16更新)
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