島原の歴史を伝える名城「島原城」とその城下町を廻る旅!

島原の歴史を伝える名城「島原城」とその城下町を廻る旅!

更新日:2016/09/10 18:55

後藤 徹雄のプロフィール写真 後藤 徹雄 フォトグラファー
長崎県南東部の島原半島は、熊本県の天草諸島とともに雲仙天草国立公園を構成する風光明媚にして、南蛮文化とキリシタン受難の歴史に彩られた地域である。
その中心「島原」は穏やかな内海に面した花と湧水の町であり、島原藩時代の政庁「島原城」には五重の天守と三基の櫓が復元され往時の姿を偲ばせている。名城と城下町の来し方をたどり、また半島全域に伝わる郷土料理「具雑煮」も併せて紹介しよう。

築城名手といわれた松倉重政により築かれた大城郭「島原城」

築城名手といわれた松倉重政により築かれた大城郭「島原城」

写真:後藤 徹雄

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島原城の築城は徳川家康の配下で、関ヶ原合戦や大阪の陣で軍功を上げた松倉重政による。1616年大和五条からここ島原へ入封し、1618年より7年の歳月とおびただしい労力を注ぎ込んで完成させた。五重の天守と四九基もの隅櫓が林立する大城郭で、当時4万石の小大名には過分な城でもあった。

そのための重税とキリシタン弾圧により、1637年の天草・島原の乱が勃発。この江戸期最大の内戦を起こした責めを負い松倉氏は2代で断絶した。その後は高力、松平など徳川譜代の大名により藩庁として存続、城下はさらに整備され明治維新をむかえている。

維新後は天守、櫓とも解体されてしまったが、堀や石垣はかなりの部分が当時の姿を残している。1960年(昭和35年)以降、櫓や五重の天守、長塀などが復元され島原藩時代を偲ばせる観光の要となっている。

本丸を囲む堀越し見ると、広がる蓮の葉の緑、連なる高石垣が刻む旋律美と陰影、南国の青空とコントラストをなす天守の白、まさに日本城郭の美しさが凝縮された姿に一幅の絵を見る思いである!

本丸にそびえる白亜の天守!その端正な美しさに魅了される

本丸にそびえる白亜の天守!その端正な美しさに魅了される

写真:後藤 徹雄

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松倉重政が築いた天守は五層五階で、層塔型とよばれる当時新しい型式の天守である。上階が下階より規則的に逓減することで、杯を重ねた塔のような天守となる。また島原城天守には破風(はふ:三角形の飾り屋根)がいっさい備えられておらず、見慣れた他の天守に比べすっきりとした外観となっている。壁は白色総塗籠めに仕上げられており、この白亜の天守が南国の海と空を背景にそびえ立つ姿は感動的である。

この天守は鉄筋コンクリートによる外観復元であり、内部は歴史資料館である。1階はキリシタン史料で島原の乱にまつわる史料、2階に郷土資料として松平家家宝や歴代藩主の史料、3階が民族資料として庶民の生活史料が展示されている。島原市の郷土愛を感じさせる展示である。

天守最上階から城下と島原湾、さらに向こうの熊本を展望する

天守最上階から城下と島原湾、さらに向こうの熊本を展望する

写真:後藤 徹雄

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島原城の五重天守は全高33m、最上階に廻縁が復元されていて四方を見晴らすことができる。西に眉山が迫り、東は青く開けた島原湾、さらに対岸には熊本市と阿蘇山、宇土半島から天草上島の島影を望む、まさに絶景とはこのことだ!

島原城の門前、姫松屋本店で郷土料理「具雑煮」を味わう!

島原城の門前、姫松屋本店で郷土料理「具雑煮」を味わう!

写真:後藤 徹雄

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「姫松屋本店」は島原城西門のすぐ前に建つ料理店だが、白色塗籠めの城郭を思わせる佇まいで周囲に違和感なく溶け込んでいる。その姫松屋が元祖と名乗りを上げる島原地方の郷土料理が「具雑煮」だ。

島原の乱のとき、原城に籠城した天草四郎時貞を総大将とする一揆軍は農民に餅を兵糧として貯えさせ、山海の材料を集めて雑煮を炊き三ヶ月戦ったという。これをもとに文化10年(1813年)姫松屋初代糀屋善衛ェ門が作ったというのがその由来である。
鰹出汁と醤油の味付けで、煮た丸餅と13種の具が入る。(並980円、大1,180円)

「具雑煮」は今も島原半島一帯作られており、正月はもとより祭礼、ハレの日の食事としても供されている。島原での食の思い出として是非召し上がって頂きたい一品である。

高速カーフェリー「オーシャンアロー」なら熊本港まで30分

高速カーフェリー「オーシャンアロー」なら熊本港まで30分

写真:後藤 徹雄

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先に紹介した天守最上階から見た対岸、熊本県の熊本港までは2社のフェリーが就航しているが、熊本フェリーの「オーシャンアロー」なら従来型の2倍の速度で、乗用車51台(大型バスなら9台)を積載し島原外港〜熊本港間を30分で結ぶ。一日7往復運航中。
九州地区のレンタカー利用なら特別割引券も用意されているので、各営業所で訊ねてみよう。

九州の旅、その中継点としての島原観光も考えてみたい

島原へのアクセスは長崎空港から入り、長崎市やハウステンボス観光と併せて計画するのが一般的であるが、島原の対岸はもう熊本県である。紹介した高速カーフェリー「オーシャンアロー」を使えば30分で熊本港、そこから九州各地へ足を伸ばすことができるし、またその逆コースをとることも可能だ!
南北九州の旅の中継点として、また雲仙温泉との組み合わせで島原半島を訪れてみてはいかがだろうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/04 訪問

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