宮島の鹿は成獣になると、木陰に身を寄せてスローライフを送るようになります。観光客が押し寄せようが、大統領が着港しようが、なんてことないという態度。やる気を出すのは大好物の笹をチラつかせた時だけ。
そんな現金な鹿たちが人気を博して、桟橋付近で鹿のふんソフトが販売されるようになりました。何がトッピングされているのかはご自身の目で確かめてみてください。町の鹿を探しながら食べ歩くのも宮島の醍醐味の一つです。
●鹿のふんソフトクリーム:350円
松の木が立ち並ぶ「ろかい舟乗り場」は、島に着いて厳島神社方面に歩くと、一番最初に大鳥居が一望できる場所です。このエリアの鹿は図ったように、大鳥居をバックしているので記念撮影におすすめです。カメラの前では微動だにしないモデル意識を貫く彼らですが、パンフレットや観光マップなどの紙類が目に映ると、途端に野生に戻るので気をつけましょう。
自然の鹿は自分の行動域をから外れて行動することはあまりありません。シャッターを切る前に、鹿がその場を離れることがあっても、数時間後には同じ場所に似たような鹿が元の位置、元のポーズで戻っていることがあります。行きのルートでシャッターチャンスを逃したら、帰りのルートで立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
桟橋で出迎えてくれるのが、生後1ヶ月〜2ヶ月の子鹿です。人里に下りてくる5月〜8月頃に見られ、傍らで親鹿が見守っています。好奇心旺盛ですが、人馴れはもちろん乳離れもしていない大時な時期なので、やさしく成長を見守ってあげましょう。
●子鹿のシーズン:5月〜8月頃
親の手から離れつつある年齢の鹿で、世を渡り慣れた客寄せ鹿より若くて活動的です。彼らはお店の前に居座ったり、観光客の後ろを連なって歩いたり、公衆トイレについてきたり、自己アピールに余念がありません。
気温が落ち着いた日には、集団で大鳥居まで潮干狩りに出かける姿が見られます。市街地に定住する鹿の中でもアクティブな存在で、「お辞儀する鹿」は若者タイプの鹿から輩出されました。人の視線、動きをよく見ているので、もし視線が合うことがあったら、お辞儀をしてみてください。礼には礼をもって返す一面を垣間見ることができるかもしれません。
紅葉谷を水源に持つ厳島神社付近の川辺は、歴史を感じさせる壮年の鹿がちらほらと見かけられます。
宮島に生息する鹿は江戸時代より前から、宮島のシンボルとしてその歴史を歩んできており、一時は戦後の食糧難や兵士のハンティング行為からその数を減らしましたが、奈良公園から連れてきた鹿によって生息数を回復した経緯を持ちます。
写真左側は雄の鹿で、桟橋から厳島神社までの観光ルートを一周してもなかなかお目にかかれません。彼らが出没するのは、商店街から離れて、山側に入った紅葉谷公園や大元公園です。紅葉谷公園は11月中旬〜下旬のもみじ、大元公園は4月上旬の桜が見ごろを迎えます。
●花見シーズン:4月上旬
●紅葉シーズン:11月〜下旬
4月〜6月は鹿の出産シーズンで、このシーズンだけは観光ルートの鹿が少なくなります。動物が苦手という方は、この時期に観光しましょう。
●鹿が人里を離れるシーズン:4月〜6月
観光ルートで見られる姿はほんの一部で、散策ルートに入ると、人が立ってられないような急斜面で草を食む姿が見かけられます。宮島の山側で行動する鹿は、宮島市街で定住する鹿よりも野性味があり、こちらに気づいても自ら人に近づくこともなければ、警戒もしません。まるで古くからの隣人を見かけたときのような様子です。そんなスローライフな野生の鹿とふれあえるのは中国地方ではここだけです。
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(2023/12/8更新)
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