写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る境港駅から水木しげるロードをまっすぐ進み、妖怪饅頭総本店のある交差点を右折すると、観光地らしい賑わいから一転、急にローカルな空気が漂います。逆に旅情をそそるそんな街並みの中に佇んでいるのが、「一月と六月」という不思議な名前のお店です。
昭和30年代に建てられた木造モルタル造りのこの建物は、もとは複数店舗が入っている建物でした。徐々にテナントが減ってついに取り壊すという話になったとき、この場所を気に入っていた「一月と六月」の店主夫妻が「人と物が集まる新しい場所として再生させたい」と思いついたのだそうです。そのため内装には、複数のお店が混在していたときの名残りがあります。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るお店に入って、まず目に飛び込んでくるのが本。ここには、本好きの店主が誰かに届けたいと思って選んだ本が並んでいます。ジャンルはさまざまですが、しいて言えば旅や食をテーマにした本が多い印象。NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」で話題の「暮らしの手帖」のバックナンバーも揃っています。
狭いスペースのわりに平積みが多いのですが、窮屈さは感じません。絵本や雑誌も表紙が見えるように陳列されているので、装丁に一目惚れする出会いが多そうです。また触ってみるとわかるのですが、紙の質感を大切にした本が多いのも特徴。実際に読み始めるまでに、装丁を眺めて手触りを楽しむ。本を選ぶことの楽しさを、改めて思い出すことができるでしょう。
ところで、「一月と六月」という店名の由来は意外と単純で、店主夫妻のお誕生月なのだとか。本を選んでいるのは、ダンナさまである一月さんです。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る旅先で器や雑貨を選ぶのが好き、という人はかなり多いはず。重い、かさばる、壊れやすいといったデメリットがあるにも関わらず、「素敵な器がある」「かわいい雑貨屋がある」と聞くと寄らずにいられなくなるのが器好き、雑貨好きの心理ですね。
「一月と六月」では、やわらかな自然光の入る窓際に器が並べられています。器以外にポストカードやアクセサリーなどの雑貨も充実。本以外を担当する奥さまの六月さんが、自身が生活に取り入れたいと思って選んだ品ばかりです。大人買いできるほど安くはないけれど、飾っておくほど高価でもない。日々手に触れるごとに「買ってよかったなあ」「これ好きだなあ」と実感する、そんなふうに日常をささやかに彩ってくれる品々です。
地元作家に特化しているわけではありませんが、山陰を拠点に活動する陶芸家やイラストレーターの手による器や雑貨も多いですよ。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る「一月と六月」には、コットンやリネンなど質の良い天然素材を使った衣類が並んでいます。デザインの好みは人それぞれですが、どれも穏やかな優しい色合いなのでディスプレイされた衣類を見ているだけでも心が落ち着いてきます。
旅先で服を買うのは難しいかもしれませんが、靴下、アームカバー、帽子などの服飾雑貨もありますし、ハンカチやコースターといったファブリックアイテムも揃っています。触り心地の良い小さな一品に出会ったら、旅の記念に購入するのもいいですね。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る「一月と六月」の2階はカフェになっており、大きな窓のある明るいスペースでゆっくり寛げます。コーヒーは車で30分ほどの距離にある松浦珈琲(島根県松江市)の豆で、珈琲豆の購入も可能。同じく松江の「木桶しょう油の手造りかきもち」もとてもおいしいです。
また、ランチタイムには鳥取西部の名物の「いただき」があります。油揚げに生米やゴボウなどを詰めて炊き上げる郷土料理で、大山の形に似ていることから「いただき(頂)」と名付けられたという説が有力。イベントなどで提供していない日もありますが、タイミングが合えば食べてみてください。
そして、2階には各種イベントを行うギャラリースペースもあります。フリーマーケットや地元のアーティストの展示会もあれば、安西水丸さんの版画展や大橋歩さんの原画展、大橋歩さん手掛ける洋服ブランド「a.」の受注会といった全国的な著名人のイベントまで多種多様。観覧は無料なので、興味のある企画に巡り合えればラッキーです。
小さなお店にもかかわらず、時間をかけて商品を眺めていても居心地が悪くならないのも「一月と六月」の魅力。妖怪を見るために境港に来たはずなのに、つい長居してしまいます。時間には余裕をもって訪れましょう。
旅の途中で読むための本を探すもよし、帰宅後の日々を共にする何かを探すもよし、ただうっとりと店内を眺めるもよし。境港の片隅で、そんな旅のひとときを過ごしてみませんか。
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(2024/12/14更新)
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