正式名称は「パーントゥ・プナハ」、宮古の方言でパーントゥは「鬼や妖怪」、プナハは「悪霊払いの祈願のお祭り」という意味です。百数十年前、島原地区の海岸にクバの葉に包まれた仮面が流れ着き、その仮面を被った若者が神聖な井戸の泥を全身に塗り神様となったというのが起源だとか。
時は流れ神様は悪霊祓いの「島尻のパーントゥ」となり、年に1回全身に神聖な泥をまとい、そのありがたい泥を容赦なく人々に塗り悪霊祓いをすると共に無病息災を願います。その儀式が島尻地区に受け継がれる伝統行事「パーントゥ祭り」なのです。
パーントゥ祭りが開催される島北部の島尻地区までは、宮古市内から車で40分ほど。中心部への車の乗り入れはできないため、指定の駐車場へ車を停め島尻の集落へいざ出陣です!
日が暮れる頃、集落のあちこちで叫声があがり始めるといよいよ大迫力のパーントゥの登場です。パーントゥは全部で3体、屈強な村の若者が神様になり、集落にあるかつては出産の時に必ずこの井戸の水が産湯として使われたという神聖な泉「ンマリガー」の泥を全身にまとい、人々を襲い始めます。
そしてこの泥がとてつもなく臭い!異臭を放つ身体に蔓(シイノキカズラ)で作った箕を巻き、恐ろしい仮面を付けた全身真っ黒なパーントゥのインパクトは強烈!しかも彼らは大股でゆっくり歩きいつの間にか近寄って来ます。時には2体のパーントゥに挟み撃ちに合うことも。
日本の伝統行事の「なまはげ」が子どもにとって強烈な体験なように、このパーントゥも全身に異臭を放つ泥をまといオドロオドロしい姿で人々を襲うわけですから、祭りを理解できない幼児は絶叫で大泣きです。しかし、パーントゥはお化けでも妖怪でもありません、人々の無病息災を願う神様の化身なのです。
大泣きする幼児とは対照に、少し大きな子どもや大人は逃げ惑い羽交い絞めにされつつもどこか楽しそう。特に子どもたちは大興奮、縦横無尽に動き回るパーントゥとまるで鬼ごっこをしているようです。
パーントゥは屋外の人々を襲い無病息災を祈る他にも、新築の家に取り憑く悪霊を祓いその家に縁起を付けるという役割もあるため、家に上がり込み豪快に泥を塗っていきます。
新築の家に泥を塗られつつも、悪霊祓いをし縁起を付けてくれるパーントゥに家主はお酒をふるまいもてなすのが地元流。大人も子どもも、観光客も警備の人たちさえこの日はパーントゥの泥の洗礼を浴びるお祭りの日なのです。
写真はパーントゥの洗礼を受けた後、顔にもTシャツにもべっとりと泥が塗られています。泥はシャワーで落とせるものの、強烈な臭いは数日は残るので覚悟を。また服は汚れても構わないもので、色の濃い服だと塗られたことが分からなくて何度もパーントゥに襲われるため、明るい色がベターです。
そんな泥塗り祭りのパーントゥですが、残念ながら近年は祭りの趣旨を理解していない観光客とトラブルになることもあり、パーントゥ祭りの開催自体が危ぶまれる事もありました。
パーントゥの泥塗りの対象は人や家ばかりでなく、車にも泥の洗礼が浴びせられます。それはレンタカーも例外でなく、写真のようにべったりと臭い泥を塗られてしまいます。観光客だからといって容赦はありません。
でもそれがお祭りの醍醐味であり「悪霊祓い」のご利益なのです。もしパーントゥ祭りに参加するのであれば、泥を塗られることを前提に服装もカメラも対策を取りましょう。
いかがでしたか?神様が人々を襲い泥を塗りたくる宮古島の「パーントゥ祭り」は迫力満点です!残念ながら近年の観光客とのトラブルにより、直前まで日程が発表されないため、パーントゥ祭りに参加するため旅行日程を組むのは難しいかもしれません。
しかし、例年10月の週末に行われているようですので、もし宮古島滞在中にパーントゥ祭りが開催される場合は、汚れるのを覚悟の上ぜひ滅多に見ることの出来ない宮古の一地方に伝わる伝統文化を堪能されてはいかがでしょうか?
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索