写真:陽月 よつか
地図を見る日本を代表する駅の一つ、京都駅。言わずと知れた天下の京都の玄関口であり、日本の交通の要の一つですね。JR西日本、JR東海、近鉄京都線、市営地下鉄烏丸線の4社が乗り入れ、 一日平均67万人もの人が乗り降りする巨大ターミナル駅です。
しかしこの駅で写真を撮り動画を撮影する外国人旅行者たちが多いのは、それが理由ではありません。外国人旅行者向けの日本紹介サイトに掲載されている京都駅の見出しは“ Notable Building in Kyoto ”(京都の有名な建物)。
実は京都駅ビルは、日本を代表する建築家原広司の設計による名建築。平安遷都1200年(1994年)記念事業の一環として新築されたのですが、その方法は日本の鉄道駅舎としては異例の国際指名コンペ方式で、日本から4人外国から3人、世界に名立たる建築家7人による豪華絢爛な京都駅コンペは当時たいへんな話題になりました。
世界から注目された京都駅。その注目は今も続き、名建築として世界から人を集め続けているのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るその象徴たる光景がこちら、中央コンコースのガラスの天蓋です。広々とした吹き抜けには4000枚のガラスが使用されていて、空へと空間の広がってゆくような解放感。都会の中心地であり日に万単位の人が行きかう場所だというのに、森閑とした空気さえ漂います。これは確かに世界レベルの美しさ!
このガラスのシェルターは、日本の伝統的美学である「境界があると同時にない」さまを表現しており、人々が「空」を見出す場面をと構想された場所。「歴史への門」たる京都の駅舎は京都の門であり、伝統的美学と現代・近未来を繋ぐ門であり、大都会と自然たる大空を繋ぐ門でもあるのですね。
外国人旅行者向けの日本紹介サイトでは、「スチールとガラスの印象的な建物」「大量輸送時代の近未来的な大聖堂のよう」等と紹介されています。
写真:陽月 よつか
地図を見る吹き抜けの上部には空中経路が通っています。ホテルグランヴィア7階の東テラスから伊勢丹10階まで続く45mの通路で、誰でも無料で入場可能。10時から22時まで通ることができます。
この空中経路、外国人旅行者向けの日本紹介サイトでは写真つきで掲載されたり「京都駅ビルなら伊勢丹やツーリストインフォメーションもあるけど何よりまずここ!」と言った風に紹介されていたりの人気スポット。ですが日本人からするとあまり名前を聞かないような…?
実はこの経路、あちこちに案内表示はある割になかなかの見つけ難さなのです。伊勢丹の10階はエスカレーターが通り過ぎる途中階ですし、ホテルグランヴィア7階はチャペルフロアなので一般のお客はあまり行かない場所。ですので必然的に、人の少ない穴場エリアとなっています。
通ってみると、まるでSF世界に迷い込んだかのよう。通路自体も美しいですが、途中には2カ所の展望スペースがあり、正面の京都タワーを始め東山から嵐山へと京都を囲む山々を気持ちよく見晴るかすことができます。またここからパノラマで見る京都の夜景もとてもおすすめ! ただ温室効果も満点なので、夏の日中はご注意くださいね。
写真:陽月 よつか
地図を見る京都駅ビル大階段駆け上がり大会でお馴染みの大階段、その一番上は屋上「大空広場」。場所はわかりやすい割に上まで登る人はそれほど多くない場所ですが、外国人への日本紹介ではこちらもしっかり見どころの一つに紹介されています。
そのご紹介は「展望デッキ」。そしてその説明はと言えば、「眺めは非常によろしくありません」。バッサリ。これは展望ガラスが色ガラスだからとのことですが、そもそもそこにはちょっとした誤解があります。
もともと京都駅屋上の構想は、屋上緑化計画としての「空中庭園」。日中の気温が35℃を超える日数が日本最多である京都の街を涼しくするための取り組みなのです。ですので展望ではなくその内側、竹取物語をモチーフにした竹と芝生の庭園「葉っぴぃてらす」が本来のメイン。
またなぜ外ガラスが展望に不向きな色つきかと言えば、ハーフミラーガラスであるため。この京都駅駅舎のファザード(正面)を始めとするほとんどの壁面は、外から見た時「明るく輝く立面を実現するべく、ほとんどガラス面として、建築はかつ消えかつ浮かんで、北の空と重なり」見えるようにと作られたものなのです。(JR京都駅改築設計競技 設計要旨説明書より)
初めから外を見るためのガラスではないし、展望デッキでもないわけで…。しかし高い建物の少ない京都をパノラマで見渡すことのできるこの高さと立地、期待するのも無理ないのかもしれません。ちなみにこちらの屋上、「大文字・五山の送り火」を見るにも良いスポットですよ。
写真:陽月 よつか
地図を見る京都駅ビルは日本を代表する名建築として第40回BCS賞(建築業協会賞)を受賞。また第1回近畿の駅百選にも選定されている、日本の名所の一つなのです。しかしながら京都という場所がそもそもにして飛びぬけた歴史的名所の宝庫なため、日本人にとっての京都の名所というとなかなか思いつき難いかもしれません。
それが歴史しがらみのない外国人の視点からすると、京都旅行のオススメと言えば、祇園、金閣寺、京都駅ビル…と並ぶのです。びっくりですが言われてみれば確かにその通り! 歴史目線を外して見ると、京都の新たな面白さが見えてきますね。
今回ご紹介した以外にも京都駅ビルは、オブジェあり花壇あり、出っ張っていたり引っ込んでいたりの不思議で面白い建物。上から下まで回遊できますので、あれこれ寄り道探検も楽しいですよ。ちなみに写真の吹き抜けは映画『ガメラ3 邪神覚醒』でのガメラとイリスの最終決戦地。怪獣映画史上で初めての屋内戦の舞台になったんだよ、と外国人観光客の方に教えてあげると、ちょっと喜ばれるかもしれません。
日本人の知らない京都駅案内、いかがでしたでしょうか? 京都駅ビルで写真や動画を撮る外国人観光客の方々は、実は単なる旅の記念以上にアカデミックな京都駅を楽しんでいるのかもしれませんね。
もちろん京都駅には日本人の多くが知っている美味しいお店や魅力的スポットもたくさんあり、一度二度の訪れでは全容を把握しきれないほどです。新幹線の待ち時間や待ち合わせなど、ちょっとした時間の空きやすい京都駅。ぜひ時間をつぶすだけでなく、駅を楽しんでくださいね。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
陽月 よつか
奈良・神戸・沖縄を中心とした全国の旅情報を、ちょっとオタクなノリからご紹介しています。ご紹介場所は主に、神社仏閣、パワースポット、伝統文化や歴史スポット。それに温泉とご当地グルメ。鉄道や駅、ホテルや旅…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索