「ぎふメディアコスモス」があるのはJR岐阜駅・名鉄岐阜駅からバスで10分ほど、岐阜市のシンボル・岐阜城が建つ金華山を東に臨む広々としたエリアの北側にあります。このエリア一帯には元々岐阜大学の施設が建ち、その跡地となった場所を岐阜市が中心となり、市民と行政の拠点 "つかさのまち" として整備する "つかさのまち夢プロジェクト" を積極的に行っています。近隣には「岐阜市民会館」や、天台宗の寺院である「美江寺観音」といった文化・観光施設があつまることから、将来の岐阜市の一大拠点となることも期待されています。
そのプロジェクトの一環として完成したこちらの施設には、老朽化や蔵書数の拡大を目的に新しくなった岐阜市立中央図書館を中心に、市民活動の発表の場であるスタジオのある交流センターや、国際交流を目的とした多文化交流プラザなどが備わっており、岐阜市の新しい複合交流拠点として利用されています。
この建物のメインとなるのが、2階フロアにある岐阜市立中央図書館。図書館全体はおよそ80m×90mもの超広大なワンルーム空間で、その真上グネグネと波のように畝(うね)る木の大屋根が覆い、その所々に光るドーム屋根が吊り下げられるという、一瞬図書館なのかと疑ってしまう近未来的かつ幻想的な空間。館内には木材の香りが充満しているので、椅子に腰掛けただけでも香りで癒されてしまいます。
この建物の設計を手掛けたのは建築界のノーベル賞とも称される "プリツカー賞" を2013年に受賞した建築家・伊東豊雄氏。有機的なチューブの柱を特徴とした「せんだいメディアテーク」や、コンクリートのアーチが連続する「多摩美術大学図書館」など、あらゆる素材や構法技術を駆使して革新的な空間に挑戦し続ける世界的建築家です。
大屋根には岐阜の県産材 "東濃ひのき" が用いられ、それを三角形の格子状にひとつひとつ職人が積み重ねるという大作業の末に完成したもので、屋根の畝りはヒノキ材のしなりを活かして積み上げられています。図書館を柔らかく覆う大屋根は伊東氏のアイデアと岐阜のヒノキの力、そして職人方の技術力の結晶というわけです。
そしてこの図書館もう一つの空間ポイントが "グローブ" とよばれる半透明の素材で覆われた笠状のドーム屋根。昼間は上部のトップライトから自然光を取り込み、夜はLED照明を用いてドーム全体を光のドームとして演出する幻想的な仕掛けになっています。人々を包み込みながら柔らかい光を放つこの照明デザインは、照明学会主催のデザイン賞で最優秀賞を受賞しています。
図書館内に吊り下げられたグローブは全部で11個ありますが、それぞれの表面に様々な模様が施されているのもポイント。総合カウンターは丸柄、子供スペースに花柄、ヤングアダルト(中高生専用)のスペースには正方形のチェック柄など、バラエティ豊かなグローブのデザインにも目を凝らしてみてください。
「ぎふメディアコスモス」の注目ポイントは空間だけではありません。館内の案内には欠かせないマークや文字をデザインするサイン計画も見所。日本を代表するグラフィックデザイナー・原研哉氏が手がける独特ながらも可愛らしいフォントや、手で触るだけでも楽しい立体的な案内マップなど、見るだけでもワクワクしてしまうユニークなデザインを是非探してみてください。
建物の完成以降、県外のみならず外国人観光客の方々も多く訪れる市内スポットとなった「ぎふメディアコスモス」ですが、岐阜市が展開する "つかさのまち夢プロジェクト" としてはまだ第一段階。2021年には次なる新施設として、現在駐車場となっているエリア南側に「岐阜市新庁舎」が完成することになっています。
新市庁舎も全体的に丸みのあるデザインが特徴的で、将来的には「ぎふメディアコスモス」と「岐阜市新庁舎」の間を "みんなの広場 カオカオ" というにぎわい広場で繋ぎ、岐阜市の行政・文化の一大拠点として整備することになっています。さらにはエリア西側にある市役所本庁舎跡地にも「市民文化ホール(仮称)」の建設が計画されており、今後の "つかさのまち" 発展にも目が離せません。
このような空間的な見所満載の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」は岐阜市民のにぎわいの場だけではく、岐阜県の新しい観光スポットとして定着しつつあります。岐阜市観光の際は是非一度お越しになって、世界的建築家の近未来図書館を肌で感じ取ってみてください。
公共交通をご利用の際はJR岐阜駅・名鉄岐阜駅から出発する路線バスにご乗車し、メディアコスモス前バス停にてお降りください。運賃は大人210円、小人110円(後払い)。岐阜市街地をグルリと観光したい場合は、JR岐阜駅南口の市営レンタサイクルが便利です。
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