北海道洞爺湖町は2000年に金毘羅山が噴火し、周辺地域は大きな被害にあいました。現在、洞爺湖町ではこの時の噴火の様子を伝えるものとして「金毘羅火口災害遺構散策路」を整備。この散策路は、噴火でできた火口や被害にあった国道などを見学しながら、大自然の中を歩くことができるフットパスコースとなっています。
「金毘羅火口災害遺構散策路」のスタート地点は「洞爺湖ビジターセンター・火山科学館」。この場所に『T-1』があり、『T-1』から順に『T-10』まで番号が振られた看板が立てられていて、この順に歩くと迷うことはありません。ちなみに、『T』は洞爺湖の頭文字。『T-2』の案内所には探検マップやパンフレットも置いてありますから、それを見ながら散策するとより楽しめると思います。
さて、今回ご紹介する「有くん火口」は『T-7』のポイント近くです。写真撮影しながらのんびり歩いて約60分の周遊コース。途中に火山灰の道や急斜面、ゴロゴロとした岩石が転がる場所もありますから、運動靴や帽子、ハンドタオルなど軽登山の服装で挑みましょう。まず前半の『T-1』から『T-3』途中までは、なだらかな道やダムの上のコンクリートを歩く、軽いウォーミングアップコースです。
『T-3』から『T-4』までは木々の間を進む登り坂。秋は紅葉した葉が散策路の上に落ち、まるでオレンジ色のカーペットの上を歩いているようです。桜や楓などの広葉樹が多いこのエリアは、急な坂道になっている部分もありますが直射日光が入ってきにくく、歩いていてもとても快適!森林浴を存分に楽しむことができます。
『T-4』から『T-5』は旧国道230号線。この国道は噴火後通行止めになり、現在は車道として使用されていません。散策路脇には倒れかかったミラーがあり、以前は車が走る道路だったという名残りを見ることができます。また、かつて車道だった部分は半分以上が草木に覆われ、噴火の被害の大きさや噴火後に一変した人々の生活などを想像すると、感慨深いものがあります。
さらに進んで『T-5』から『T-6』、そして『T-7』までは細く急な坂道になっています。このエリアが「有くん火口」へ向かう「金毘羅火口災害遺構散策路」の最難関!心して挑みましょう。この辺りの道は、火山灰の上を歩くことになります。雨の降った後は滑りやすくなっていますから、特に注意深く歩くことが大切です。
散策路もここまで進んで来るとかなり息が上がります。ちょっと辛いなと感じた時は、ぜひ後ろを振り向いてみてください。真後ろには美しい洞爺湖がそっと見守ってくれています。高い位置から見下ろす洞爺湖もまた趣があり、散策路を登ってきた人だけが見れる洞爺湖の表情は格別なものがあると思いますよ!
さて、『T-7』まで登れば、あとは目前の火口を目指すのみです!『T-7』から火口まではほんの数十メートルですが、火口のすぐ近くということもあり火山岩がゴロゴロと転がる急斜面です。
画像は火口へ向かう斜面から洞爺湖を撮影したものですが、洞爺湖の水面と斜面の傾斜を見比べると、どれくらい急な傾斜になっているかご想像いただけると思います。火口が目前に迫りはやる気持ちはあると思いますが、そこはぐっと抑えて慎重に進みましょう。
火口のすぐ淵、ロープが張られた場所に立つと眼下には神秘的な緑色の沼を見ることができます。美しく輝く湖面はまさしくエメラルドグリーン!思わず感嘆の声をあげてしまうこと必至の絶景が広がります。
「有くん火口」と名付けられた火口に水がたまってできた神秘的な沼。このエメラルド色は、季節や天候によって変化します。天候が良い日が続いた後は透明度も高くより鮮やかなエメラルド色に輝きますから、訪問当日の天候はもちろん、良い天候が続いた時を狙って訪問することをお勧めします。
2000年の噴火でできた火口の中で最大の大きさをほこる「有くん火口」。張られたロープから水面までの深さは何と20メートル!沼の深さは最大で10メートルとも言われています。間近で見ると数字で聞くよりも大きく見え、その雄大な姿は圧巻の一言。ここまで散策路を登ってきた疲れも吹き飛ぶ感動の光景ですよ!
北海道洞爺湖町の「金毘羅火口災害遺構散策路」を歩けば、自然の圧倒的なパワーと人間では到底生み出すことのできない神秘的な光景をまざまざと見せつけられます。使うことができなくなってしまった旧国道や傾いたミラーを見れば、噴火のすさまじさを容易に想像することができるでしょう。
また、「有くん火口」の沼はエメラルドグリーンに輝く圧巻の光景!火口までの道のりは急斜面になっている部分もあり歩くと息があがるほどの行程ではありますが、汗をかき息を切らして歩く価値は十分あったと感じさせてくれる絶景です。ぜひ安全な服装で散策路を登り、「有くん火口」の素晴らしい光景を間近で堪能してみてください。
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