写真:木村 岳人
地図を見る景色の良い渓谷と聞くと、どうしても山深い場所にあって、車が無いとアクセスが難しいというイメージがつきまといがち。しかし、昇仙峡は違います。
昇仙峡への拠点となる甲府までは新宿から特急で1時間半ですし、また甲府からも直通のバスが出ていてアクセスらくらく。それでこの景色を見る事ができるのだから、いやぁ素晴らしいじゃないですか。
ちなみに、バスは終点の「滝上バス停」までは乗車せず、昇仙峡の入口に架かる長潭橋(ながとろばし)のすぐ側「天神森バス停」で下車し、そこから「滝上」まで遊歩道を歩く事をオススメします。遊歩道の距離は約5km、写真を撮りながらゆっくり歩いて2時間の道のりです。
写真:木村 岳人
地図を見る昇仙峡の峡谷は、花崗岩の岩山が川の水に浸食されて形成されました。花崗岩と言われてもイマイチピンと来ないかもしませんが、墓石や建物の外壁などに使われる御影石、あれが花崗岩なんですね。
石材としても盛んに用いられる花崗岩なだけあって、川の流れによって磨かれた昇仙峡の岩肌は白く滑らか。周囲に生えるモミジなどの木々と相まって、素晴らしいコントラストを見せてくれます。
花崗岩と木々、そして流れる水が織り成すその景観は、日本を代表する渓谷美の一つとして、昭和28年(1953年)に国の特別名勝に指定されました。
写真:木村 岳人
地図を見る花崗岩は非常に硬い岩ですが、その一方で雨風による風化には弱いという特徴があります。また割れる時には規則的に割れやすく、まるで刀で切ったようにスパンと綺麗に割れるのです。
そのような花崗岩の性質から、昇仙峡ではユニークな形状の岩を数多く見る事ができます。まるで仏像のようなシルエットの「大仏岩」や、豆腐のように四角く切れた「トーフ岩」、なんともおいしそうな「松茸岩」などなど、次々と現れる奇岩が目を楽しませてくれます。
写真:木村 岳人
地図を見る昇仙峡の中心部にそびえる「覚円峰(かくえんぼう)」は、御嶽昇仙峡に連なる岩山の代表格。覚円という平安時代のお坊さんが、頂上で修業をしたという伝説から名付けられました。
その「覚円峰」と向かい合うように立つのは「天狗岩」。すらりと滑らかな「覚円峰」に対し、「天狗岩」はどっしりゴツゴツとした荒々しい印象。その対比がなんとも面白いのです。
またそれら二つの岩山を眺められる展望ポイントは、モミジの木が立ち並ぶ絶好の紅葉スポットです。昇仙峡に来たのなら絶対に見逃せないポイントですね。
写真:木村 岳人
地図を見る覚円峰から渓谷沿いの遊歩道をさらに進み、そうして辿り着くのが昇仙峡の最終地点、落差30mの「仙娥滝(せんがたき)」です。
左右からせり出す岩盤はやはり滑らかな花崗岩で、どことなく女性のような雰囲気を醸す美しい滝です。その華麗なたたずまいから「日本の滝百選」にも選定され、昇仙峡と共に名を知られています。
昇仙峡はこの仙娥滝で終わりですが、時間があれば少し先のロープウェイでパノラマ台まで上がると良いでしょう。その展望台からは、南の富士山を始め、西の南アルプス、北および東の奥秩父山塊と、まさにパノラマな眺めを楽しむ事ができます。
都心から手軽に行く事ができるにも関わらず、奇岩や紅葉など目を見張る景色が連続する御嶽昇仙峡。今年の紅葉シーズン、まだ行く場所が決まっていないのならば、昇仙峡はいかがでしょう。
渓谷沿いの遊歩道は比較的なだらかで歩きやすく、服装も歩きやすいものなら問題ありません。また長潭橋から約2km先の能泉までは観光馬車も出ていますので、長距離歩くのが苦手な方は利用すると良いでしょう。親子連れにも最適です。
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(2024/9/16更新)
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