黒部のトロッコ列車には、窓付き3人掛けシートのリラックス客車、4人掛けシートの特別客車、そして窓がなく4人掛けの普通車があります。それぞれ料金が違い、リラックス客車、特別客車はボギー台車を使用していますが、普通車は2軸のため少々乗り心地が悪いです。でも、窓がないので黒部峡谷の爽やかな風をじかに肌で感じることができるのです。これらのトロッコ列車に乗るには予約が必要です。
夏でも長袖が欲しくなる程、涼しい風が吹く黒部峡谷ですから、雨の時には普通車ではかなり濡れて肌寒くなることを覚悟してレインコートの持参がおすすめです。
日本で一番深いといわれるV字型に切れ込んだ谷あい、そしてトロッコから手を伸ばせば壁に当たってしまうほど両側に迫ってくる狭いトンネル。乗っている約1時間20分は「ハラハラ、ドキドキ」の連続です。
この黒部峡谷鉄道は、かつては電力会社の資材と作業員を乗せるために敷設されたもので、一部の景色を探勝したいという人のために「命の補償はしない」という条件付きで同乗を許可したという歴史があります。そしてその後事業許可を取得して一般に開放されたのです。
黒部峡谷トロッコ列車は11月30日でその年の営業を終え、深い雪の中で春までの眠りにつきます。雪の被害から鉄道を守るために鉄橋にかかっている線路は取り外され、トンネルは入り口の扉を閉じるのです。
では鉄道も使えないで保線員の人たちは約20kmの道のりをどのように行き来するのでしょう。雪の中でもけやき平まで安心して歩いて通れる専用のトンネルがあるのです。しかしずっとトンネルの中ですから非常な苦労だと想像できます。
黒部峡谷鉄道の「宇奈月〜けやき平」には途中に柳橋、森石、黒薙、笹平、出平、猫又、鐘釣、小屋平といった八つの駅があります。そのほとんどの駅では停車をするという程度で、駅舎の外へ出てのんびりと景色を楽しむことはできません。そこで少し沿線のご紹介をいたしましょう。
宇奈月を出て一つ目の駅、柳橋を過ぎた右手に長く細い吊橋が見えてきます。これは猿専用の吊橋で人間は通れません。そしてすぐのところに岩が石仏に似ているところから付けられた仏石です。次の森石駅を過ぎて森石橋を過ぎたあたりからさらに山が深くなります。
次の黒薙駅からは黒薙温泉へ行くことができます。宿もありますので1泊するのもよいでしょう。黒薙駅を過ぎてすぐの黒薙川に架かる後曳橋からは気の弱い人は下を見ないようにしましょう。この橋は人を寄せ付けない深い険しい谷にかかっており、かなりスリリングです。
鐘釣駅を過ぎた左側に何やら白い変なものが見えますが、これが黒部の万年雪です。この万年雪は対岸の百貫山に降った雪が雪崩となって
落ち堆積したもので、溶け始めるのですが完全に溶け切らないうちに新たなの雪が降り、その繰り返しで万年雪となったものです。
そして鐘釣駅のそばには鐘釣美山荘、鐘釣温泉旅館と言って温泉施設があり、少し歩いた黒部川には自分で掘って作る河原の露天風呂もあります。もし興味があって降りられる方は、帰りのトロッコ列車の時刻表を確かめて乗り遅れがないようにしましょう。
黒部峡谷鉄道の終着駅、けやき平へ下り立ったらここから歩いて、新黒部第3発電所を経由してあの映画「黒部の太陽」で一躍有名になった黒部渓谷へも行くことができますが、これは本格的な登山の装備をした山歩きになれた人の事で、駅から河原へ降りて河原沿いに散策するのが良いでしょう。そして駅のすぐ下の河原にある足湯に浸かって疲れた脚を休めて下さい。
一つ言い忘れました。トロッコ列車はできれば宇奈月駅では進行方向の右側へ、そしてけやき平では左側に座った方が良いようです。なぜならその方が景観が良いからです。
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