写真:藤井 麻未
地図を見る北埔は、台北から日帰り圏内の新竹県にある。台北から高鐵(台湾新幹線)に乗り新竹駅までわずか30分。新竹駅からは台湾好行バスの獅山線に乗って約40分で北埔老街へと到着する。バスは台北の風景とは一味違った緑多い郊外を走り、周囲の景色も道行く人もどことなくのんびりしている。日帰りが十分可能なため台北からのちょっとした遠足気分で訪れることができるのも魅力だ。
写真:藤井 麻未
地図を見る北埔は客家(ハッカ)民族が造り上げた街だ。客家民族とは、大陸から台湾へと渡ってきた民族。台湾にはもともと台湾原住民がいたが、その後中国福建省から渡ってきた人々が現在の台湾人となり、客家民族はその更に後からやってきた。
彼らは少人数で、かつ少ない土地に住まなければならなかったため忍耐力が強く勤勉で努力家、質素倹約な民族として知られている。そんな客家民族が古くから暮らしその伝統を今でも色濃く残しているのがこの北埔の街なのだ。歴史に彩られた客家の伝統を感じられる、貴重な街だと言えよう。
写真:藤井 麻未
地図を見る北埔の魅力はやはりノスタルジックな街角の風景だ。客家民族の家屋の特徴としては、まず煉瓦造りの平屋だということ。この赤煉瓦で統一された家々が、街をよりレトロに感じさせてくれる。
そして、彼らの街につきものなのが曲がりくねった路地や細い裏道、抜け道。それらは石畳が多く入り組んでいてまるで迷路のようになっている。静寂に包まれた路地裏を散策していると、ふと慌ただしい現代にいることを忘れさせてくれるような魅惑的な一角を発見したりする。
北埔は九フンほどメジャーな観光地ではないためどこもひっそりと静まり返っており、時折通り過ぎる地元民と挨拶を交わしたりするのも心地よい。金廣福公館や天水堂など、客家の伝統を伝える建造物を観察して周るのもおススメだ。
写真:藤井 麻未
地図を見る北埔は小さな街ではあるが、迷路のような路地を歩いていると最後は慈天宮という寺院に辿り着くようになっている。
慈天宮は北埔の人々の信仰の拠り所として古くからこの場所にある。なかなか立派な寺ではあるが、境内に入ると微かに線香の薫りが漂い地元民が数人静かに祈りを捧げているのみで、観光寺にありがちな賑やかさはない。しかし、それがなんとも心地よく心身を癒してくれるのだ。
写真:藤井 麻未
地図を見るさて、北埔に来たら楽しみのひとつはノスタルジックな客家の伝統家屋で食べるランチだ。北埔には客家料理を出す店や茶坊がいくつかあるが、その中でもおススメなのが「水井茶堂」。北埔は客家民族の街という以外に東方美人茶の台湾有数の産地でもある。ここでは素朴な客家料理とともに、選りすぐりの東方美人茶を頂くことができるのだ。
滋味深い料理に甘い香りのするまろやかな東方美人茶、身体が浄化されていくような気分になるだろう。水井茶堂は客家の伝統的な屋敷をそのまま使っており、その味わい深い佇まいや昔の日本家屋を思わせるノスタルジックな空間に身を置いているだけで癒される。
さて九フンに負けず劣らずレトロな街、北埔はいかがだっただろうか。台北から日帰りするには丁度良い距離、そして街の規模。見どころがあまり多いと日帰りでは慌ただしくなってしまうが、北埔ほどの街ならば人ごみからエスケープしてノスタルジーに浸るにはもってこいだ。穴場感満載で食事もお茶も美味しく、そしてプチ歴史探訪もできる、良いところ尽くしの北埔へぜひ台北から足を延ばしてみてはいかがだろうか。
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