青森・メモリアルシップ八甲田丸で青函連絡船の時代を偲ぼう

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青森・メモリアルシップ八甲田丸で青函連絡船の時代を偲ぼう

青森・メモリアルシップ八甲田丸で青函連絡船の時代を偲ぼう

更新日:2016/09/15 15:42

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

青森港第二岸壁に係留されている「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」は、かつて青森と函館を結ぶ青函連絡船として活躍した船です。連絡船としての用途が廃止された後は博物館に転用され、連絡船在りし日の姿を今に伝えています。船を訪ね、誰もが海を渡って北海道、あるいは本州を訪ねた時代に思いを馳せてみましょう。

1988(昭和63)年まで運航された最後の青函連絡船

1988(昭和63)年まで運航された最後の青函連絡船

写真:池口 英司

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八甲田丸は、青森と函館を結ぶ青函連絡船として運航していた船です。JRの青函連絡船は、青函トンネルの開通に伴い1988(昭和63)年3月に廃止され、用途廃止となった八甲田丸は、改修工事を受けて青森駅に近い現在地に係留され、1990(平成2)年から洋上博物館としての運営が開始されました。

船は外観、船内とも一部を除いて現役時代の姿が留められ、青函連絡船在りし日に思いを馳せることができます。まだ航空機の運賃が高く、青函トンネルもなかった時代に、本州と北海道の間を旅行する人は、この連絡船に乗って津軽海峡を渡ったのです。

連絡船の青森~函館間の所要時間は4時間。今日の目から見れば、それはとてものんびりとしたものでしたが、この4時間の存在が、北海道への旅行をとても印象深いものに仕立てていました。

船内に鉄道車両を搭載できる船

船内に鉄道車両を搭載できる船

写真:池口 英司

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青函連絡船の大きな特徴は、船内に鉄道車両を搭載できることで、貨物輸送に使用される貨車や機関車など、多くの車両が船に乗せられて、本州と北海道の間を渡りました。

八甲田丸では、現在も車両の搭載に使用された「車両甲板」が、現役当時とほとんど変わらない姿で保存されており、ディーゼル機関車、特急形ディーゼルカーも留置されています。

青函連絡船が健在だった頃、青森駅では船に車両を積み込む運転が頻繁に行われていて、いつも駅の構内は活気に溢れていました。連絡船は、躍動する鉄道を象徴する存在でもあったのです。

憧れの的だったグリーン船室

憧れの的だったグリーン船室

写真:池口 英司

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赤い、大型のシートがゆったりと並べられているのが、グリーン船室です。お盆や、年末・年始など、多くの人が連絡船に殺到した時期に、憧れの的となっていたのが、この施設でした。

八甲田丸が洋上博物館に転用された際に、幾つかの設備は撤去されてしまいましたが、このグリーン船室は昔の姿がそのまま残されています。

ブリッジも見学が可能です

ブリッジも見学が可能です

写真:池口 英司

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船の運航を司る中枢となっていたのがブリッジ(船橋)で、八甲田丸では、今もレーダーなどの設備がそのまま残されています。八甲田丸には当時の最新機器が搭載され、船の安全運航に役立てられていました。

津軽海峡は、特に冬場には荒天に見舞われることが多く、プロの船乗りたちも、その冬の最初の時化(しけ)の時ばかりは、まだ体が慣れていないことから、船酔いでグロッキーになったのだそうです。それでもだからといって運航ダイヤが乱れることはなく、何もなかったように、乗客を決められた時間で運ぶことに、プロの気概が隠れていたのです。

連絡船桟橋にはレールが延びていました

連絡船桟橋にはレールが延びていました

写真:池口 英司

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連絡船が発着していた桟橋には駅からレールが延ばされ、車両をそのまま船内に積み込むことが可能になっていました。船の手前に見えるコの字形の施設が車両の積み込みに使用された可動橋で、現在は八甲田丸と共に、日本機械学会の機械遺産に指定されています。

連絡船は鉄道の一部として運航されました

まだ青函トンネルが開通せず、本州の鉄道と北海道の鉄道が連絡船で繋がれていた時代、青森への列車の到着が遅れた時には、函館で出発を待つ列車の出発を遅らせないために、船の乗組員は必死の操作で船足を速め、ダイヤの乱れを最小限に食い止めたといいます。乗客が誰一人気がつかない努力を無言のうちに行っていた連絡船の乗組員も、紛れもなく鉄道を守る一人だったのです。今も青森駅のすぐ脇に繋がれた八甲田丸の姿には、この船と鉄道の関わりがとても深いものであったことを感じ取ることができます。

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/05/31−2011/09/10 訪問

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