100年以上非公開!静岡・函南町「かんなみ仏の里美術館」の秘仏を巡る旅

100年以上非公開!静岡・函南町「かんなみ仏の里美術館」の秘仏を巡る旅

更新日:2016/11/25 11:39

「かんなみ仏の里美術館」は、静岡県田方郡函南町の「桑原薬師堂」に安置されていた24体の仏像群を展示する美術館。所蔵の仏像は、長い間保存継承された歴史的な価値が高いものばかりで、県有形文化財の「十二神将立像」や国指定重要文化財「阿弥陀三尊像」など、国宝級の仏像を見られます。併せて、美術館近くにある「桑原薬師堂」とレア度満点なパワスポ「桑原西国三十三所観音霊場」などをご紹介します。

仏像鑑賞初心者にお勧め!歴史のエキスパートの解説付きでお得な美術館

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ご紹介する「かんなみ仏の里美術館」は、東名高速道路沼津ICより東駿河湾環状道路を経由して約25分、田方郡函南町の静かな山間にあります。地元の桑原地区にある「桑原薬師堂」に安置されていた仏像を保存展示する美術館として2012年にオープン。明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)、仏教の敗訴運動で仏像が見つかり壊されるのを恐れて、薬師堂で100年以上もの長い間守り続けたもので、あまり人目に付くことがなかった秘蔵仏が館内に納められています。

全部で24体あり、平安時代や鎌倉時代に作られた学問的・歴史的に貴重ものばかりを展示。開館4年半で10万人もの人が訪れる人気のある美術館です。

最初に仏像の説明を聞いて学ぶ「資料展示室」

最初に仏像の説明を聞いて学ぶ「資料展示室」

提供元:函南町教育委員会 生涯学習課

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美術館に入館するといきなり仏像を鑑賞するのではなく、まず最初に資料展示室でボランティアガイドの説明を聞きます。

展示されている仏像の特徴や時代背景の他、釈迦・菩薩・明王などの仏像の基礎に至るまで、誰にでも分かり易く教えてくれるので地元の中学校がわざわざ聞きに来るほど。説明を聞けばより面白く鑑賞ができ、仏像の予備知識がなくても安心して楽しめますよ。

仏像の世界に引き込まれるっ!圧巻の展示室

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提供元:函南町教育委員会 生涯学習課

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説明を聞いてから仏像が保管されている展示室へ移動。展示室は薄暗く重々しいし雰囲気。照明が当てられて暗がりに浮かび上がるように仏像が展示されており、まさに幻想的です。

ここで最も見ておきたいのが写真の「阿弥陀三尊像」です。国の重要文化財に指定されている、鎌倉時代を代表する「慶派」と呼ばれる仏師が手掛けた作品。卓越した技術が高く評価されており、一見の価値ありです。中央の優しいお顔立ちの「阿弥陀如来」は死後に浄土と言う楽園に導いてくれる仏なので、是非拝んでみては如何でしょうか? この他、県指定有形文化財の「薬師如来坐像」や、十二体揃っている「十二神将立像」などの珍しい仏像もあるのでお見逃しなく。

美術館での鑑賞後にお勧め!仏像の故郷「桑原薬師堂」

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美術館で鑑賞した後、最初に仏像が安置されていた「桑原薬師堂」を訪れてみませんか? ここは先程の美術館から見える場所で、徒歩5分ほどのところにある「長源寺」の山手になります。

仏像は美術館に移されていてありませんが、元々あった仏像の場所に写真が貼られるなど、未だに地元の人々の厚い信仰心が感じられる温かなところ。人通りが少なく木々が覆い茂りひっそりとしていますが、何故か気持ちが落ち着いてしまうような不思議な場所です。不定期ですがここでフルートやオカリナなどのコンサートが開かれるなど、イベントも開催されています。

そしてここは「桑原西国三十三所観音霊場」の入口に位置していて、三十三所観音巡りもできてしまう仏像好きにお勧めなところです。

たった10分で御利益あり!知る人ぞ知る観音霊場

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堂の前を通りすぎると観音霊場の入口があります。この「桑原西国三十三所観音霊場」は、和歌山県那智勝浦町の那智山青岸渡寺から始まる2府4県に亘って行われる観音信仰の霊場「西国三十三所観音霊場」をミニチュア化したもの。小高い山を使って巡拝路が設けられていて、道沿いに霊場の本尊の観音菩薩を刻んだ三十三体の石像が置かれています。ぐるりと一周することができるようになっていて、10分位で巡ることができますよ。

ここにある石像は、着ている衣や顔の表情などの細部まで丁寧に作られていて、彫刻的に価値が高いものばかり。町指定文化財になっていて、仏像マニアには堪らないところかもしれません。その昔、本当の霊場へ行くのはとっても困難で、作っている農作物に影響が出たことなどから、この場所に作られました。この観音霊場は、人々を災害や病気から守って欲しいなどの願いなのです。ここを1周するだけで、本物の霊場を回ったのと同じ御利益があるようなので、是非巡ってみて下さいね。

おわりに

観音霊場の参拝路は舗装されておらず歩きにくいため、スニーカーなどの歩きやすい靴で行くのが良いでしょう。

美術館の仏像がこれまで桑原薬師堂にあったことから、美術館の外観も堂をイメージした斬新なデザインになっているので是非ご注目下さい。仏像は下から見ると笑っているように見えるなど、見る角度によって違った表情を見られるので面白いですよ。美術館では、十二神将立像が描かれたしおりや薬師如来坐像の絵葉書など、お土産品も売っているので記念に如何でしょうか?

入館料だけでガイドの説明も無料で聞けてお得な「かんなみ仏の里美術館」には、地元の人々が代々守り続け、時代の荒波をくぐり抜けた素晴らしい仏像が展示されています。仏像に興味のない人でも、思わずホッとしてしまう癒し系の仏像も展示しているので、疲れている人には癒しのスポットとしてお勧め。ここを訪れたら、きっとあなたも仏像好きになってしまうでしょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/04/24 訪問

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