島崎藤村も癒された名湯“吉野の隠れ湯”お宿「吉野温泉元湯」

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島崎藤村も癒された名湯“吉野の隠れ湯”お宿「吉野温泉元湯」

島崎藤村も癒された名湯“吉野の隠れ湯”お宿「吉野温泉元湯」

更新日:2016/09/19 19:09

陽月 よつかのプロフィール写真 陽月 よつか フリーライター、星空準案内人、興福寺阿修羅ファンクラブ会員

桜に紅葉の名高い名所、奈良・吉野山。日本有数の歴史深い霊山で、隠れ湯と称された温泉があるのをご存じですか? 修験者や文人墨客を虜にしてきた「吉野の隠れ湯」は源泉100%のかけ流し! またこちらは島崎藤村ゆかりのお宿、当時のままのお部屋でなんとお食事もいただけます。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」特別賞にも選ばれた、奈良の隠れた名門宿「吉野山温泉元湯」のご紹介です。

吉野の山にひっそり佇む、伝説のお湯を守る宿

吉野の山にひっそり佇む、伝説のお湯を守る宿

写真:陽月 よつか

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奈良県吉野山の大自然に囲まれたお宿・吉野山温泉元湯は、明治3年開業の秘湯の湯。お宿の前には渓流が流れ、6室全ての客室の窓から見える日本庭園には春には桜・秋には紅葉、借景には堂々たる吉野霊山という野趣溢れるお宿です。

山が深いため宿から直接は見えませんが、立地はちょうど世界遺産・金峯山寺蔵王堂の山の下辺り。登り山道でも20分ほどで歩いていけます。それよりも近いのは世界遺産・吉水神社や如意輪寺で、歩いて15分という近さ。歴史深い吉野の厳かな空気を、五感の全てで感じることができます。

ですがこちらのお宿がおすすめの理由はその立地ではありません。修験道の霊場である吉野で、そのお湯のあまりのすばらしさ気持ちよさに戒律を破り入り浸る修験者が続出したという、伝説の温泉「吉野の隠れ湯」…こちらはそのお湯に入れる唯一のお宿なのです!

修験者も虜にした名湯「吉野の隠れ湯」は100%源泉かけ流し、飲用も可!

修験者も虜にした名湯「吉野の隠れ湯」は100%源泉かけ流し、飲用も可!

写真:陽月 よつか

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温泉は赤みを帯びた含鉄炭酸船泉、100%源泉かけ流しです。湯気にはほんのり甘い温泉の香り。湯床に触ると手足に赤い色がつくほど濃厚で、肌当たり優しいながらパンチがある、これぞ温泉と言いたくなるようなしっかりしたお湯です。

この温泉の開湯は約300年前。当時「吉野の湯」として有馬・道後と並び称されるほどの名湯でしたが、あまりの名湯ぶりから、山の修験者が湯治と称して入り浸り、酒色に耽り戒律を乱す者が続出。営業禁止、施設取り壊しとなりました。
ですが禁止されてもなお、名湯を求めて秘かに利用する人達が後を絶たなかったため、密かに野小屋を建てて希望者にお湯を開放。そのため誰ともなく「吉野の隠れ湯」又は「内証風呂」と呼ぶようになったという、歴史のある温泉です。

水質は単純二酸化炭素冷鉱泉(低張性、中性)。リウマチや貧血、婦人病に効果があるとされるお湯です。また飲用の効能もあり、希望すれば源泉から少し汲んで貰えます。ただし胃腸に障害のある場合や、お茶やコーヒーなどの直前直後は禁忌とされますのでご注意くださいね。

またこちらの温泉は、日帰り入浴も可能! シャンプーリンス等はそろっていますしフェイスタオルは無料で貸して貰えるので、吉野山ついでに思い立ったらふらりと寄れます。男湯女湯ともに大きな窓から日本庭園を眺めながら、吉野の隠れ湯にのーんびり…。帰りたくなくなるほどの気持ちよさですよ!(受付は14:30まで)

奈良・吉野ならではの優しいお料理、名物料理はなんと鯉!

奈良・吉野ならではの優しいお料理、名物料理はなんと鯉!

写真:陽月 よつか

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そして、温泉宿なら外せないのがおいしいお食事! こちらでは季節ならでは・吉野ならではのお料理をいただくことができます。

季節の魚(写真はアユの塩焼き)、吉野葛をつかったごま豆腐や葛うどん、葛あんのかかった茶わん蒸し、三輪特産のおそうめん。また吉野産巨峰の白和えや、丹波の山のいもなどはちょっと珍しいお料理です。おいしくて身体にも優しい季節のもの・地元のものを、冷たいものを冷たく温かいものを温かく、少しずつたくさんいただける、温泉で一番嬉しい王道会席スタイルです。

その中でもこちらの名物料理は、鯉の洗いのジュレがけ。写真では中央やや左の、清涼感のある青いお皿の一品です。鯉の洗いと言えば普通は酢味噌がけが多いのですが、こちらではお出汁のジュレでさっぱりといただく形。お宿で飼っている食用鯉をお食事前に一匹一匹さばいている、こちらでしかいただけないお料理なのです。

温泉・お食事とくれば、やっぱりお酒も気になりますね。おすすめは吉野の地酒・北岡本店の「やたがらす」。まろやかな口当たりですーっと落ちてゆく飲みやすいお酒は、温泉あがりのほやほやっとした心地にピッタリです。更にこちらではこのお宿だけの、桜の描かれた特別ラベルの「やたがらす」がいただけますよ!(中身は通常のものと同じです)

「まだあげ初めし前髪の…」明治浪漫を今に残す藤村の間

「まだあげ初めし前髪の…」明治浪漫を今に残す藤村の間

写真:陽月 よつか

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またこちらは、島崎藤村のゆかり宿。明治26年3月14日から4日22日まで、当時22歳の島崎藤村は一月以上をこちらのお宿に滞在し、「訪西行庵記」「人生の風流を懐(おも)ふ」等を執筆しました。滞在していたのはこちらのお部屋、調度品などはほとんど当時のままに保存されています。

藤村の吉野山行きは西行・芭蕉の足跡探訪のため、そして明治女学校の教え子佐藤輔子への失恋による傷心を慰めるための旅でした。佐藤輔子は島崎藤村の最も有名な詩、『まだあげそめし前髪の…』で始まる「初恋」や小説「春」のモデルとなった少女。藤村は窓の向こうの桜の吉野山をどんな思いで眺めたのか…、その思いが偲ばれますね。

「訪西行庵記」の中に『宿にかへりて旅燈のもとにひとり故人のふみをひもとき』と記されているのはこちらのお宿のこの部屋のこと。藤村の友人の星野天知の手記にも記されているほか、藤村の足跡をたどる新聞記事などにもこちらのお宿が掲載されています。

こちらのお部屋は現在は宿泊は不可。ですが入室しての見学はOK、その上お願いすればこちらの部屋で朝食・夕食をいただくこともできるのです。明治浪漫を感じながらいただくお食事…島崎藤村ファンの方には見逃せません!

プロも認めた吉野の隠れ湯でゆっくりと癒される休日を…

伝説の温泉「吉野の隠れ湯」と明治浪漫のお宿「吉野温泉元湯」、いかがでしたでしょうか? こちらのお宿は第30回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において「特別賞・和風の宿」にも選ばれています。数々の世界遺産まで歩いていける立地ながら、何もせずただゆったりと長逗留していたくなる癒しのお宿。ぜひ一度体験してみてくださいね。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/30−2016/08/31 訪問

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