写真:Hiroko Oji
地図を見る第二次世界大戦で壊滅状態となったポーランドの首都ワルシャワ(Warszawa)。大戦後の復興期には、記録を頼りに「煉瓦の壁の罅1本までも忠実に」と目指して、市民たちができる限りの努力で元通りに復元したという町並みが広がっています。1980年には、「ワルシャワ歴史地区」として世界遺産に登録されました。
ワルシャワ中心部は、南北に流れるヴィスワ川の西側に位置し、旧市街や博物館などの観光スポットが集中しています。旧市街と新市街が隣り合い、旧市街の中心となるのが、カフェ・レストランのテラス席や露天の画商が並ぶ石畳の広々とした旧市街市場広場です。旧市街と言っても、大戦後に建てなおされたものであり、よく見てみると、古い建物ではないことがわかります。が、よくぞここまで忠実に復元できたものだと、感心するばかり!
この広場に面して、カラフルな建物が建ち並び、広々とした石畳の真ん中には、人魚像が立っています。ワルシャワのシンボルとして、盾を持って勇ましく剣を振りかざす人魚の像です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る旧市街と北側の新市街との間にバロック様式で造られた、赤煉瓦の城壁がバルバカン(Barbakan)。牢獄や火薬庫として利用され、旧市街の出入り口としての城門の働きと守備要塞としての堡塁の役目があったものです。ワルシャワとクラクフ、それにフランスのとある町を含めて、ヨーロッパでは3カ所しか残っていない円形の砦で、円錐形や四角錘形のとんがり帽子のような屋根が可愛らしい建物です。
1548年に建設された砦は、大戦後、再建工事が行われ、1953年〜1954年に、モストヴァ通りとポドヴァレ通り側の城壁と共に、完全に復元されました。今では、壁面に写真が展示され、内部に土産物屋が入り、名産の琥珀や民芸品が売られています。城壁の上を歩くこともできますが、眺めはさほど素晴らしいというほどではありません。
写真:Hiroko Oji
地図を見る旧市街市場広場の南にある広場が王宮広場で、中央には、ポーランドの首都を1596年にクラクフからワルシャワに遷都した、ジグムント3世の碑が建っています。高い石柱の碑の上から、手に十字架をもって立つジグムント3世の像が広場を見下ろしています。
この広場の東に面しているのが旧王宮です。かつては、王の住居だっただけでなく、国会が開かれたり大統領の執務室としても使用されてきました。さらには、士官学校や国立劇場が設置されるなど、文化・政治・経済の重要な役目も担ってきました。一時は、「ヨーロッパで最も美しい宮殿の一つ」ともいわれたほど、バロック様式の豪華な内装だったものです。大戦中は、「王の広間」の価値の高い調度品などは国外に持ち出されていたおかげで難を逃れることができました。復元作業は1988年に完成しており、現在では、当時のままの絢爛豪華な城内が見学できます。
写真は城内の一室ですが、その他にも、寄木細工や彫刻装飾が美しい家具、壁にかかったどっしりとしたタペストリーの数々、金色の柱頭装飾がある緑の大理石の列柱などのある部屋、金色と白を基調としたホールなど、どの部屋も見惚れるばかりの豪華さです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るワルシャワ中央駅の北東にデンと聳えるのが「文化科学宮殿」。駅近くのデフィラト広場に面しており、37階建ての高層ビルです。
これは、1952年から4年かけて建てられた、スターリンからの贈り物。高さ234メートルの塔があり、内部には科学アカデミーをはじめ各種研究所、ホール、劇場などが入っています。ワルシャワ市民からは評判が良くなく「ソビエトの建てたワルシャワの墓石」ともいわれるものですが、ワルシャワのどこからも見えていて目印になり、地上30階にある展望台からは素晴らしい眺めが楽しめます。専用のエレベーターで昇るのですが、展望台になっている回廊からは、ゆったりと蛇行しながら流れるヴィスワ川と共に、緑豊かなワルシャワ市内が一望の下です。
また、科学技術博物館や進化博物館も入っており、充実した展示が見られます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る旧市街市場広場の西にクラシンスキ宮殿のある公園があります。その向かいに立っているのが、「ワルシャワ蜂起記念碑」です。
第二次世界大戦末期の1944年8月1日、ワルシャワ市民が解放間近とみて、ドイツ軍に対して一斉に蜂起しました。一時は市街の中心部が解放されたものの、ソ連の援軍がヴィスワ川の対岸で停滞してしまい、次第に力を失って、20万人もの犠牲者を出してしまいました。その後も破壊は続き、10月に入って降伏する結果となってしまったワルシャワ蜂起。この蜂起45周年を記念して、1989年の8月に碑が建てられたのです。像となった、どのワルシャワ市民の顔にも苦痛と無念さが表れており、見るものの心に迫ってきます。
首都のワルシャワ市内には見所が盛りだくさんです。鉄道駅のワルシャワ中央駅から北東に延びるイェロゾリムスキ通りを進み、左折して新世界通りを北進すると、見所の集中するクラクフ郊外通りと名をかえます。王の道とも呼ばれるこの通り沿いには聖十字架教会はじめ大学・いくつかの宮殿や像・教会が点在しており、やがて旧市街の入り口となる王宮広場に続きます。旧王宮の北側の通りに入ると旧市街市場広場へ出ることができ、バルバカンを通って新市街広場へ続くことになります。
ここでご紹介したほかにも、新市街広場近くにはキュリー夫人博物館があり、聖十字架教会の西側に広がるのは無名戦士の墓のあるサスキ公園、新世界通り東側にはショパン博物館などがあり、1日だけでは周り切れないほど。新市街の北側の川沿いには、10号棟博物館(大監獄要塞跡)のあるツィタデラがあり、アウシュビッツの縮小版のような内部が見られます。さらに、南の方には、ヨーロッパで最も美しい公園の一つ、ショパン像がある「ワジェンキ公園」があり、この公園はワルシャワ市民の自慢となっています。
こんな見所が盛りだくさんのワルシャワ、是非ゆっくり滞在先を決めて、たっぷり町歩きを楽しんでくださいね。
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(2025/2/13更新)
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