「箱根八里は馬でも超すが、超すに越されぬ大井川」
歌にも詠まれたほどの難所であった大井川は箱根と並び、東海道でも有名な難所でした。大井川はかつて、橋を架けることも渡し船で渡ることも禁止されていた為、人足による川越のみが許可されていました。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でも弥次喜多コンビが川を渡るのに偽のさむらいに化けて、見破られるという騒動を起こしています。
明治時代に入ると橋を架けることができるようになったため、橋がいくつも造られました。そのうちのひとつがこの蓬莱橋です。明治12年に料金を取って橋を渡る、いわゆる賃取橋として造られ、現在でも大人と自転車は100円、子供は10円を支払って渡るようになっています。車は通ることができません。この橋は1997年、「世界一の長さを誇る木造歩道橋」としてギネスブックに認定されました。
映画「超高速!参勤交代」は江戸時代、弱小貧乏藩の藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)が幕府に命令され、たったの5日間で領地である磐城国の湯長谷藩(現在の福島県いわき市)から江戸まで駆け抜けなくてはならない、間に合わなければ藩お取り潰しの危機!という話です。
興業収入15億円の人気の映画ですが、この映画の中で、江戸入り直前のシーンと、映画の最後、領地に帰るときのシーンがこの蓬莱橋を使って撮影されました。橋を余すところなく使って撮られていて、蓬莱橋の長さがよく分かるシーンとなっています。
朝ドラ「とと姉ちゃん」は、高畑充希演じる小橋常子こと“とと姉ちゃん”が父(とと)を早くに無くした為、亡き父に代わり家族を守りつつ、長じて雑誌を創刊するというドラマです。
ドラマの中ではとと姉ちゃんは静岡県浜松出身ということになっており、少女時代を静岡県内でロケをしました。浜松の中田島砂丘や、ここ蓬莱橋でも撮影され、セーラー服を着た常子がこの橋を走ったり、もも上げをするシーンなどに使われるなど、静岡で過ごした少女時代のいくつかのシーンで出てきました。
ドラマの中で蓬莱橋はヒロインたちの生活の一部としてそこにあったのです。
蓬莱橋の歴史は受難の歴史です。幅は2.4m、長さは897.4mあり、幅は狭いですが、長さが非常にある橋です。橋の長さがそれだけあるので、この部分の大井川の河原の幅もかなり広くなります。
水量がそれほど多くないときもあり、河原の大部分に水がない時もありますが、その様子は台風のときには一変します。台風の時は橋脚にいろいろなものがぶつかって破損したり、橋が一部落ちるなど、橋の歴史イコール台風との戦いの歴史といっていいでしょう。台風で壊されて、修復し、また流され・・・が続きます。これも世界最長の木製の橋故でしょうか。通行止めになることがしばしば見られます。
橋を渡っていると、お天気のいい日に富士山が見えることもあります。さえぎるものが何もない川の上の橋を歩いて横断しているので、見晴らしがいいのです。
見晴らしがいいのは、橋げたが大人の膝までの高さしかないせいもあります。蓬莱橋はかなりの高さがあるので、知らず知らずのうちに、真ん中を歩きがちになってしまうかもしれませんね。
蓬莱橋は日本国内では珍しくなってしまった木造の長い橋ということから、数々のドラマで使われてきました。古いところでは「男はつらいよ 噂の寅次郎」、2011年には「JIN―仁―完結編」でも京都にある橋という設定で出てきたり、バラエティー番組で嵐の櫻井翔がロケで来たりもしました。山本譲二の「蓬莱橋」というCDも出ています。
過去には木造の橋は珍しくなかったでしょうが、現在ではめったに見ることができなくなりました。普通のコンクリート製の橋とはまたおもむきが違うので、この長くて古い橋をのんびり渡って、時代劇の雰囲気を味わってみて下さい。
東海道線島田駅から徒歩20分。東名吉田ICから車で15分。
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(2024/4/20更新)
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