関西屈指の紅葉名所「湖東三山」〜「永源寺」秋の近江路へ

関西屈指の紅葉名所「湖東三山」〜「永源寺」秋の近江路へ

更新日:2020/09/17 09:41

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
「日本紅葉の名所100選」に選定されている滋賀県「湖東三山」とは、湖東平野の山裾に直線距離にしてわずか7kmの間に佇む天台宗の3つの寺院、百済寺・金剛輪寺・西明寺の総称です。いずれも秋にはその鮮やかな色合いから“血染めの紅葉”と称されるほど燃えるような楓に包まれます。また近くにはこれも紅葉で知られる禅寺・永源寺も。
秋の近江を代表する名刹を巡り目も覚めるような美しい情景に出会ってみませんか。

三重塔と楓が織りなす眺め!湖東三山最北の名刹「西明寺」

三重塔と楓が織りなす眺め!湖東三山最北の名刹「西明寺」

写真:和山 光一

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湖東三山で最も北に位置するのが甲良町の「龍應山 西明寺」です。境内には350年以上の樹齢を誇る古木もある約1000本もの楓が、豪華絢爛な秋の装いを見せてくれます。

総門をくぐり表参道から本堂への石段を上っていくと、360度背の高いモミジに覆われた苔生す大地の絶景が目に入ります。上を見あげると赤や黄色に染められた空、下を見下ろすと緑の絨毯で美しい日本の秋を感じます。2015年5月米CNNのWeb特集で「日本の美しい風景31選」に選ばれたのもうなずけますよ。

三重塔と楓が織りなす眺め!湖東三山最北の名刹「西明寺」

写真:和山 光一

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平安時代初期の承和元年(834)三修上人が仁明天皇の勅願により開創され、 「日本100の古寺」の中に選ばれた天台宗の古刹です。織田信長によって焼討ちされましたが、国宝第一号指定の本堂や飛騨の匠が釘を一本も使用しないで建てた総檜造りの三重塔、 室町時代初期建立の二天門が火難を逃れ現存していてます。貴重な建築物と、紅葉が織り成す絶景はじっくり見ておきたいものです。

本堂内には頭に干支の動物の顔を乗せた十二神将はユーモラスな親しみやすさが特徴で「えと寺」としても有名です。しかし写真撮影禁止ですので紅葉と同様しっかり目に焼き付けて下さい。

三重塔と楓が織りなす眺め!湖東三山最北の名刹「西明寺」

写真:和山 光一

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西明寺の紅葉を楽しむなら国指定の名勝にも指定されている「西明寺本坊庭園」別名「蓬莱庭」がおすすめです。山の傾斜を利用した池泉観賞式庭園は、江戸時代中期に望月越中守友閑によって造られたものです。

折り鶴の鶴島と亀島がある心字池を囲む美しく刈り込まれた木々は雲を表し、薬師の浄瑠璃浄土を具現化し、本堂に祀る仏像を立石群で表した庭園に紅葉の美しさが加わった景色を楽しむことができます。秋、冬、春と咲き続ける樹齢250年の不断桜と一緒に紅葉が楽しめますよ。

<西明寺の基本情報>
住所:滋賀県犬上郡甲良町池寺26
電話番号:0749-38-4008
アクセス:名神自動車道湖東三山スマートインター(ETC専用)から信号右折、国道307号線直進3分

境内を深紅に染める“血染めの紅葉”と深山の趣「金剛輪寺」

境内を深紅に染める“血染めの紅葉”と深山の趣「金剛輪寺」

写真:和山 光一

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湖東三山まん中のお寺が愛荘町にある「松峯山 金剛輪寺」です。今から1200年以上の昔、聖武天皇と行基菩薩により天平13年(741)に開山された天台の巨刹です。 秋はヤマモミジやイロハカエデを中心に全山が色鮮やかに紅葉し「血染めの紅葉」と呼ばれるほどに深紅に染まります。

「血染めの紅葉」の言い伝えは、行基が一刀三礼で観音像を彫っていたところ、ある日、観音様の木肌から一筋の赤い血が流れ出し、境内の紅葉はその血で染められたように紅く染まったとのことです。

境内を深紅に染める“血染めの紅葉”と深山の趣「金剛輪寺」

写真:和山 光一

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本堂まで300mはある長い参道を上がっていく道のりは、さながら深山の趣です。途中の参道脇には1800体のかわいらしいお地蔵さん「千体地蔵」が並び疲れを癒してくれますよ。

険しい石段を登りきった先には国宝の本堂が目に飛び込んできます。国宝の本堂は「天平大悲閣」と呼ばれ簡素で飾り気のない鎌倉時代の代表的な建築様式を伝えています。元寇の戦勝記念として近江守護佐々木頼綱(六角頼綱)によって建立され、本尊の聖観世音菩薩像(秘仏)をはじめ多くの仏像や寺宝が残っています。

境内を深紅に染める“血染めの紅葉”と深山の趣「金剛輪寺」

写真:和山 光一

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名勝 明寿院庭園へは白門をくぐります。書院を中心に三つの池庭が連続する池泉回遊式庭園で南庭は桃山時代、主庭をなす東庭は江戸時代初期、北庭は江戸時代中期の作と推定される三庭からなります。作者不詳ですが老杉蒼松の自然を背景に、灯籠泉石樹木の配置が素晴らしく紅葉がこの時期映えます。

書院の縁にこしかけて紅葉を心ゆくまで愛でれば、心の洗濯ができますよ。

<金剛輪寺の基本情報>
住所:滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺873
電話番号:0749-37-3211
アクセス:名神自動車道湖東三山スマートインター(ETC専用)から1分

聖徳太子の創建と伝わる湖東三山最古刹「百済寺」

聖徳太子の創建と伝わる湖東三山最古刹「百済寺」

写真:和山 光一

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湖東三山で一番南、東近江市にあるのが近江最古級の古刹「釈迦山 百済(ひゃくさい)寺」です。今から1400年前の推古14年に聖徳太子が百済人の為に創建され、重厚な石垣に覆われた山城の趣きが漂う天台宗の寺院です。本尊「植木観音」は、韓国龍雲寺本尊と同木二体であったと伝わり、御堂は古代の朝鮮半島南西部にあった国家「百済国」の凡閣龍雲寺を模して造られています。

かつては「天台別院」と称されるほど中核部の僧坊が300余坊あったとも言われ、またルイス・フロイスが「地上の天国一千坊」と賞するほどの大寺院で、琵琶湖対岸の比叡山になぞられ「湖東の小叡山」と称されました。

天正元年の信長の焼討ちに遭い往時の姿は「石垣参道」、棚田のような 「坊跡遺構」からしか偲ぶことができませんが幾度もの兵火や火災をくぐり抜けてきた寺の境内を1300本の楓が美しく彩ります。

聖徳太子の創建と伝わる湖東三山最古刹「百済寺」

写真:和山 光一

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山門をくぐり蛇行する山道をたどると左手に石垣を巡らせた本坊・喜見院があります。百済寺の紅葉でまず見るべきところが、「日本の名庭100選」にも選ばれている池泉回遊式庭園「庭園本坊」です。東側の山腹を利用して造られ自然に谷川の水が注ぐ池に巨岩を配した豪華な造りです。

殊に書院からの眺めは、楓の朱色のほか、黄、緑などの葉が散りばめられ、庭園に色づく紅葉が映る様はまるで錦織のようです。

聖徳太子の創建と伝わる湖東三山最古刹「百済寺」

写真:和山 光一

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本坊喜見院の紅葉に染まる庭園の最高所から望んだ景色は、「天下遠望の名園」の名のごとく西に開ける湖東平野の眺望が楽しめます。

<百済寺の基本情報>
住所:滋賀県東近江市百済町323
電話番号:0749-46-1036
アクセス:名神自動車道湖東三山スマートインター(ETC専用)から信号左折、国道307号線直進8分

全山が朱赤に染まる関西でも指折りの紅葉の名所「永源寺」

全山が朱赤に染まる関西でも指折りの紅葉の名所「永源寺」

写真:和山 光一

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渓谷を刻み、深いエメラルドグリーンをたたえる愛知川をはるか真下に望むようにして建つ「瑞石山 永源寺」は、関西有数の紅葉の名所と知られる臨済宗永源寺派の大本山です。南北朝時代に近江守護職・佐々木六角氏頼が 中国に渡って仏法を極めた寂室元光禅師(正灯国師)を迎え伽藍を建立し康安元年(1361)に開山したものです。

一時衰退したものの江戸時代には東福門院(後水尾天皇皇后・徳川和子)により再建、彦根藩主井伊氏の庇護を受け諸堂が整えられました。

境内の楓の数は2000本ともいわれ、毎年11月中旬を過ぎる頃には全山紅葉に包まれて紅に染まります。

全山が朱赤に染まる関西でも指折りの紅葉の名所「永源寺」

写真:和山 光一

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右手にはゆったりと流れる愛知川、左手の雷渓山の石崖には十六羅漢の石仏に見とれながら総門にたどり着くまでの120段の石段を上っていきます。坂の途中にはしばし足を止めて見入ってしまうほど老樹の楓が見事です。

また総門に降りかかるような紅葉と紅い絨毯に覆われた石段が素敵です。

全山が朱赤に染まる関西でも指折りの紅葉の名所「永源寺」

写真:和山 光一

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燃えるような紅葉が目を楽しませてくれる山門をくげれば、往時の様子をいまに伝える壮大な伽藍が点在し、その間を楓の老樹が埋めて錦織り成す秋の景色を見せてくれます。広々とした境内でゆっくり紅葉狩りを楽しんでください。

<永源寺の基本情報>
住所:滋賀県東近江市永源寺高野町41
電話番号:0748-27-0016
アクセス:名神自動車八日市ICから約15分

紅葉シャトルバスでめぐる近江のもみじ寺「湖東三山」

湖東三山は交通の便が悪くマイカーでのアクセスが一般的ですが、紅葉の時期は混雑します。最も気楽なのは定期観光バスで昼食付きなのも嬉しいものです。紅葉シーズンにはJR彦根駅や近江鉄道八日市駅からシャトルバスが運行されますので利用するのも手です。

その場合、3カ寺を結ぶ全長約8Kmの「湖東三山自然歩道」のどこかの区間を歩いてみるのもいいですね。百済寺から金剛輪寺まで徒歩約1時間半、金剛輪寺から西明寺までは徒歩約1時間の平坦な田園の道です。車の混雑を横目に秋の一日を歩くには丁度よい距離ですよ。

いずれも山の清らかな空気に満ちた個性豊かなお寺ばかりで、3つとも巡るもよし、お気に入りのお寺でじっくり過ごすのもよし、必ず歩きやすい靴でどうぞ。

2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/11/24−2019/11/25 訪問

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