写真:塚本 隆司
地図を見る昭和20年代後半、戦後の日本に洋食文化が広まる中、使い慣れないナイフとフォークに悩む人に「お箸でも食べられる洋食」として登場したのが「かつめし」だ。加古川駅前にあった洋食食堂が考案して以来、市内に広まり定着していったという。
観光協会のパンフレットによると加古川名物「かつめし」は、おおまかにいえば「ご飯の上に叩いて平たくしたビーフカツをのせ、デミグラスソース系のたれをかけ、洋皿にお箸で食べる」とされている。丼物などを含めると似たようなメニューを全国で見かけるが「洋皿に箸」というミスマッチなスタイルと「デミグラスソース系のタレ」がポイントだ。
外食だけではなく家庭でも食べられており、市内のスーパーでは「かつめし用のタレ」が数種類販売されているほど。10年ほど前からは、学校給食にも取り入れられ、子どもたちも大好きな人気メニューになっている。まさに加古川の郷土食なのだ。
写真:塚本 隆司
地図を見るかつめしを提供する店は、加古川市内に100店舗以上もあるという。喫茶店やレストラン・食堂などのメニューのひとつで、カレーライスやハヤシライスと並んで「かつめし」があるのだ。
シンプルなメニューだけに、それぞれの店が工夫を凝らしているのが「デミグラスソース系のタレ」。加古川市民も、あの店がいい・この店がいいと、好みがあるようだ。最近は、カツもビーフだけではなくポークやエビなど種類が増え、かつめし専門店まで登場している。
写真は、かつめし専門店「かつめし いろはーず」のポークヒレかつめし。定番のデミグラスソース風のタレとホワイトソース風のタレ、ほうれん草とバジルに15種類の香辛料を使ったスパイシーなタレの特製タレ3種類をかけたトリプルバージョン。精肉店が経営している店だけに、安価なうえカツに厚みがある。
写真:塚本 隆司
地図を見る受験や勝負事に挑む前に、縁起を担いでカツ丼やトンカツ、カツカレーなどを食べる話はよく聞くが、ここ加古川では、もちろん「かつめし」。読んで字のごとく「勝つ・飯」と最高に縁起がよい。
かつめし専門店「かつめし いろはーず」の店先には、「勝めし神社」まであるのだ。実際に試合前に訪れる生徒や学生、受験生も縁起物を食べて挑もうと訪れている。「勝めし」神社のおかげ(?)で、大学受験に成功した人も多いとか。店内では「勝守(お守り)」も販売している。
写真:塚本 隆司
地図を見る加古川市は、兵庫県の神戸市と姫路市の間にあり、JRの新快速も停車する街。
JR加古川駅にある「まち案内所」では、かつめしなどの特産品や観光スポットを紹介している。聖徳太子ゆかりの古刹(こさつ)・鶴林寺には、国宝に指定されている「太子堂」や国重要文化財の「銅造聖観音立像」などの文化財を見るのもいい。街を流れる一級河川・加古川もサイクリングに気持ちの良いところだ。かつめしを紹介するガイドブックや提供する店のマップがあるので、もらってから観光しよう。
加古川駅前のベルデモール商店街には、かつめしPRキャラクターの「かっつん&デミーちゃん」の石像がある。顔がごはんで、頭にビーフカツやゆでキャベツ、デミグラスソースのタレがかかっている。なんとも愛らしいキャラクターだ。かつめしを提供する店の前にはのぼり旗が掲げられている、萌えキャラやかつめしソングもあり、街のあちこちに「かつめし愛」がいっぱいだ。
とてもシンプルな料理だが、奥の深い加古川名物「かつめし」。加古川といえば「かつめし」といってもいい。一度食べるとまた食べたくなる一皿なのだ。
なぜ、市内だけにとどまっていたのかは、不思議で仕方がない。近年では、神戸や明石・姫路でも食べられる店が増えつつあるが、まだまだ少ない。加古川に行ったならば「かつめし」。食べておかないと後悔するかも。
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(2024/3/19更新)
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