山間部に広がる「室生山上公園芸術の森」は、もとは地すべり対策のために整備された土地にあり、公園として活用されています。
設置されたオブジェを制作したのは、イスラエルの彫刻家であるダニ・カラヴァン氏。あえて茶褐色になるまで錆びさせた鉄、無機質なコンクリートなどを使用した野外作品で、幾何学的な造形が特徴です。まるで夢の中の世界に誘われたかのような印象を受けます。
整備された池や芝地、人工的な杉林、鬱蒼とした森など、自然の要素と人工的な要素が絡み合って、しっくりと調和しています。
「第1の湖(3つの島)」というエリアには、「ピラミッドの島」と名付けられたオブジェがあります。この湖はもとは水田でした。その形を活かしながら人口の島を浮かべることで、SF映画のような光景が作り出されています。
遠目に見ても面白いのですが、ここにある作品はすべて手で触れることもできます。ピラミッドは中央で半分に割れていて、その中に立ってみると、空が切り取られてまったく景色が変わります。写真撮影にもぴったりで、オブジェの前に立てばインパクトのある一枚になるでしょう。
山間部にあるため、車のエンジン音などはほぼ聞こえてきません。鳥や虫の鳴き声だけが響くのみで、自分たちに話し声も吸い込まれていきそうな感覚が味わえます。
第2の湖には、「太陽の塔(天文の塔)」というオブジェがあります。円形のひな壇のような不思議な形で、高さは8m、直径は9m。中央に階段があって上まで登れるようになっています。大自然の中にあるため、遠くから見るとそれほど大きく感じませんが、登ってみると意外なほど高いです。
塔の中にも入ることができて、薄くスリット状に開いた部分から光が差し込み、とても幻想的です。
島へと渡るゲートは、北緯34度32分の「太陽の道(レイ・ライン)」を視覚化したもの。伊勢神宮や三輪山、室生寺、長谷寺などの、古代からの重要な聖地はほぼこの直線上に並んでおり、古代の太陽信仰とも関係があったという説に基づいています。
地面に作られた巨大なコンクリートのオブジェ「螺旋の水路」。先に見えるキンモクセイの木のところから水が流れだし、渦巻きの部分へと注ぎ込みます。これもかなり巨大で、人間が立つとちっぽけに見えるほどです。
渦巻きに沿って歩くだけでも楽しいですし、水路に葉っぱを浮かべて早さを競ったりするのも楽しいでしょう。
「螺旋の竹林」という作品。平地に螺旋状の入り口と、スクエアな出口があって、地下が通路になっています。螺旋に沿って地下へと降りていくことで、光の見え方が徐々に変化し、陰と陽のバランスが変わっていきます。ちょっと不思議な気分になりますね。
「室生山上公園芸術の森」は、見た目のインパクトは抜群でしょう。作品に触れたり登ったりもできますので、お子さん連れにもお勧めです。屋根のある無料休憩所(これも不思議な形です)もありますし、お弁当を広げたりするのもいいでしょう。
決してアクセスはよくありませんが、室生寺からから歩いて20分ほどの距離にありますので、ぜひ合わせて周ってみてください。
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(2024/4/19更新)
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