更新日:2013/11/06 15:26
京都では陰暦11月に社前において火を焚き神楽などで神意を慰め、みかんやお饅頭などが供えられ参詣者に授与されるという慣わしがあります。京都最古の寺院ある広隆寺で行われる「聖徳太子御火焚祭」は、聖徳太子の命日にあわせ太子を祖神と仰ぐ建築、建具、機織職などの信者によるもので、境内に神事のとき不浄を防ぐために斎み清める場所に立てる斎竹(いみだけ)で神域と俗世界との境界線の結界がつくられます。
13時になるとまずは本尊の聖徳太子像が安置されている上宮王院太子殿(本堂)の前に険しい修行を積んだ山伏たちが集まり、本堂内では住職やお坊さんによるお経があげられます。
約30分ほどの法要が終わると、本堂の前で法螺貝を吹く山伏と合流をし、薬師堂前に組み上げられた護摩壇(結界内)へと移動していきます。
山伏たちは結界内に入るといくつかの邪気を払う儀式を行います。斧で護摩壇を作る仕草を真似をした法斧(ほうふ)の儀、護摩壇の東西南北と鬼門の方角にに矢を放つ法弓(ほうきゅう)の儀、そして呪文の一種、九字を唱えながら剣先を動かす法剣(ほうけん)の儀が終わると住職が神仏に祈願を伝える願文が読み上げられます。
いよいよ点火!祭壇に灯された炎を一度、2本の松明に点火され護摩壇に火がはいります。
パチパチという音と共に徐々に煙が舞い上がり、勢いよく炎があがる瞬間には喚声があがりました。あっという間にあたりが真っ白になるほどの煙に包まれていきます。この護摩壇に次々と護摩木の一種、乳木など放り投げ数々の作法を繰り返し1時間以上の時間をかけて燃やします。
周りを囲む人たちの神妙な面持ちが印象的で、私も心の中の穢れや数々の煩悩などが煙にまかれ清められていくような気持ちになりました。
11月22日はお火焚祭りだけではなく、本堂の聖徳太子像をお見逃しなく!この聖徳太子像は33歳の下着姿で天皇の着物を着用されています。この姿が見られるのは年に1回一般公開されるこの日だけです。
有料ですが霊宝殿では、あまりの美しさに学生が触れて指を折ってしまったエピソードのある国宝、弥勒菩薩半跏像やこの日だけ公開される秘仏の薬師如来立像を見ることもできます。
この時期境内は紅葉も楽しめてゆっくりと秋の一日を過ごす事ができます。
いかがでしたか?京都ではまだまだお火焚きの行事を行うところはありますが、広隆寺の山伏たちの法螺貝の隊列や儀式は圧巻です。天皇とお揃いの儀服の聖徳太子像は、33歳ととても若い姿の像も見ごたえがあります。この太子像が見られるお火焚き祭は、毎年決まった日に行われています。いい夫婦の日(11月22日)は広隆寺のお火焚き祭で1年の穢れを清めて新たな気持ちで年末を迎えてみてはいかがでしょうか?
◆広隆寺・霊宝殿のみ有料
9:00〜17:00 大人700円
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索