奈良・春日大社国宝殿の注目の国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」!平成29年1月17日〜東京国立博物館へ

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奈良・春日大社国宝殿の注目の国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」!平成29年1月17日〜東京国立博物館へ

奈良・春日大社国宝殿の注目の国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」!平成29年1月17日〜東京国立博物館へ

更新日:2016/11/10 00:54

いずみ ゆかのプロフィール写真 いずみ ゆか ライター

平成28年10月1日に奈良・春日大社「国宝殿」がリニューアルオープン。国宝352点、重要文化財971点もの宝物を所蔵しており、中でも「平安の正倉院」と言われるほど、平安時代の名宝が多いことで知られています。11月27日まで開館記念展が開催中。更に平成29年1月17日〜3月12日、東京国立博物館で「春日大社 千年の至宝」の開催も。特に注目が高い国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」とあわせてご紹介します。

神社の中で日本最大の国宝を保有する春日大社!注目の国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」

神社の中で日本最大の国宝を保有する春日大社!注目の国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」

写真:いずみ ゆか

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寺社仏閣を訪れる事が好きな方は、全国各地の神社や大社で、奉納された刀剣を拝観する機会も多いことでしょう。刀剣は一番格式が高い神様への奉納品とされています。

中でも奈良時代(神護景雲2年(768年))に創建された春日大社は、国家・国民の繁栄や幸せを祈る御社であり、藤原氏の氏神をお祀りしていることから、藤原氏をはじめとする公家や皇室、更には武家から篤い崇敬を受けてきた歴史があります。そのため、歴代奉納された品々も当時最高の工芸技術で制作された最高傑作と言えるものばかり。春日大社が神社の中で日本最大の国宝点数を保有していることからも分かります。

この度の開館記念展「春日大社の国宝〜千年の秘宝と珠玉の甲冑刀剣を一堂に〜」で特に注目を集めている国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」※は、近年の科学調査の結果、金具の多くがほぼ純金の金無垢だと判明した刀剣。注目ポイントが多いので、現地で見逃さないためにも鑑賞ポイントを事前に頭に入れて、来春、東京国立博物館を訪れることをお勧めします。

※国宝殿では10月31日で展示終了。平成29年1月17日より東京国立博物館で展示

国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」

国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」

写真:いずみ ゆか

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国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は、平安時代の彫金工芸の傑作。昭和5年の第56次式年造替で御本殿から撤下(てっか)され、昭和26年に国宝に指定されました。
名称の「毛抜」というのは、拵(こしらえ)の柄(つか)に大きな透かしが空いており、それが古代の毛抜きに似ていることから。完全な形で現存する毛抜形太刀は3振のみしか無く、その内2振がなんと春日大社所蔵。国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」はその2振のうちの1振です。

以前から、同じ平安時代の太刀と比較して、これほど時代を経ているのに”金具が黄金の輝きを失わないこと”が注目を集めていました。
平成28年9月26日発表の調査資料によると、国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の刀身は錆びついて抜けないため、奈良国立文化財研究所の高妻洋成先生のもとでX線CTスキャン等の調査が行われ、柄の覆輪金具・兜金・足金物・鐺(こじり※)などが、日本での古来の精錬法による最高純度の金が使用されていることが判明。
掲載写真をご覧頂くと、ほぼ純金の金無垢という表現に相応しい金色の光を放っている部分がよく分かります。
しかし、写真と実物では金色の色味がやはり異なりますので、現地(東京国立博物館)でじっくりご覧下さい。

※刀さやの末端

特異なデザイン!国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の発注者は誰なのか?

特異なデザイン!国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の発注者は誰なのか?

写真:いずみ ゆか

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国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」で目を引くのは、金具に彫り出された宝相華※や蝶鳥、そして鞘の見事な螺鈿細工です。
特に、螺鈿技法で表現された「竹林で雀を追う猫」(写真参照)はインパクトがあり、竹林や猫の斑点には青いガラス、猫や雀の目には琥珀が使用され、その細かな美しさ、技巧の精密さから彫金工芸・螺鈿細工の最高傑作品と言われているのも頷けます。

平安時代から近世までで猫の意匠が主題として用いられるのは大変珍しいので、一体誰が発注・奉納したのか気になりませんか?
奉納年代や奉納者は定かではありませんが、太刀の図柄が特異なデザインな事から、発注者は強い個性の持ち主と考えられています。更に、春日大社へ篤い信仰心と時の権力を併せ持った人物。一説では、「悪左府(あくさふ)」の異名を持ち、幼少から猫好きであったと知られる藤原頼長ではないかと言われています。頼長は保元の乱に敗れたのち、逃走先の奈良で亡くなっています。

※宝相華文(仏教系文様の一種。宝相はバラ科の植物の中国名)

国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」から春日大社国宝殿の公式キャラクターが誕生!

国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」から春日大社国宝殿の公式キャラクターが誕生!

写真:いずみ ゆか

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見た人を惹きつける国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の「竹林で雀を追う猫」。まるで絵巻物のように一匹の猫の移り変わる姿態の図も面白く、国宝殿や東京国立博物館を訪れた方の印象に残る作品と言えます。

そのため、「竹林で雀を追う猫」は、この度のリニューアルに併せて国宝殿の若手学芸員によってデザイン化され、春日大社国宝殿の公式キャラクターとしてグッズ展開されました。
ポストカード・手ぬぐい・クリアファイル・マスキングテープ・トートバックなどが国宝殿1階に併設されたカフェ・ショップ「鹿音(KAON)」で販売されています。猫ファンの間で話題になり、人気が出ていますので要チェック!

名宝の細工のを美を堪能。11月27日まで開催中の「春日大社国宝殿」後期展示にもご注目を!

名宝の細工のを美を堪能。11月27日まで開催中の「春日大社国宝殿」後期展示にもご注目を!

写真:いずみ ゆか

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国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」だけでなく、甲冑なども見どころのひとつ。春日大社に奉納されたあらゆるジャンルの名宝を鑑賞できるのが魅力です。

写真は、国宝「黒韋威矢筈札胴丸」(南北朝時代)と国宝「赤糸威大鎧(竹虎雀餝 )」(鎌倉時代)。特に、国宝「赤糸威大鎧(竹虎雀餝 )(写真右)の名称の由来となった両袖につけられた竹に虎の大金物は、かなり迫力があります。伝来は記録に残っていないとのことですが、源義経奉納という社伝があるのも頷ける茜色と金色が華やかな大鎧は必見です。(国宝殿での展示は10月31日で終了。平成29年2 月14 日より東京国立博物館にて展示)

国宝殿・開館記念展の後期展示では、豪壮・華麗さで国宝「赤糸威大鎧(竹虎雀餝 )とともに日本甲冑の双璧をなすと言われる国宝「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」も飾金物が優美。兜の獅噛(しがみ)が迫力の名品なので注目です。
精巧な技巧や美を堪能するためにギャラリースコープを持参する事をお勧めします。

国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は「東京国立博物館」へ!(平成29年1月17日〜3月12日)

春日大社国宝殿での国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の展示は、平成28年10月31日で終了しましたが(国宝殿開館記念展は平成28年11月27日まで)、見逃してしまった方もご安心を。
平成29年1月17日〜3月12日まで、東京国立博物館にて「春日大社〜千年の至宝」が開催されますので、是非、国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」を鑑賞してみて下さい。(国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は平成29年2月19日まで)

この度の国宝殿リニューアルを含め、国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の科学調査も、20年ごとに社殿を新しくする春日大社『第60次式年造替』記念事業の一環で行われたもの。国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は科学調査の上、現代の名工によって復元制作されました。平成28年11月6日の「正遷宮(本殿遷座祭)」で『第60次式年造替』はクライマックスを迎えます。その「正遷宮」で御本殿にこの復元太刀が奉納されるのです。

平成28年11月11日〜13日には、「正遷宮」を奉祝し「正遷宮初まいり」として、国宝御本殿特別参拝が行われるのにあわせ、11月いっぱい万燈籠が行われる他、奉祝行事や芸能奉納が行われるので、ますます春日大社から目が離せません。
神体山の御蓋山を仰ぎ見てのご参拝が春日詣での醍醐味ではありますが、是非、新春の東京国立博物館でも春日詣を体感してみて下さい。

国宝殿1階併設のカフェ・ショップ「鹿音(KAON)」では、春日大社国宝殿の図録も販売。図録はかなり詳細に各宝物の説明がなされているので、より深く名宝の魅力を知りたい方は是非ご購入を。

●参考文献 春日大社国宝殿図録「春日大社の甲冑と刀剣」
※会場では作品撮影は出来ませんのでご注意下さい。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/09/29 訪問

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