ライトとレーモンドの融合!横浜山手「エリスマン邸」は他の洋館とはひと味違う

ライトとレーモンドの融合!横浜山手「エリスマン邸」は他の洋館とはひと味違う

更新日:2016/10/21 14:54

日本の近代建築の父と呼ばれるチェコ出身の建築家アントニン・レーモンド。フランク・ロイド・ライトの助手として来日した彼はすばらしい建築の数々を日本に残しました。横浜山手に建つ西洋館「エリスマン邸」もそのひとつです。西洋館といいながら、どこか日本人の感覚にしっくりくるエリスマン邸の不思議な魅力に迫ります!

山手の西洋館が保存・公開されるきっかけとなった館

山手の西洋館が保存・公開されるきっかけとなった館
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横浜の山手には多くの西洋館が存在します。外交官が暮らした家から外国人向けアパートメント、一般住宅とその用途もさまざまですが、共通するのはいずれも名建築ばかりということ。エリスマン邸は貿易商社シーベルヘグナー商会の横浜支配人フリッツ・エリスマン氏の邸宅として1926年に、アントニン・レーモンドの設計で建てられました。

エリスマン邸は、じつは1982年にマンション建築のために解体されています。しかしあの名建築をぜひ残してほしいという心ある横浜市民の新聞投書がきっかけとなり、1990年に現在の地で再建されました。折しも横浜市は、古くからの歴史的な建物と共存しながら街づくりをしていこうという都市計画を進めていました。そのひとつとして山手の西洋館を保存する方針も決まり、最初にオープンしたのがエリスマン邸なのです。

ライトとレーモンドの融合を感じる応接室

ライトとレーモンドの融合を感じる応接室
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レーモンドは、フランク・ロイド・ライトが帝国ホテル建築のために来日したときに一緒に助手としてやって来た人です。1階の応接室では大谷石で作られた暖炉、アイアンを使った照明などにライトの影響が伺えます。また館全体が直線を基調としたシンプルなデザインで構成されていて、他の洋館とは違うモダンな雰囲気になっています。

六角形のテーブルや矩形を組み合わせたようなソファなどの家具は、レーモンドのデザインを元に横浜の家具職人が再現したものです。また庭に面して作られたガラス張りのサンルームには、リラックスできそうな籐製のデッキチェアが置かれています。いずれも気持ちが良さそうで思わず座ってみたくなりますが、それはNGですのでご注意を。

2階はさながら西洋館の資料室

2階はさながら西洋館の資料室
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館の2階には3つの寝室がありましたが、現在は主寝室とその隣の寝室の間仕切りを取り払って展示室として使用しています。かつてこのあたりは外国人居留地として多くの西洋館がありましたが、関東大震災でそのほとんどが失われてしまいました。展示室には「震災前山手洋館ア・ラ・カルト」として、それらが写真付きで紹介されています。

また横浜山手の全体像が分かるジオラマ模型や、洋館の意匠解説のパネルなどもあります。洋館巡りの予備知識として知っておくとより楽しめること間違いないので、ぜひチェックしてみてください。

地下なのに外に緑が?面白い立体構造

地下なのに外に緑が?面白い立体構造
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エリスマン邸の地下には移築時に作られたホールがあり、現在は貸しスペースとして開放されています。絵画展、写真展、コンサートなどさまざまなイベントがここで行われてきました。エリスマン邸の敷地裏側は下り斜面になっており、地下空間から一面緑が広がるテラスへと出られる構造なのです。それを目にした瞬間、自分がどこにいるのか分からなくなってしまうでしょう。

館内ツアーは随時開催、ほかにもハロウィーンのときにはスタンプラリーで洋館巡り、クリスマスには各館毎に趣向を凝らしたディスプレイなど、季節毎の行事も展開しています。開館以後、一度として同じ設えをしたことがないとのことで、何度訪れてもその都度違った気分を味わえるというのも魅力のひとつです。

これが究極の生プリンだ!

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かつてキッチンだった部分は現在はカフェの調理場として活用されています。そのカフェの名は「しょうゆ・きゃふぇ」。醤油屋さんの手作り甘露しょうゆを使ったメニューを提供しているお店です。

この店の人気メニューは「プレミアム元祖生プリン」。バニラ風味のムースに乗せられているのはなんと生卵!最高品質の生卵黄を使用しており、カラメルムースをかけて一緒にいただくと、口の中でプリンになるという珍しい一品です。

お隣の「ベーリック・ホール」もぜひご一緒に

横浜山手「エリスマン邸」はみなとみらい線「元町・中華街」駅、6番出口(アメリカ山公園口)から徒歩8分、バスを利用の場合はJR「桜木町」駅から、神奈川中央交通バス11系統「元町公園前」下車徒歩すぐとなります。

敷地の隣には明治時代に建てられた洋館の遺構が、さらにその先にはスパニッシュ・スタイルの豪邸「ベーリック・ホール」があります。こちらはエリスマン邸とは雰囲気の違う西洋館で、贅をこらした美しさがあります。ぜひあわせてどうぞ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/08 訪問

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