写真:高野 祥
地図を見る高知市内から車で約30分、土佐山への道のりは立て看板頼り。鏡川の渓流づたいに山道を心細くなりながら車を走らせてゆくと突如現れる木造の近代的建築物、それがオーベルジュ土佐山。山道の心細さから解放されたのと相まって、初めて来たのにホッとした安堵感を味わうのは不思議です。
田園と渓谷を見下ろす丘陵地にたたずむ姿は、バリの"ウブド"の光景をどこか彷彿とさせ、日常から解き放たれた開放感を味わうことでしょう。
写真:高野 祥
地図を見るお出迎えは鏡川源流の流れを引き入れた通路脇の水路。日々活け変えられるホテルの装飾用の草花が、その流れに浸りながら役目を順番待ちしていることも。全てが土佐山の自然で演出されるオーベルジュ土佐山ステイ。杉・檜・土佐漆喰・土佐和紙…高知の風土で培われた素材が建物の随所に使われています。
隣接する嫁石(よめいし)地区に広がる桃源郷のような春の梅林、クリスマスツリーを思わせる木に宿る夏のホタル、棚田の稲穂が金色に輝く秋。そして意外にもオススメしたいのが冬。ロビーエントランスの顔でもある暖炉に火がともる頃のオーベルジュ滞在は、格別な思い出となること間違いなし。四季それぞれに違う顔を見せる日本の原風景をここ土佐山で味わってみてはいかがでしょうか。
写真:高野 祥
地図を見るレストランや温泉のあるロビー棟からウッドデッキで隣接するホテル棟は、30平米とシンプルでありながら、デザイン性・機能性ともに申し分なく優雅な滞在を満喫できます。
しかしながらこのオーベルジュ土佐山まできたら是非泊まりたいのが、4部屋しかない離れのヴィラです。ロビー棟やホテル棟とは川で隔てられ、プライバシーが確立されている様子はまるでお忍び宿のようでワクワクします。部屋番号は敢えて無く、高知出身の書家沢田明子氏が書く「仮名文字」の表札に季節の山野草が添えられ優しく出迎えてくれます。
70平米の広々とした部屋の中心にセミダブルサイズのベッドが2台配置され、その他極限までシンプルに構成された家具と調度品がさらに洗練されたオーベルジュステイを演出。テレビ代わりに高級音響メーカーBang & Olufsenのステレオが無造作に置かれ、静かな土佐山の夜をお好きな音楽で彩ることも可能です。ロビーでは無料でCDの貸し出しがありますので、手ぶらで来られても大丈夫。
写真:高野 祥
地図を見るロビーから続く肌触りのいい板張り廊下を進むと目に入る紫とピンクのパステルカラーの暖簾、土佐山温泉の入り口です。脱衣所から見える湯舟に胸が高鳴るのを抑えつつ扉を開くと、意外にも内湯の開放感に驚きます。圧巻の吹き抜けの内湯には大浴場の他にサウナと水風呂が併設。そしてガラス越しに続く外湯へ進むと、土佐山の醍醐味である大自然が出迎えてくれます。森林に囲まれた湯舟にひっそりと身を沈め心ゆくまで土佐山温泉を堪能してみてください。
写真:高野 祥
地図を見るオーベルジュと聞くとフレンチの食事を想像しがちですが、こちらオーベルジュ土佐山で提供されるのは本格的な和会席料理。それもそのはず料理長の松本昇吾氏は、東京の名料亭「金田中」で修行を積み、食材の宝庫高知に帰還して以降、味わうホテルとも名高いオリエントホテルグループで料理長を務めて久しい。
言わずと知れた土佐の名物鰹のタタキもここでは「炙り」と呼ばれています。火の通りを計算し尽くされ、炙られた鰹は、驚くほどに肉厚なその鰹の切り身とともに、ネギ・生のスライスにんにく・わさびなどの薬味とほんの少しの粗塩を口に運ぶと、燻製のような芳醇な香りが鼻を抜け、魚というよりローストビーフのような濃厚な肉感が口の中に広がります。一皿の中にも土佐山の自然を盛り込んだ松本料理長のお料理は、お味はもちろん季節の彩りを感じられるとても繊細なものです。オーベルジュで和会席…大いにアリなのです。
日曜市や高知城、ひろめ市場など、いつもの活気ある高知の繁華街から車でたったの30分ほどで知る人ぞ知るこの静寂。四国の片田舎にありながら、関西関東からの宿泊客のほか海外からの利用者も急増しているのもうなずけるクオリティの高さです。
ランチや温泉入浴だけの日帰り利用も可能なので、高知旅行の際に足を伸ばして訪れてみるのもいいかもしれませんね。
高知市内にある系列のオリエントホテルから無料送迎バスあり。(要予約)
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(2024/3/30更新)
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