日帰りでも陶酔する格調高さ!山口・湯田温泉「山水園」名勝庭園と文化財建築の名宿

日帰りでも陶酔する格調高さ!山口・湯田温泉「山水園」名勝庭園と文化財建築の名宿

更新日:2016/10/14 11:18

権丈 俊宏のプロフィール写真 権丈 俊宏 一級建築士
湯田温泉は、県庁所在地中心部という賑やかな立地ですが、車で数分の「名勝 山水園」(山口県山口市)は都会の喧騒とは全く異なる静寂な別天地。
かけ流しの温泉・国の登録有形文化財の建築・国の登録記念物の庭園が揃う山水園は、文化財の宿らしい厳格さと格調高き空間が魅力の名旅館です。
知る人ぞ知る温泉宿ですが、実は日帰りでも利用可能な事は、あまり知られていません。「名勝 山水園」の知られざる魅力を紹介します!

山水園は都会の喧騒とは全く無縁の静寂さ。凛とした独自の世界に陶酔!

山水園は都会の喧騒とは全く無縁の静寂さ。凛とした独自の世界に陶酔!

写真:権丈 俊宏

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「名勝 山水園」は市中心部から車で数分、小高い丘の上に立っています。そこは都会の喧騒とは全く無縁。数千坪の敷地内に僅か14室しか設えておらず、建物周囲には趣向を凝らした庭園に囲まれています。

国の登録有形文化財である建築は数寄屋造り(茶室風の様式を取り入れた建築)で、華美な装飾を排した簡潔かつ繊細な意匠が特徴。独特の静寂感とピーンと張りつめた空気が漂い、玄関の門をくぐった途端から凛とした山水園独自の世界へ引き込まれ、心奪われます。

山水園の外湯「翠山の湯」は源泉かけ流しにこだわった滑らかで上品なお湯!

山水園の外湯「翠山の湯」は源泉かけ流しにこだわった滑らかで上品なお湯!

写真:権丈 俊宏

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山水園の宿泊棟にある浴室は宿泊者専用で立ち寄り入浴出来ません。しかし宿に隣接した「翠山の湯」は立ち寄り入浴可能で、お手軽に山水園のお湯を楽しめます。

温泉は三本の温度の異なる自家源泉を独自の工夫と絶妙な配合でミックスさせて、水を加えることも加温することなく、源泉100%のかけ流しで利用されています。
泉質はアルカリ性単純硫黄温泉。湯の中で手をさすると抵抗感なくスーッと滑り、とても柔らかで優しい感触。ゆで卵の様な甘い硫化水素の香りも感じられ、全てが上品さに溢れる温泉です。この上品さは加水や循環すると簡単に失われる繊細なもので、「温泉を最上の状態で提供しよう」という山水園のプライドと心意気が感じられます。

山水園は庭園めぐりがおすすめ!「枯山水」は白砂と景石が印象的な名勝庭園

山水園は庭園めぐりがおすすめ!「枯山水」は白砂と景石が印象的な名勝庭園

写真:権丈 俊宏

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山水園の庭園は2015年に国の登録記念物になりました。実はその庭園が宿泊客でなくとも見学可能(有料)なことはあまり知られてなく、庭園見学がおすすめです。

写真は戦後造られた「枯山水」と言われる庭園。美しく手入れされた白砂に景石を配置した光景は、まるで小島が点在した入江でも見ているかの様な落ち着きある庭園です。上から見下ろす様な下がった位置にある庭園ですが、下に降りることも出来て、様々な角度からこの美しい庭園を鑑賞することが出来ます。

緑豊かな回遊式庭園「池泉庭園」は温泉水を利用して鯉を放流。秋の紅葉もおすすめ

緑豊かな回遊式庭園「池泉庭園」は温泉水を利用して鯉を放流。秋の紅葉もおすすめ

写真:権丈 俊宏

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写真は大正時代中期に作られた「池泉庭園」。池を中心として、周囲に起伏に富んだ複雑な散策路を配した回遊式庭園です。正統派の日本庭園でありながらも、まるで森林浴に来たかの様な緑の豊かさも感じられ、マイナスイオンをたっぷりと浴びることが出来ます。また11月にはモミジが紅く染まり、色鮮やかな紅葉も楽しめます。

また「池泉庭園」は温泉水を池に流し込み池の水温を上げることにより、鯉が冬眠することなく年中鯉が元気に泳いでいる姿を鑑賞出来ます。なお、庭園の雑草取りは除草剤を使わず、全て手作業での実施。自然との共存・・・山水園のこだわりがこの庭園からも感じ取れます。

文化財の名建築!山水園の本館は厳格でありながらも遊び心を感じる空間

文化財の名建築!山水園の本館は厳格でありながらも遊び心を感じる空間

写真:権丈 俊宏

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宿泊客専用エリアも少々ご紹介します。大正時代に別荘として建てられ、その後昭和に入り増改築を繰り返して現在の建物になっています。2014年には国指定の登録有形文化財になりました。数寄屋造りの建築は、内面を磨いて客をもてなすという茶人たちの精神性を反映し、簡潔かつ洗練された佇まいが特徴ですが、数寄屋大工による繊細な意匠は随所に目を楽しませてくれます。

写真にあるロビーでは、アンティークな家具が置かれ、墨を混ぜたセメントで塗られた床など、独自の個性を主張したインテリアに、厳格さの中にも遊び心を感じさせる洒落た雰囲気を醸し出しています。「山水園」は非日常の凛とした空気を楽しむべき場所なのです。

外湯隣接のレストランや飲泉場も宿泊客でなくとも利用可能。「山水園」の格調高き空間を実際に体感しよう!

この他に宿泊客でなくとも利用出来る施設としては、昼時のみの時間限定ですが翠山の湯に隣接するレストラン「臨水」があります。定食から会席料理まで様々なメニューがあり、食事と入浴がセットになったお得なプランもあります。

また翠山の湯の受付横では飲泉(温泉を飲む)スペースもあります。飲泉場の温泉は硫黄分の含まれていない癖の無い源泉が利用されていて、ミネラルウォーターの様に美味!飲泉は保健所の許可が必要で、新鮮な温泉でないと許可が得られません。山水園の温泉は飲泉出来る新鮮な温泉である証です。

この様に「名勝 山水園」は立ち寄りでもその魅力の一端を知ることが出来ます。『百聞は一見に如かず』の言葉の通り、山水園の真の魅力は言葉では到底言い表せるものではなく、実際にその場を体験してもらうことが何よりもベスト。温泉は勿論のこと、木造建築や庭園に興味ある方は一度「山水園」訪れて、宿全体から感じられる格調高き空間を実際に体感されることをおすすめします。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/14 訪問

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