世界屈指の炭酸泉・大分県長湯温泉「大丸旅館」で心身を癒やす

世界屈指の炭酸泉・大分県長湯温泉「大丸旅館」で心身を癒やす

更新日:2020/01/31 12:19

全国的に有名な大分県由布院温泉から車で約40分、山々に囲まれたのどかな地に長湯温泉(大分県竹田市)はあります。鉄分を含むにごり湯は世界でも稀有なほどの炭酸成分を含み、古くから藩主の湯治場として使われました。近年では「日本名湯百選」にも選ばれ、ますます注目を浴びています。その長湯温泉を代表する宿が「大丸旅館」で、本館のすぐ隣には「別館 藤花楼」が建ち、いずれも九州における人気宿として知られています。

大正6年より愛される長湯温泉の老舗宿

大正6年より愛される長湯温泉の老舗宿
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長湯温泉を流れる芹川のほとりに建つ「大丸旅館」。創業は長湯温泉がまだ湯原温泉と呼ばれていた大正6年のことで、当時から残る宿はわずか2軒だけと言われます。昭和6年に建て替えた翌年には与謝野鉄幹・晶子夫妻が投宿したとの記録も残るほか、大仏次郎・徳富蘇峰・高田力蔵・立松和平など多くの文化人に愛されてきました。

現在の本館は平成元年に建てられ、日本旅館の伝統を感じる造りに全8室の和室が備わります。すぐ隣には別館の「藤花楼」があり、こちらは洋室も有しています。いずれの部屋も芹川に面しており、せせらぎを耳にしながらリラックスすることができます。

名物のエノハに豊後牛、地の食材を盛り込んだ料理に舌鼓

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ごぼう燈籠や海老の旨煮が盛られた前菜に始まり、強肴(しいざかな)・お造り・蒸し物・エノハの姿揚げ、そして地元ブランドの黒毛和種「豊後牛」やハーブで育った「久住豚」などが次々と卓に並びます。もちろん季節や宿泊料金によって内容は様々ですが、地産地消を心掛けた食材を用いた料理はいつ訪れても旅に花を添えてくれるものです。

「エノハ」とはヤマメの呼称で、九州の一部ではこのように呼ばれます。由来は泳ぐ魚(ヤマメ)の姿が川を流れる榎木の葉っぱに見えるからとか、体の模様が榎木の葉っぱを想像させるからと言われています。山水で育てられたエノハは川魚独特の臭さがなく、上品な香りと優しい甘みがあり、お造りにしても絶品。姿揚げは頭から尻尾まで余すことなくいただけます。カリカリとした食感と芳醇な味わいに、思わずビールや焼酎が進んでしまうことでしょう。

料理を彩る器は、地元「竹田焼 呂人窯」で手掛けられたもの。鉄分を含む赤土を高温で焼いた品々は、深い色みと重厚感に特徴があり、色鮮やかな料理をさらに際立たせてくれます。本館宿泊時の夕食は部屋食か専用個室からの選択となり、朝食は会食場にて。別館藤花楼では夕食・朝食ともに専用個室での食事となります。

日本有数の炭酸泉にて体の内から外まで療養を!

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「飲んで効き、長湯して効く長湯のお湯は、心臓胃腸に血の薬」とうたわれるほど、日本有数の炭酸泉として知られる長湯温泉。わずかに緑みを帯びた濁り湯は大浴場・貸切風呂のいずれもが源泉掛け流しで、炭酸泉特有の効能が期待できます。湧出温度が高いため肌に泡が付くことはありませんが、湯に溶け込んだ炭酸成分の効果で血行が良くなり、湯上がりもポカポカとした温かさが長く続きます。また湯口から注ぐ湯を飲用すれば胃腸病などに効果があると言われます。
男女別の大浴場「テイの湯」には内湯と露天風呂、ほかに貸切風呂を3つ有した「ミドリの湯」があります。テイの湯は3代目女将「テイ」から名付けられたもので、昭和30年代の終わりにテイの夢枕に白髪の老人が現れ、そのお告げ通りに掘ったところ長湯では貴重な湯温の高い温泉が掘り出されたのだとか。おかげで加水や加温することなく源泉が楽しめます。

また徒歩で3分くらいの場所には日帰り温泉施設の「ラムネ温泉館」があり、大丸旅館の宿泊者は無料で入浴できます。こちらは炭酸成分がプクプクと泡立つ状態を保った湯が特徴で、体に付着する小さな泡が「これぞ炭酸泉!」という気分にさせてくれます。泉温32度とややぬるめですが、長めに浸かることで体がポカポカになります。宿内の湯と比べてみるのもいいかもしれませんね。

文人気分で過ごせる読書に最適な空間

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本館を入ってすぐにはカフェラウンジ「KAIKO 邂逅(かいこう)」があります。邂逅とは人と人との出会いや偶然の出会いを意味しており、その名にちなんだ小説家・開高健の作品も収蔵しています。偶然手に取った本を読み進めるのも良いし、お気に入りの1冊を持ち込んで読書に勤しむのもオススメです。暖かな日には芹川を望む縁側席でのんびりするのもいいですよ。

創業時の設計を元に復元した「別館 藤花楼」

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大丸旅館には本館のほか、洋室も備えた別館「藤花楼(とうかろう)」があります。こちらは平成17年7月に元々建っていた旧館と入れ替わるように誕生しました。大正6年に創業した当時の設計を元に復元された建物は、随所に大正浪漫を感じる新しくも懐かしい雰囲気が漂う建物となっています。藤花楼宿泊者専用のフロントの横には談話室があり、川端康成が長湯の地に宛てた書簡なども飾られています。

与謝野鉄幹・晶子夫妻をはじめ多くの文人に愛された宿だけあり、別館全7室のうち6室に書斎が設けられ、静かな空間で読書に勤しむことができます。さらに夕食・朝食ともに専用個室でいただけるのも嬉しいポイントと言えるでしょう。他のお客さんに気兼ねする事なく、料理長が腕をふるう食の数々を堪能しましょう。

長湯温泉を堪能するなら「大丸旅館」は外せない!こちらを起点に外湯巡りを楽しもう

のどかな山里に十数軒の旅館が並ぶ長湯の温泉街。宿以外にも「御前湯」「ラムネ温泉館」「長生湯」「万象の湯」など日帰り入浴できる施設が多く、外湯を利用して気軽に湯治を体験する形は新しい療養のスタイルとしても注目されています。大丸旅館は温泉街の中心に位置しているので、外湯巡りにも最適。勇気がある人は芹川の中央に造られた野趣溢れる「ガニ湯」も試してみて下さいね。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/07/19−2012/07/20 訪問

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