大学広場に面して、大学博物館があり、そのすぐ裏手に学生牢があります。学生牢は1778年から1914年まで使用されていました。ハイデルベルクでは大学に自治権があったため、警察もおいそれとは、学生を逮捕できませんでした。殺人などの重犯罪の場合は警察が介入するのですが、泥酔した、喧嘩をしたなどの軽い罪は警察のご厄介になるかわりに、この学生牢に学生を収容していたのです。
この学生牢の名物は落書きです。学生牢のある建物に入り、階段を上っていくと、学生たちの書いた落書きが、所狭しと描かれているのを見ることができます。当時、流行だったシルエット風の落書きに、所属していた団名、名前、罪状・・・びっしり書き込まれています。
たかが落書き、されど落書き。落書きもここまで極めると、見事!というしかありません。部屋はさほど広くないのですが、部屋の中は言うに及ばず、階段から踊り場から、なぜこんなところにまで、というところにも落書きがあります。ありとあらゆるところを落書きが埋め尽くし、しかもカラーで、署名入りです。
この部屋を訪れる人は、その落書きの量の多さと、学生たちのエネルギーに圧倒されることでしょう。
学生は悪さをすると学生牢に入れられることになっていたのですが、3日から4週間と入っている期間に幅がありました。しかし、牢に入れられても、昼間は授業に出ることができました。
この学生牢に入ることは学生にとって決して不名誉なことではなかったといいます。箔がついたくらいの感覚だったのかもしれません。牢に入れる方も入れられる方も罪状が軽犯罪である為、重くとらえてはいなかったようです。精緻な落書きを見ているとあまり反省しているふうではなく、むしろ名誉の入牢だと思っているふしがうかがえます。学生たちは部屋に『グランドホテル』や『王座の間』などの名前をつけていました。
もちろん今の学生はここには入ることはありません。現在では入場料金をとって、人気の観光名所のひとつとして公開されています。
「ツム・ローテン・オクセン」というレストランは、ハイデルベルクのメインストリートであるハウプト通りにある店で、古い家具や調度品が置かれた1703年創業の学生酒場です。学生牢に入った学生たちもこの店で酔っ払って、街に繰り出し、騒いだのではないでしょうか。
この店は、留学中の王子と下宿で働く娘との悲恋を描いた戯曲『アルト・ハイデルベルク』の舞台にもなった酒場です。ドイツ料理とビールが楽しめますので、学生の街、ハイデルベルクの学生酒場の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。
ハイデルベルクは茶色の落ち着いた色合いが美しい街です。今回紹介した学生牢以外にも、アルテ=ブリュッケ(古い橋)というネッカー川に架かる橋や、町の歴史に関する展示や選帝侯時代の絵画や彫刻などの収集品が数多く収蔵されているプファルツ選帝侯博物館などもあります。ぜひ、一日かけてゆっくり街を散策してみて下さい。
別途、ハイデルベルク城の紹介もしています。関連MEMOに入れてありますので、よろしければそちらもご覧下さい。
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