「三段峡」〜広島の景勝地をどう巡る?滝、渓谷、名所めぐり・・

「三段峡」〜広島の景勝地をどう巡る?滝、渓谷、名所めぐり・・

更新日:2016/10/24 09:49

村井 マヤのプロフィール写真 村井 マヤ 中国・九州文化的街並探検家
広島県安芸太田町にある「三段峡」という景勝地をご存知ですか?島根県との県境にあり、西中国山地国定公園の真っただ中にあります。日本百景・国の特別名勝である「三段峡」は、一体どんな場所?って思われる方も多いかと。どこからどこまでが三段峡で、1日で探索できるのかなど・・。広島県の方でもいまいち分からないって方も。1度の訪問では分らないことは多いけど、今回は三段峡の名所を効率よく巡って知ったかぶりの旅を!

「三段峡」をどこから巡るかもポイント!

「三段峡」をどこから巡るかもポイント!

写真:村井 マヤ

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三段峡は、広島が誇る名勝です。全国でもわずか6地域しか認定されていない「国の特別名勝(峡谷・渓谷の部)」の内の一つであり、中国・四国・九州地方では「三段峡」が唯一です。さらに県内で初となる、科学的に癒し効果があるとされる森林セラピーロードの認定地としても有名です。全長16kmに及ぶ長い渓谷の随所に素晴らしい風景が広がり、その魅力はフランスにまで伝わっています。フランスの旅行者が愛読する権威ある旅行専門誌『ブルーガイド※』では世界遺産の宮島や原爆ドームと共に「三段峡」が最高の「三ツ星」に格付けされました。(2014年2月発行)

そんなに素晴らしい渓谷なら是非訪れたいと思う方も多いはず。まずは、安芸太田町が紹介している三段峡散策コースマップなどを入手して、自分が何を見たいかを明確にすると共に、体力や時間を考えて散策コースを決めると間違いないでしょう。三段峡には「五大景観」と呼ばれるポイントなどもありますので、こちらも参考に。

一般的には、「三段峡正面口」からスタートするのが無難です。ここからなら、ちょい寄りの往復約10分から最長散策時間約5時間に及ぶ散策まで網羅できます。
ここで、注意が必要なのは、出発時間です。それについては後ほど。
その他の、スタート地点としては「出会橋(水梨口)」「聖湖口」「餅ノ木口」があります。出会橋(水梨口)は、滝を見たい方には近道となるスタート地点になりますし、正面口からスタートされた方が、ここで往復マイクロバスに乗って正面口まで戻る場所でもあります。もちろん、バスに乗らずに歩いて出会橋(水梨口)から正面口に戻ることはできますが、2時間くらいかかるので覚悟して!

写真は、出会橋(水梨口)から少し歩いたところにある「葭ヶ原(よしがはら)」です。トイレや広い河原もあり、お弁当を広げてくつろぐ人たちも多くいます。

岩門を有料渡舟でさかのぼる「猿飛」は渓谷一の神秘的景観

岩門を有料渡舟でさかのぼる「猿飛」は渓谷一の神秘的景観

写真:村井 マヤ

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三段峡の有名な名所としては正面口から約5分くらいのところにある「長淵」つぎに「黒淵」「猿飛」「二段滝」「三段滝」と続きます。そのために、普通は正面口からスタートするところを先に「猿飛」から「二段滝」を見ていくというコースをご紹介します。

実は、ちょっと効率が悪いのですが、出発時間がそんなに早くなくても何とか巡れるのと、時間と体力があれば「長淵」も、車で正面口まで戻って散策可能な点がおススメなのです。
昼食はお食事処でもとれますが、シーズン中は混雑しており売り切れになってしまうことも。おにぎり等のちょっとした食べ物をバッグにしのばせましょう。もちろん飲み物は必ず持参のこと。ちなみにここは、登山ほどの装備でなくてもリュックを背負い、できるだけ両手が使えるようにしておくと良いでしょう。歩きやすい靴はもちろんです。

さて、写真は「猿飛」です。ここは紅葉のシーズン中は毎日運航(下記MEMOを参照)で、それ以外の期間は土・日・祝日のみ運行している有料の渡舟で「二段滝」まで見に行くことができます。
写真にロープのようなものが交差しているのがお分かりになるでしょうか?これは舟の船頭さんが掴んで舟を進ませたりするためのものです。この「猿飛」は、高さ20数mの岩壁が2〜3mの間隔で約30mも続く場所。なかなか人の足では厳しい場所で、岩肌と岩肌をすり抜けるように舟は進み、「二段滝」まで行くのはスリリングですよ。

三段峡を代表する「三段滝」はやっぱり見たい!

三段峡を代表する「三段滝」はやっぱり見たい!

写真:村井 マヤ

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水梨口から「猿飛」「二段滝」「三段滝」まで周遊してまた水梨口に戻ると約3時間です。なので例えば10時くらいに出会橋(水梨口)を出発してアクシデントなく散策できたら約13時には水梨口に戻り、トイレ休憩や昼食をとることも可能です。ただし水梨口はお食事できるお店がないため、お昼にはお弁当などをご持参ください。

さて、出会橋(水梨口)から「三段滝」を見に行くコースは、いわば古の山水画の世界観漂う変化に富んだ滝と渓流を徒歩で楽しむコースになります。その一番の目的は「三段滝」です。

三段滝は、豪壮な滝で全長130mにわたる険しい崖が連なり、その崖を水が落下していく様を眺めるのは爽快な気分。そしてここに至る道のりがなかなかだっただけに、この美しい景色を見ると救われた気分にもなれます。休憩がてらしばし滝見物をして、世界に誇れる絶景を楽しんで!

手掘りの洞門や美しい渓谷美が見事なトレッキングコース

手掘りの洞門や美しい渓谷美が見事なトレッキングコース

写真:村井 マヤ

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美しい「三段滝」を散策したら、出会橋(水梨口)へとUターンします。「三段滝」より先に行くことも出来ますが、今回のコースではここで引き返します。そうして水梨口で昼食やらトイレ休憩をとったあと今度は、正面口方面へと進みましょう。
出会橋(水梨口)から次の目的地「黒淵」まで約50分です。途中美しい渓谷沿いに「耶源(やげん)」や「王城」と名付けられた名所が眺められる遊歩道が続きます。正面口から出会橋(水梨口)にいたる道のりは、いわば渓谷を楽しむトレッキングコースになります。

写真は、「王城洞門」と呼ばれる手堀りの洞門です。この洞門に至るまでに見ることができる「耶源」は、川床に巨大な岩が横臥し、すくっと空に向かってそそりたち、その源には激流が流れています。次に「王城」とは、岩の屏風に挟まれた難所で、S字状の流れのくぼみに刻まれた谷あいです。このような名所もHPなどで写真を確認しておくともっと楽しめますよ。先人が手掘りで残した洞門をくぐりながら三段峡の変化に富んだ峡谷美を堪能しましょう。

黒淵の美しいエメラルドグリーンの水面と切り立った岩は必見

黒淵の美しいエメラルドグリーンの水面と切り立った岩は必見

写真:村井 マヤ

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出会橋(水梨口)からスタートして最初に滝見学をする今回の旅のコースですと、「黒淵」を散策するにはお食事処「黒淵荘」から乗船して舟に乗ったまま再び黒淵荘へと戻るパターンになります。もちろん、お時間があれば黒淵よりさらに正面口方面に行かれても良いでしょう。しかし再び出会橋(水梨口)へと戻らなければならないので(車を水梨口に駐車しているので)、中国の「桂林」のような風景を堪能したらそのまま水梨口へと踵を返すのが賢明です。

一方「黒淵」を、正面口から散策する場合は、舟を呼ぶためにロープをひっぱります。そうすると「黒淵荘」に隣接する川岸の舟が100mに及ぶ切り立った絶壁と美しいエメラルグリーンの水面を抜け迎えに来てくれます。正面口からスタートする方は、行きだけ渡舟を利用して、舟上から美しい景色を堪能したあと水梨口まで進み、Uターンするルートもオススメです。黒淵を観光する方の多くは、峡谷内に唯一のこの施設で食事休憩をとります。

ちなみにこの渡舟も有料となります。出会橋(水梨口)から黒淵までの往復が約2時間になりますので、計約5時間の散策時間になるわけです。
朝10時にスタートして順調に散策すれば、15時くらいには水梨口駐車場へ戻る計算になります。
そうして、今度は自動車(タクシー)で約40分かけて正面口に戻ってそこで駐車し、「長淵」まで歩けば良いわけです。正面口には立ち寄り入浴できるお宿もありますので、最後に旅の疲れを癒せます。

「三段峡」は一度では満足しないかも・・

今回は、有名な場所を散策する旅ですので、正攻法な散策コースではありません。一度行っただけで「ちょっと三段峡に行ったよ、滝も猿飛も黒淵も見てきたよ」と周囲にプチ自慢できる散策方法です。
一度歩くと、どんなものが必要か、何時ぐらいに出発するのが良いかなどもある程度わかります。今回は10時に出発する計算ですが、早いにこしたことはありません。また、通常なら使用するマイクロバスは利用しない巡り方なので、少々疲れると思います。でもマイクロバスは1日1本しかなく、時間に縛られるのでゆっくり散策できないのが欠点です。今回の散策コースなら時間はかかりますが、ある程度の自由がありますよね。

もちろん、これはあくまでも1つの巡り方なので参考にしていただけたら良いでしょう。
また広島市内や近隣の県から朝早く出発するより、近くに宿泊するのがおススメです。宿泊先の一例として下記MEMOを参照してください。

紅葉狩りと渓谷散策に「三段峡」はいかがでしょうか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/26 訪問

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