ウィーンの中心部、王宮前のマリア・テレジア像の左右にほぼ同じ形の宮殿風の建物が対となって建っています。西側にあるのが自然史博物館、東側にあるのが今回ご紹介する美術史美術館です。
美術史美術館は19世紀末、時の皇帝フランツ・ヨーゼフ一世の命によって皇帝所蔵の絵画や工芸品のコレクションを収め、展示するために建てられました。
世界遺産「ウィーン歴史地区」として世界文化遺産に登録されており、ここではブリューゲル、カラヴァッジョ、フェルメールといった教科書にも載っているような数々のヨーロッパ名画を実際に目にすることができます。
中に入ると、まず入って目に入るのが展示室へと続く壮麗な大階段。高い天井に大理石をふんだんに使った豪華な内装はまさにハプスブルグ家が誇る美の殿堂にふさわしく思えます。
ここで見逃せないのが、階段上方の装飾画です。それは若き日のグスタフ・クリムトが描いたもの。壁画は古代エジプトからルネッサンスに至る美術の発展の歴史を擬人化してあらわしており、それぞれの時代衣装に身を包んだ女神のような女性が魅惑的に描かれています。
階段を昇った壁画の反対側にはスコープがあって、絵の細部まで見ることができますよ。
美術館の2階が絵画の展示スペースです。
中でもブリューゲルのコレクションは世界最大。「バベルの塔」「雪中の狩人」「農民の婚礼」といった誰もが一度は見たことがあるような作品が並びます。
このほかデューラー、ラファエロ、ティツィアーノ、カラヴァッジョ、ベラスケスなどの有名絵画が次々と目の前に。
ベラスケスの作品ではスペイン、プラド美術館の「ラス・メニーナス」 が知られていますが、そこに描かれたスペイン王女マルガリータはオーストリア・ハプスブルグ家に嫁ぎました。そのためこちらではベラスケスによる、幼少期から成人するまでのマルガリータ王女の肖像画を見ることができます。
またフェルメールの「絵画芸術」も美術史美術館のコレクションの一つ。誰もいない展示室で静かに心ゆくまで作品を味わうことも夢ではありません。
多くの展示室の中央にソファが用意されているのもうれしいところです。
美術館歩きは意外に疲れるもの。お気に入りの絵の前でゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
美術鑑賞に疲れたらカフェで一休みはいかがでしょうか。
絵画のフロアのほぼ中央、ドームの下には素敵なカフェ・スペースが設けられています。
高いドーム天井に大理石の柱、そしてモザイクの床。経営はケルントナー通りにもお店のある、皇帝御用達の老舗カフェ、ゲルストナーです。
ショーケースにはかわいらしいケーキが並び、本場のウィーンのトルテやコーヒーはもちろん、食事も楽しむことができます。
ハプスブルグ家の至宝に囲まれて過ごす優雅な一時。最高ですよ。
そして、ハプスブルグ家の豪華な工芸品コレクションもどうぞお見逃しなく。1階と2階の間の中間階には工芸品の展示室があり、宮殿を飾った華麗な調度品の数々を目にすることができます。中でも白眉はネプチューンがあらわされた黄金の塩入れ。美術史美術館のシンボルといえる逸品です。
ハムなどの保存食品を作るのに欠かせない塩は、ヨーロッパでは重要な交易品の一つであり、製塩と塩の交易はその権利を持つ者に莫大な富をもたらしました。そのため、ヨーロッパの宮廷晩餐会では富の源、つまり塩を入れる豪華な器が権力の象徴として王や主賓の前に必ず置かれていたそうです。
ネプチューンの塩入れは、ルネサンス期の有名なフィレンツェの彫刻家ベンヴェヌート・チェリーニが時のフランス王フランソワ一世のために作ったもの。手前の神殿はコショウを入れる引き出しになっています。
館内にはエジプトやギリシャ・ローマ美術の展示室もあります。とくにエジプト美術はオーストリアがクフ王のピラミッドの前を発掘調査した際の出土品が展示されていて、古代エジプトに興味のある方は必見ですよ。
ミュージアムショップは1階にあり、グッズも充実。おみやげ探しにもおすすめです。
また館内は基本的に常設展は写真撮影できますが(フラッシュ不可)、特別展や企画展などは撮影できないのでご注意下さい。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/19更新)
- 広告 -