写真:木村 岳人
地図を見る三段峡の正面口から峡谷沿いの遊歩道を歩いて行くと、程無くして「竜ノ口」と呼ばれる場所に辿り着きます。石英斑岩の白い岩肌が露出する中、飛沫を上げながら流れる水の様子は大迫力。ここからしばらくの間、ワイルドな峡谷景観が続きます。
その途中には、岩に付着する珪藻類の影響で赤く見える「赤滝」や、岩の中を川が細く流れる「石樋」など、見逃せないスポットが続くので飽きる事がありません。遊歩道は概ね平坦で歩きやすく、場所によってはトンネルがあったりとちょっとした冒険気分。
写真:木村 岳人
地図を見る三段峡の中程まで進むと、高さ100mの断崖絶壁が両岸に迫る「黒淵」に差し掛かります。水の流れが激しい「竜の口」の付近に対し、この辺りは水の流れが非常に穏やか。急流のみならず、淵や滝など、様々な峡谷の景観が見られるのが三段峡の魅力なのです。
なお、「黒淵」の壮大な景色を十分に楽しむ為には、渡船に乗るのがベスト。ストンと落ちる絶壁の所々には色付いた木々が生え、まるで山水画の世界のよう。澄み切った水は緑色に輝いて美しく、思わずため息が出てしまいます。
【黒淵渡船】
乗船料金:片道300円、往復500円
運行期間:4月下旬〜11月下旬
写真:木村 岳人
地図を見る三段峡の奥には「三段滝」と呼ばれる滝が存在します。その名の通り三段からなる滝で、「三段峡」という峡谷の呼称もこの滝の名から付けられました。まさに三段峡を代表するスポットと言えるでしょう。
三段滝の周囲には手つかずの森が広がっており、紅葉シーズンは辺り一面が赤や黄色に染まる、絶好の紅葉スポットでもあります。
正面口から三段滝まで歩くのは、かなりの距離があって大変ですが、道中の景色もまた美しく、見に行く価値は大いにあります。
写真:木村 岳人
地図を見る「三段滝」の他、「二段滝」と呼ばれる滝も存在します。こちらもまたその名の通り二段の段差からなる滝で見応えがありますが、それ以上に、二段滝の手前に連なる「猿飛」が素晴らしいのです。
20mの岸壁がすぐ側まで迫る「猿飛」は、峡谷の幅が僅か5mと、猿が飛べるくらいに狭い事から名付けられました。切り立った断崖に日差しが遮られる為、昼もなお薄暗く、神秘的な雰囲気に満ち溢れています。三段峡の奥部にふさわしい、秘境感が漂うスポットです。
この「猿飛」の狭門は、実は二段滝が作り出した地形です。滝を流れる水が岩壁を削り、長い年月をかけて滝は徐々に後退していきました。この滝の後退現象は今もなお続いており、何百年、何千年後かには「猿飛」はさらに奥行きを増す事でしょう。
写真:木村 岳人
地図を見る三段峡には、モミジやブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹のみならず、常緑広葉樹や針葉樹など、実に多種多様な木々が生えています。これは日本の古い森に見られる特徴で、日本古来より残る森林の姿を今に残す場所としても非常に貴重な存在です。
晩秋には木々が色付き、赤や黄色、緑色の色彩がパッチワーク状に広がる紅葉は明媚の一言。下流から上流まで約450mの高低差があるので、紅葉の時期も下流と上流で時間差があり、比較的長い期間、紅葉を楽しむ事ができるのも嬉しいですね。
とまぁ、多種多様な峡谷美の要素をこれ以上無いくらいに詰め込んだ三段峡ではありますが、その全てを見て回るには丸一日必要です。特に、三段滝や猿飛までは、正面口から片道約2時間半かかりますので、十分な余裕を持って下さい。
本来ならば、正面口から出合橋と呼ばれる場所までマイクロバスで行き、そこから歩き始めるのがベストなのですが、8月の土砂崩れで林道が閉鎖されてしまい、残念ながら現在(2013年10月)はマイクロバスを利用する事ができません。
時間に余裕が無い場合には、黒淵までにすると良いでしょう(正面口から往復約2時間)。散策路は比較的平坦ですが、服装は動きやすいもの、靴は底が滑りにくいものを履いて行きましょう。
【アクセス情報】
広島バスセンターより、広島電鉄バス「三段峡線」で約1時間15分(運賃1400円)。
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この記事を書いたナビゲーター
木村 岳人
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