写真:旅人間
地図を見る「むかし、むかし、あるところに…」で始まる数多くの日本昔話の中でも特に有名な桃太郎。この桃太郎伝説は岡山県が有名で、他にも香川県、奈良県、愛知県、岐阜県など全国各地にあり諸説様々。古代の大和政権と吉備国の対立を物語り調にしたという説もありますが、愛知県犬山市に残る「桃太郎伝説」は、日本昔話にそっくりで実に興味深い。
例えば犬山市の犬山にも「犬」の文字が付いているように、「猿洞」「雉ヶ棚」など、桃太郎が子供の頃に過ごしていたと伝わる場所には「犬」「猿」「雉」の名が残っています。この猿洞と雉ヶ棚は山の中にあり現在の地図からは確認することが出来ないものの、お爺さんお婆さんが過ごした場所は「古屋敷」と地名が残り、目の前を流れる木曽川の沿岸には桃林があり、上流には「大桃」という場所もあります。お婆さんの所へ流れて来た桃は、そこからドンブラコとやって来たと伝わっています。
愛知県犬山市にある「桃太郎神社」に来てみると、思わずぷっと笑ってしまうオブジェが数多くあります。例えば、入り口の鳥居ではキビ団子を手にしたお猿さんがお出迎え、鎧に身を包んだ雉と犬、大きな桃を手に持つお婆さん、芝刈りに行くお爺さん、そして桃からパッカーンと生まれた桃太郎の姿など…。
このオブジェは、関ヶ原ウォーランドなどでも知られるコンクリート像作家の浅野祥雲による作品で、個性が強いがゆえに珍スポットと言われてしまう事もありますが、これらは昭和20年代に子供達が喜ぶように作られたもの。現在は使用できませんが本堂に続く石階段にコンクリート製の滑り台があるのも珍しい。
ここは単なる珍スポットと決めつけるのではなく、公園と一体化した子供が楽しむ為に作られた「子供の為の神社」と考えれば、この独特な雰囲気にも納得できますね。
写真:旅人間
地図を見る日本各地には様々なタイプの鳥居があるかと思いますが、この「桃太郎神社」の鳥居はピンク色で桃の形と実に珍しい。そして鳥居には注釈があり「桃形の鳥居をくぐれば、悪は去る(サル)病は居ぬ(イヌ)災は未じ(キジ)」と書かれているのも興味深い。日本では古くから桃には邪気を祓う力があると言われていますが、この桃形の鳥居は実に縁起が良さそうです。
伊弉諾尊(いざなぎのみこと) が黄泉の国から逃げ帰る時、命を救った桃に大神実命(おおかむづみのみこと)の名を与えたと言う話は有名で、この桃太郎神社の祭神は大神実命。そして桃太郎の非凡な力にあやかり子供の健康と無事息災を願い智・仁・勇・健・富を備えようと子供の神様として、また子宝の神様として多くの方が参詣しています。
写真:旅人間
地図を見る桃太郎神社付近には「犬」「猿」「雉」などが地名に残っていると既に述べましたが、もっと広い範囲で地名を見ると「桃太郎」と言う物語の全貌が見えてきます。
もし興味があるなら、地図を広げて見て欲しい!
見張りの鬼が “桃太郎が今渡って来たぞ” と仲間に伝えた地点は「今渡」と言う地名となり、鬼と桃太郎が取っ組み合って戦った場所は「取組」、その近くの山頂には「猿噛城址」が見えるが、猿が鬼に噛みついて戦った場所に猿噛(さるばみ)の名前が残っています。
更に、桃太郎たちが勝鬨上げをあげた場所は「勝山」に。鬼ヶ島から持ち帰った宝を積み上げた場所は「宝積寺」、勝利を祝い、村人たちが酒蔵を開き、宴を開いた場所は「坂祝」「酒倉」、そして鬼ヶ島があったとされる場所のすぐ近くは、鬼が退治され、春が来たかのように平和になった事から「春里」と呼ばれるようになりました。こうやって見ると愛知県と岐阜県に桃太郎を巡る壮大なドラマがあったように感じてなりません。
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地図を見る桃太郎神社には宝物館があり、鬼ヶ島から発見されたと伝わる犬が噛み切ったと伝わる鬼の珍宝などが展示されています。そして桃太郎神社の鬼門の方角8キロ先の山を越えた先、可児川の中に悪者が住み着き付近を荒らしまわっていたと言った記述があり、そこが「鬼ヶ島」だと書かれています。
ここで好奇心旺盛な方なら「鬼ヶ島を探してやろう」って方もいるかもしれませんね。自力で地図を広げて探してみるのも一興ですが、これが慣れない土地の場合はなかなか見つけにくい。そこで、この鬼ヶ島の場所は岐阜県可児市の可児川駅の側にありますので、その周辺を探してみましょう。可児川のど真ん中にゴツゴツした岩山、そして木が茂った場所があるはず!ここに鬼か盗賊かが近隣の村人を困らせる悪者が住んでいたようです。この雰囲気を見ると、鬼の住み家として「鬼ヶ島」と言われるのも確かに納得です。
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地図を見る桃太郎は鬼退治をした後、お爺さんお婆さんに孝養尽くし二人が天寿を全うすると“役目は終えた”と山に姿を消したそうです。その山は桃形になり「桃山」と呼ばれ、村人達が麓に小さなお社を作ったのが桃太郎神社の始まり。
そして昭和5年頃、山奥ではなく参拝に便利な場所に移転させる話をしている時、1匹のキジが桃山から飛び立ち、桃太郎と一緒に過ごしたお爺さんお婆さんの屋敷があったと伝わる「古屋敷」と名の残る地点に降り立ったそうです。それも何かの導きに違いないと移転させたのが現在の桃太郎神社の場所になります。
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(2024/4/19更新)
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