紅葉で人気の京都・東福寺!通天橋以外にも注目、渓谷・洗玉澗に架かる三名橋の絶景

紅葉で人気の京都・東福寺!通天橋以外にも注目、渓谷・洗玉澗に架かる三名橋の絶景

更新日:2016/11/21 17:50

京都で紅葉の名所として知られる東福寺。東大寺の「東」と興福寺の「福」の字から命名されました。主要伽藍の北には洗玉澗(せんぎょくかん)という渓谷があり、西から東へ「臥雲橋(がうんきょう)」「通天橋」「偃月橋(えんげつきょう)」という3本の木造橋廊が架かり、東福寺三名橋と呼ばれています。「偃月橋」は、一番奥まった場所にあり、他の2橋に比べ小さく落ち着いた雰囲気です。混雑を避けてぜひ訪れてみては?

臥雲橋から見た通天橋

臥雲橋から見た通天橋
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東福寺は、恵日山(えにちざん)と号する臨済宗東福寺派の大本山です。鎌倉時代の摂政 九条道家が、九条家の菩提寺として、禅僧 円爾弁円(えんにべんえん・聖一国師)を開山に招き1236年から1255年まで19年を費やして造営しました。創建から750年の歴史があります。相次ぐ火災で大部分を焼失しましたが、1347年、前関白の一条経道により仏殿が再建され、京都五山の一つとして、東福寺は完全な禅宗寺院としての寺観を整えることとなりました。

紅葉の名所として有名な東福寺には、桜の木がほとんどありません。その理由として、将軍足利義持が画僧・吉山明兆に絵の褒美として望みを問うたところ、「境内に多くの桜を植えると後世に遊興の場になるため、それを禁じて欲しい」と言ったため、義持が桜の木を切ったとの話が伝えられています。

東福寺駅方面からのアプローチで、まず多くの人が目にするのが、京都府指定文化財の「臥雲橋」。立派な屋根が付いた木造の橋廊。車止めはありますが、生活道路として通行でき、単車・自転車は下車通行するように掲示してあります。臥雲橋から見る通天橋の絶景は魅力的です。

臥雲橋の手前には1268年に亀山天皇から下賜された国指定重要文化財の「月下門」があります。今は、通天橋を渡った先にある普門院の総門で、こちらからは入れずに、臥雲橋の先にある「日下門」から入場します。

通天橋から見た臥雲橋

通天橋から見た臥雲橋
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20万平方メートル以上の境内は無料で拝観可能です。有料となるのが通天橋・開山堂拝観料 400円(小中学生 300円)と国指定名勝東福寺本坊庭園 拝観料 400円(小中学生 300円)です。

日下門から入り、通天橋拝観券販売所で拝観料を払います。そにまま進むと、本堂と普門院、開山堂を結ぶ「通天橋」(長さ約26メートル)。1380年に春屋妙葩(しゅんおくみょうは)が谷を渡る苦労から僧を助ける為に、橋を架けたと伝えられています。最後の橋は、文政年間(1818〜30年頃)に改築されたものでしたが、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で倒壊し、1961年(昭和36年)に建て替えられました。その際、橋脚部分は鉄筋コンクリートになっています。

橋の中央部・切妻屋根を構える広くなった張り出し部分から見下ろす洗玉澗の赤く染まった紅葉は憧れの絶景です。じっくり立ち止まって、景色に酔いしれたいところですが、紅葉の混雑時に事故防止のため、橋の上での撮影禁止措置が講じられています(2016年は11月12日〜30日、臥雲橋も同様)のでご注意を。

境内には、いろは紅葉・トウカエデの他、2000本もの楓が植えられています。宋(現在の中国)より持ち帰ったとされる、黄金色に染まる三つ葉の通天モミジは有名で、通天橋付近に数十本あります。

通天橋の先に、開山堂・普門院、さらに朱色が映える八角形の愛染堂

通天橋の先に、開山堂・普門院、さらに朱色が映える八角形の愛染堂
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通天橋を渡った先に開山堂、普門院などがあります。開山堂(別名 常楽庵)は2階建ての楼閣で、聖一国師を祀っています。2階部分の伝衣閣(でんねかく)は金閣・銀閣・西本願寺の飛雲閣・大徳寺、芳春院の呑湖閣、と合わせて京の五閣と言われています。普門院は聖一国師の住まいだった場所とされます。また、普門院前には、きれいに掃き清められた庭園があり江戸中期の枯山水庭園です。

洗玉澗近くで、注目なのが愛染堂。通天橋を渡り開山堂を左へ進むと現れるのが、朱色柿葺きの八角形をした愛染堂です。元は、南北朝時代、東福寺の塔頭、三聖寺に建てられましたが、室戸台風で倒壊し、現在の地に、移築再建されました。愛染明王を祀っています。

紅葉の時期には、周りの木々と一体に映えますが、新緑の時期には、朱色の鮮やかさが際立ちます。

帰りは、通天橋を渡らず、愛染堂から南へ谷を下りて、洗玉澗の三ノ橋川を渡れます。その途中、紅葉の間から通天橋の姿を見上げられます。結構なアップダウンになりますので、通天橋を架けたありがたみを感じられます。

重要文化財の偃月橋(えんげつきょう)

重要文化財の偃月橋(えんげつきょう)
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「偃月橋」は、東福寺本坊庫裡にある東福寺本坊庭園拝観受付の脇道を東に進み、突き当りを左に曲がると到着します。東福寺三名橋の中では、一番奥の東端に位置し、塔頭・龍吟院と即宗院に向かう橋です。長さ十一間(約20メートル)、幅一間(約1.8メートル)で、単層切妻造の屋根は桟瓦葺きです。偃月橋は、1603年に再建され、国の重要文化財に指定されています。さらに、日本百名橋にも選ばれています。秀吉の正室である北政所・ねねが龍吟院にお参りするために架けられたといわれます。

偃月橋を渡った正面にある龍吟院は、南禅寺の開祖でもある東福寺第3世 無関普門(むかんふもん・大明国師)の住房跡です。その方丈は、1387年に建てられ、書院造と寝殿造の手法が融合した現存最古の方丈建築とされ、1963年国宝に指定されています。昭和を代表する作庭家 重森三玲(しげもりみれい)により、1964年に完成した枯山水庭園「 無の庭 」「 龍の庭 」「 不離の庭 」も見ものです。
 
国宝龍吟院は通常非公開ですが、例年11月〜12月初めや「京の冬の旅」の期間中、特別拝観があります。

龍吟院の右隣(東側)には、薩摩藩の菩提寺である即宗院が位置します。西郷隆盛が倒幕計画を練ったという茶室があります。方丈から偃月橋へ向かう角には「鹿児島藩招魂碑 即宗院在山上」という石碑が置かれています。

偃月橋(えんげつきょう)から見た洗玉澗

偃月橋(えんげつきょう)から見た洗玉澗
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偃月橋から見下ろす洗玉澗の紅葉の景色が、趣きがありお薦めです。

偃月橋へ向かう手前に位置する「国指定名勝 東福寺本坊庭園」は、東福寺方丈「八相の庭」という名称でしたが、2014年に国指定名勝に登録され、変更されました。東福寺方丈は火災で焼失後、1890年に再建されました。

その方丈の東西南北に四庭が配され、八相の庭と称します。作庭家 重森三玲により1939年に完成されました。八相成道(釈迦の生涯の八つの重要な出来事)に因んだ八つの造形美(蓬莱・方丈・井田市松・北斗七星など)を配しています。人の少ない静かな雰囲気で眺めたい庭園です。

おわりに

東福寺で、ぜひとも訪れたい見どころをご紹介します。

〇雲龍図(八方睨みの龍)
仏殿(本堂)の天井に描かれているのが、堂本印象画伯による「法堂天井画龍(蒼龍図)」。東西22メートル、南北11メートルの大きさです。仏殿内部は非公開ですが、建物の外から、覗くことができます。中央にある龍の目つきは大迫力です。

〇山門(国宝)
1425年に再建された、現存する最古で最大の山門。高さ22メートルで2階部分の楼上内部には諸仏が並び、天井や柱に極彩画が描かれています。

〇東司(とうす)
通称百雪隠(ひゃくせっちん)、百人の僧侶が用を足すことができた最古のトイレ遺構で国の重要文化財。建物内部は、土間の地中に数多くの穴があいています。

東福寺へのアクセスは公共交通機関を使いましょう。JR奈良線・京阪本線「東福寺駅」から徒歩。または、市バス202,207,208系統 で九条通りの「東福寺」バス停から徒歩。南東の方へ約10分です。なお車の場合は北駐車場がありますが、紅葉の時期は閉鎖されます。紅葉の時期には、大行列です。平日の早朝など時間帯を考慮して行きましょう。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/12/09 訪問

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