写真:木村 岳人
地図を見るそもそも醍醐寺は、修験道(険しい山で修行を行い、超人的な力を得ようする信仰)の霊場として発展しました。その修験者たちが修行を行っていた醍醐山の頂上付近、いわゆる上醍醐こそが醍醐寺のルーツなのです。長い歴史を持つ霊場なだけあって、上醍醐には神聖な空気が満ち溢れ、雰囲気バツグン。醍醐寺へ行くのであれば、上醍醐に登らない手はありません。
上醍醐へと続く登山道は、醍醐寺の境内をぐるっと迂回した裏手の女人堂から始まります。醍醐山はかつて、女人禁制の山でした。女性はこの女人堂までしか立ち入れなかったんですね。
修行の道なだけあって登山道は結構急ですが、しっかり整備されていて歩きやすく、途中に休憩できる場所も用意されているので心配はいりません。歩きやすい靴と服装で、自然を楽しみながら自分のペースでのんびり登りましょう。
写真:木村 岳人
地図を見る女人堂から登山道を一時間程登って行くと、ようやく上醍醐に到着します。まずは上醍醐に湧き出る「醍醐水」で一息入れて、登山で疲れた体を癒しましょう。
この「醍醐水」は、醍醐寺の開祖である聖宝(しょうぼう)が修行場を求めてこの醍醐山に入った際、山を守る横尾明神が現れて湧水を飲み、「あぁ、醍醐味なるかな」と感嘆の声を漏らしたという伝説が残っています。醍醐寺という寺名もこの言葉から付けられたとか。
神様も醍醐味(最高の味)と褒め称えた、まさに名水中の名水というワケですね。
写真:木村 岳人
地図を見る山麓の醍醐寺伽藍、いわゆる下醍醐にも数多くの文化財が存在しますが、上醍醐もまた古い建物が残っており、二棟の建物が国宝に指定されています。
そのうち上醍醐の入口に建つのが、室町時代の永享6年(1434年)に建てられた清滝宮拝殿です。清滝宮はかの弘法大師空海が唐の青龍寺から勧請した神様を祀る神社で、醍醐寺の鎮守社として上醍醐、下醍醐のそれぞれに祀られています。
上醍醐の清滝宮拝殿は住宅風の作りで、優雅で繊細な雰囲気。山の上にある為に土地が狭く、その建物は清水寺の舞台のような、床をせり出した懸造(かけづくり)となっています。
写真:木村 岳人
地図を見るもう一棟の国宝建築は、清滝宮拝殿から二段上がった所に建つ薬師堂です。こちらはより古く、保安2年(1121年)に建てられたもの。平安時代の建築として非常に貴重な存在ですね。
優雅な印象の清滝宮拝殿に対し、薬師堂はどっしりと安定したたたずまい。堂内には平安時代に刻まれた薬師如来座像と脇侍の日光・月光菩薩像(いずれも国宝)が安置されていましたが、現在は火災などのリスクから守る為に下醍醐の霊宝館へと移されており、そちらで拝観が可能です。
写真:木村 岳人
地図を見る上醍醐で楽しめるのは、何も古い建物ばかりではありません。晩秋には醍醐山の木々が美しく色付き、紅葉狩りにも最適です。紅葉のシーズンはズバリ、11月の中旬から下旬にかけて。
下醍醐の伽藍や三宝院、霊宝館なども併せてじっくり見て周りますと、醍醐寺だけで丸一日楽しむ事が可能です。オススメのスケジュールは、人の少ない朝の時間に下醍醐の三宝院と伽藍を拝観、それから上醍醐に登り、下りて来てから霊宝館を見るカンジ。
なお、上醍醐は眺めも良くてついついお弁当を広げたくなってしまいますが、醍醐寺の境内は上醍醐を含めて飲食禁止という事になっていますので、ご注意を。
醍醐寺は京都の中心部から少しだけ距離がありますが、その分、他の著名な寺社と比べて人が少なく、ゆったりとした時間を過ごす事ができます。
上醍醐まで行くには時間的な余裕が必要ですが、登る価値は大いにあります。涼しい季節は体を動かすのも楽しいですし、この秋は歴史と紅葉を見に、下醍醐と上醍醐をまるっと楽しむのはいかがでしょうか。
【アクセス情報】
京都駅八条口から京阪バス「山科急行」で約30分、「醍醐寺」バス停下車
JR山科駅から京阪バス「22、22A系統」で約20分、「醍醐三宝院」バス停下車
京阪六地蔵駅から京阪バス「22、22A系統」で約15分、「醍醐三宝院」バス停下車
【上醍醐 拝観情報】
<入山受付時間>
冬期(12月1日〜 2月末日):午前9時〜午後3時
夏期(3月1日〜11月末):午前9時〜午後4時
(必ず午後5時までに下山する事)
<入山料>
大人600円、中学生、高校生300円
小学生以下は無料
【下醍醐 拝観情報】
<開門時間>
3月〜12月第1日曜日まで:午前9時〜午後5時
12月第1日曜日の次の日〜2月末まで:午前9時〜午後4時
<拝観料>
大人600円、中学生、高校生300円
小学生以下は無料
(三宝院、伽藍、霊宝館、それぞれ別料金。共通券もあり)
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/9/16更新)
- 広告 -