写真:bow
地図を見る日本三景・天橋立にある籠神社。元伊勢と呼ばれる格式高い神社の奥宮にあたるのが今回ご紹介する「真名井神社」です。ここは天橋立から近いにも関わらず、観光エリアとは逆方向にある為に観光客がほとんど訪れない神社。いつも静寂につつまれており、境内は凛とした空気に包まれた不思議な空間が広がっています。
この真名井神社、別名を久志濱宮(くしはまのみや)といい、くし≠ニは不思議なパワーの源という意味なのだそう。つまり、古来からここはパワースポットとされていたということなのでしょうか?
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地図を見る境内にはご霊水である「天の真名井の水」が湧き出ています。「真名井」とは水に付けられる名前では最高の敬称なのだそうです。社伝によれば三代目祖神・天村雲命(あめのむらくものみこと)が高天原(神様の世界)に行き、神々が使う水を黄金の鉢に入れてお水を持ち帰ってきて伝えたとされているのです。神様の世界の水!だから”天の”真名井の水なのです。この霊験あらたかな「天の真名井の水」を汲みに、近隣府県はもとより全国各地から訪れる人が絶えないのです。
実はこの「天の真名井の水」は有名人には広く知れ渡っているそうで、この水のご利益にあやかった人が実は多数存在しています。ミスタージャイアンツ・長嶋茂雄監督夫人が生前、最下位に苦しんだ巨人の成績を案じてこの「天の真名井の水」を汲みに来たそうです。そのおかげか、巨人は翌年見事優勝を果たしたそうです!
またこの「天の真名井の水」は縁結びにも徳があるとされ、棋士の羽生善治さんと畠田理恵さんや、最近では俳優及川光博さんとの結婚前に壇れいさんが来られて、この「天の真名井の水」のご利益にあやかったそうです。
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地図を見る一見質素にも見える小さな神明造の本殿。しかしどこか、格の高さを漂わせています。この本殿は背後にある磐座が参道から直接見えないように建てられています。
ここ真名井神社の主祭神は伊勢外宮と同じの豊受大御神。丹波地方では稲作農耕、五穀豊穣の祖神とされています。”丹波”の地名の語源も豊受大御神といわれています。
神代の昔、大和国から天照大御神が初めて遷ったのがここ真名井神社と言われ、その後天照大御神と豊受大御神は共に真名井神社に祀られていました。やがて、天照大御神は伊勢へと遷り、その後を追うようにして豊受大御神も伊勢へと遷ったのです。豊受大御神が伊勢へ遷ることになったエピソードは有名で、伊勢に遷った天照大御神が「自分一人では食事が安らかにできないので、丹波国の真名井にいる豊受大御神を近くに呼び寄せなさい」と時の天皇の夢枕に立って言ったため、とされています。共に祀られていた時に豊受大御神は天照大神によほど美味しい食事をふるまっていたのでしょうか?(笑)こうして、豊受大御神は真名井神社から伊勢神宮の外宮へと遷ったとされています。このエピソードから、この地が元伊勢と呼ばれる所以になっています。
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地図を見るちょうど本殿の真後ろにあるのが大きな磐座。画像の手前の磐座は天照大御神、そしてイザナギ・イザナミを祀り、奥の磐座には豊受大御神を祀っています。そうなのです、ここは日本を作ったイザナギ・イザナミと共に伊勢神宮・内宮外宮の主祭神を祀っているという、よく考えるととんでもない場所なのです。実に2500年前からそのままの形で祀られているという、古代の祭祀場だとされています。
この磐座から発せられるパワーというかオーラというか、少し恐怖感を覚えるような”気”に満ちています。何も感じない人でも「何だかここ、すごいな」と感じられ、軽々しく踏み込んではいけない場所なのかもと思わせる雰囲気です。実際に地元の天橋立観光協会では「不純な気持ちでの参拝はお控えください」との注意もしていて、私も確かにその通りだと実感しました。
神社ができる遥か昔から、ずっと人々はここで祈りを捧げてていたのでしょうか。京都ではこのような磐座のある神社は他にもあるのですが、その中でもトップクラスの威圧感、パワーを感じるのが、ここ真名井神社の磐座です。
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地図を見る境内には他にも大小の磐座が点在していて、その磐座に祀られている神々も錚々たる名前が揃っており、真名井神社の格式の高さがわかります。背後の山は禁足地とされていて、まさに聖地のような扱いです。
創建の古い神社には社殿のない神社も日本には存在しますが、ここ真名井神社も神社の起源とも言うべき磐座信仰を現代に伝える貴重な場所なのかもしれません。そしてここまで”何か”の存在を感じられるような場所は京都、いや日本でも本当に珍しい場所だと思います。それ故に日本屈指のパワースポットとも称されるのではないでしょうか。
天橋立という屈指の観光地エリアにある為、ついつい観光気分で足を運びそうになってしまいますが、この真名井神社への参拝は十分に心を整えてからの方が良いということはお伝えした通りです。なお、鎌倉時代に作られた御成敗式目にはこうあります。
「神は人の敬により威を増し 人は神の徳によりて運を添ふ」
近年のパワースポットブームに水を差すわけではないのですが、あまりこういう神社が観光地化するのは如何なものかと思います。そもそも神社というものは神様がいらっしゃる神聖な領域。それを再度認識した上で私たちは参拝するべきなんでしょうね。
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(2023/12/3更新)
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