「シティ・オブ・ロンドン」歴史が凝縮されたロンドン最古の場所

「シティ・オブ・ロンドン」歴史が凝縮されたロンドン最古の場所

更新日:2018/07/19 12:23

Lady Masalaのプロフィール写真 Lady Masala 知られざる名所案内人、蚤の市マニア
「シティ・オブ・ロンドン」は、ロンドンの中心に位置し、ニューヨークのウォール街と並ぶ金融街として知られているほか、古代ローマ人の植民地として建てられたロンドン発祥の地でもあります。
長い歴史を誇る格式ある建物を見るだけでも圧倒される「シティ」には、古い教会や趣のあるマーケットなど、ガイドブックには載らない見どころがたくさんあります。スーツ姿のビジネスマンを横目に、気ままな街歩きを楽しみましょう。

ワンランク上のショッピングモール「ロイヤル・エクスチェンジ」

ワンランク上のショッピングモール「ロイヤル・エクスチェンジ」

写真:Lady Masala

地図を見る

「City of London(シティ・オブ・ロンドン)」通称「シティ」の中心にあり、ひときわ人目を引く建物は、「Royal Exchange(ロイヤル・エクスチェンジ:旧王立取引所)」です。

ロンドンに最初に取引所が誕生したのは、1566年のこと。その後2度の火災に見舞われたため、現在の建物が建設されたのは、1844年、ヴィクトリア朝のことでした。その外観は白亜の神殿を思わせますが、実際、ローマのパンテオン神殿をモデルにしているのだとか。

2001年には、高級ショッピングモールとして生まれかわった「ロイヤル・エクスチェンジ」。「ティファニー」や「オメガ」などの高級店が出店する格調高いモールの入り口には、黒いスーツに身を包んだドアマンの姿が見えます。1階はカフェとショップ、2階はレストランとなっており、美しい吹き抜けのホールと空が見渡せるガラス張りの天井は必見です。

営業日:月曜日−金曜日

金と銀でリッチな気分に「イングランド銀行博物館」

金と銀でリッチな気分に「イングランド銀行博物館」

写真:Lady Masala

地図を見る

「ロイヤル・エクスチェンジ」の隣に位置し、その美しさに勝るとも劣らない外観を誇るのは、イギリスの中央銀行である「イングランド銀行」。そこに併設される「Bank of England Museum(イングランド銀行博物館)」には、銀行の成り立ちや歴史をわかりやすく解説した展示のほか、現在の場所に移転したという1734年当時の銀行周辺の様子がミニチュア模型で再現されています。

この博物館は、貨幣や紙幣のコレクターだけではなく、アンティーク好きにも垂涎の場所のはず。その目玉となるのは、銀行が所有するシルバーコレクションの数々。インク入れや燭台にはじまり、大型のワインクーラーなどの展示品はどれも美しく磨かれており、イングランド銀行の輝かしい歴史を物語っているかのようです。

美しい銀器とともに是非とも見ておきたいのは、実際に触れることのできる「金の延べ棒」。持ち上げて重さを確かめることができますが、その重量に驚くことでしょう。大きなものではありませんが、13キロもあり、持ち上げるのに苦労するはず。この金の塊、価値は毎日変化するそうですが、掴むことで、金運にあやかりたいものです。

開館日:月曜日−金曜日(10時−17時)※土日祝日休館

美しい鐘の音「セント・メアリー・ル・ボウ教会」

美しい鐘の音「セント・メアリー・ル・ボウ教会」

写真:Lady Masala

地図を見る

生粋のロンドンっ子「コックニー」の定義は、ここ「St Mary-le-Bow(セント・メアリー・ル・ボウ教会)」の鐘が聞こえる範囲で生まれた者とされています。その鐘の音色には、興味深い言い伝えが残されています。

お金を儲けようとロンドンに来た貧しいディック・ウィッティントンは、親切な商人に拾われ、屋敷の料理番を手伝うことになりました。ディックの悩みは意地悪な料理番とネズミだらけの屋根裏部屋。なけなしのお金をはたいてネコを買いましたが、主人が仕立てた外国商船にそのネコを乗せることになりました。その頃、船を出すときには、召使を含めた家人が各々の持ち物を船に乗せるという風習があったのです。

料理番の仕打ちに耐えかねたディックは、とうとう商人の家から逃げ出そうとしますが、その時、ボウ教会の鐘が鳴り響きました。その鐘が、「戻って来い、ウィッティントン。三度ロンドンの長となる」と言っているように聞こえたのです。鐘の音色に呼び戻されたディックは、ネズミに悩まされていた外国の王様がネコを高く買い求めたため、巨額の富を手に入れたことを知ります。その後ディックは、商人の娘と結婚し、鐘が知らせたように、三度ロンドン市長となり、幸せに暮らしたということです。

この教会を訪れたなら、鐘の音色に耳を傾け「ディック・ウィッティントン」の素敵な物語を思い出してください。

開放日:月曜日−金曜日

ヴィクトリア朝の優雅な装飾「レドンホール・マーケット」

ヴィクトリア朝の優雅な装飾「レドンホール・マーケット」

写真:Lady Masala

地図を見る

映画「ハリー・ポッター」のロケ地として知られる「Leadenhall Market(レドンホール・マーケット)」は、ここシティの一角にあります。14世紀に食肉市場としてはじまったこのアーケードマーケットには、カフェやレストランをはじめ、高級ブティックやショップが軒を連ねています。

美しい装飾が施された壁や天蓋は、ヴィクトリア朝にデザインされたもの。赤と緑を基調としたその見事な色合いは、思わず見とれてしまうほどの美しさ。壁に描かれた植物模様が華を添えています。そのレトロな空間を歩いていると、ヴィクトリア朝にタイムスリップしたかのような錯覚に陥るでしょう。

アーケード内にある眼鏡屋は、映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のなかで、「ダイアゴン横丁」へ行くために通るパブ「漏れ鍋」として撮影された場所。映画では、ハグリッドがハリーを茶色のドアへと案内しますが、実際には青いため、見つけにくいかもしれません。「42」の建物の隣がそれです。番号を頼りに探してみてください。

重要文化財建築物にも指定されているというこのマーケットは、シティで働くビジネスマンたちがランチに繰り出す場所でもあります。まだ明るいうちから一杯やっている、彼らの姿を見ることができるでしょう。

店舗営業日:月曜日−金曜日(10時−18時)
※アーケードは毎日24時間見学可

歴史の重みを感じる「シティ・オブ・ロンドン」

金融街のイメージが強いシティですが、歴史を知ることで、また違った一面が見えてきます。ロンドン最古の街だけに、堂々とそびえる格式ある建物の合間には、小ぢんまりとした教会が点在しています。聞こえてくる教会の鐘の音色に耳を澄ませながら、その古い街並みを歩いてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/11/11 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -