埼玉の紅葉名所「平林寺」は、心癒される自然と歴史の散歩道

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埼玉の紅葉名所「平林寺」は、心癒される自然と歴史の散歩道

埼玉の紅葉名所「平林寺」は、心癒される自然と歴史の散歩道

更新日:2017/11/24 17:49

織笠 なゆきのプロフィール写真 織笠 なゆき トラベルライター、御朱印収集家、狛犬愛好家

埼玉県新座市野火止、新座市役所のそばに、「平林寺」という臨済宗妙心寺派の禅刹があります。都心からもアクセス良好な場所にありながら、広大な寺域には武蔵野の貴重な自然が残されており、一帯は『平林寺境内林』として国の天然記念物に指定されています。中でも紅葉の季節の美しさは見事の一言。そんな平林寺の歴史や見どころをご紹介します。

豊かな自然の中の、趣のある佇まい

豊かな自然の中の、趣のある佇まい

写真:織笠 なゆき

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平林寺の正式名称は「金鳳山 平林禅寺」。南北朝時代の1375年、現在のさいたま市岩槻区に創建されました。開山は建長寺の住持をしていた石室善玖(せきしつぜんきゅう)禅師、開基は岩槻城主、大田備中守春桂薀沢(しゅんけいうんたく)居士です。

戦火で伽藍のほとんどを焼失してしまいますが、1592年、徳川家康が招いた鉄山宗鈍(てつざんそうどん)禅師により中興が果たされ、その後場所を現在の地に移しました。1904年に平林寺第21世・峰尾大休(みねおだいきゅう)老師が開設した平林僧堂は、関東を代表する修行道場となっています。

※写真は、道路に面し、拝観者をまず出迎えてくれる総門。木々の中に佇む重厚な茅葺屋根が、得も言われぬ風情です。

“知恵伊豆”と称された名君、松平伊豆守信綱

“知恵伊豆”と称された名君、松平伊豆守信綱

提供元:平林寺

http://www.heirinji.or.jp/地図を見る

平林寺を語る上で、松平伊豆守信綱(まつだいらいずのかみのぶつな)のことは欠かせません。武蔵国の出身で、江戸幕府の第3代・第4代、2人の将軍の元で老中を務め、その才知に富む手腕から「知恵伊豆」とも称された人物です。「島原の乱」鎮圧や、「明暦の大火」からの復興など、徳川第3代将軍家光の時代を取り上げた本や時代劇などにはよく登場しますので、名前を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

玉川上水の開削という大工事においても総奉行に任じられ、その功績から、自身が藩主を務める川越藩への分水を許可されます。それが今も平林寺の寺域を流れる「野火止用水」です。このような分水により、水源に乏しかった武蔵野台地はうるおい、新田や街道などが整備されていきました。

信綱の遺言により、岩槻にあった平林寺は野火止の地に移され、信綱の興した大河内松平家の祖廟となりました。廟所は約3,000坪。信綱夫妻の墓を含む160基余りの一族の墓石が、この地を見守るように、この地に守られるかのように並んでいます。

※写真の手前が松平伊豆守信綱の墓、その隣が信綱妻の墓です。

自然を守ろうとした強い意志

自然を守ろうとした強い意志

提供元:平林寺

http://www.heirinji.or.jp/地図を見る

ここからは、境内の様子に注目してみましょう。平林寺の伽藍は、豊かな木々の中にあります。戦争や都市開発など、時代の経過の中で失われていった武蔵野の自然。平林寺第22世・白水敬山(しろうずけいざん)老師は「雲水(修行僧)の修行には大自然が不可欠」と考え、雑木林を寺域として守り続けるべく、国指定天然記念物となるよう尽力しました。

1968年、『平林寺境内林』は雑木林としては国内で唯一、国の天然記念物に指定されました。現在でも武蔵野の面影を残し、鳥類や昆虫類の生息地・繁殖地として、学術的にも貴重な場となっています。

※写真は、岩槻から野火止への移転時に移築された山門です。平林寺では、総門・山門・仏殿・中門、そしてその奥に本堂と、重厚な禅宗伽藍が一直線上に配されています。

広々とした境内を、ゆったりと散策してみよう

広々とした境内を、ゆったりと散策してみよう

写真:織笠 なゆき

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『平林寺境内林』は、道向かいの「睡足軒の森」を含め、約43ヘクタールもの広さがあります。クリ、アカマツ、コナラ、クヌギなどが多く、一部の林床はクマザサに覆われています。境内林の遊歩道を一周すると、約2.5キロメートル。1時間ほどの散策になります。

本堂の裏には、野火止用水を引き込んだ心字池を中央に配する池泉回遊式の庭園「林泉境内」があるのですが、こちらは修行道場区域内のため、残念ながら一般には公開されておりません。

ですが、仏殿のそばにも放生池(ほうじょういけ)という美しい池があります。特に秋には、色づいた木々が映る水面に紅葉の葉っぱが舞い降り、その下には優雅に泳ぐ鯉たちが見え隠れ…と、色とりどりの眺めを近くで楽しむことができます。

自然に包まれ、心をととのえるひととき

自然に包まれ、心をととのえるひととき

写真:織笠 なゆき

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春の桜、初夏から夏にかけての新緑や木漏れ日、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々に美しい平林寺の境内。その中でもやはり秋は格別の美しさです。辺り一面に広がる錦絵巻に、言葉を失うことでしょう。

元は乾いた荒れ地だった武蔵野台地が、玉川上水や野火止用水の整備によって潤ったこと。そしてこの地に暮らす人々の手によって、燃料や肥料などの資源として雑木林が育まれ、こうして今でも大切に残されているということを考えると、感慨深いものがあります。

境内にはこの他、日本に書法・篆刻を伝えた独立性易禅師をお祀りしている載溪堂(たいけいどう)、烏天狗に似た霊妙摩訶不思議な御神体をお祀りしている半僧坊感応殿(はんそうぼうかんのうでん)など、見どころが点在しています。

平林寺とその境内林は、大切に守り続けたい宝物のような場所。癒される自然の中を歩きながら、先人たちの想いに心を馳せてみてはいかがでしょうか。

平林寺の基本情報

住所:埼玉県新座市野火止3丁目1-1
アクセス:東武東上線朝霞台駅・志木駅・西武池袋線東久留米駅から、それぞれバス約15分、バス停「平林寺」下車すぐ
開門時間:9:00〜16:30(最終入山時間は16:00)
閉門日:12月31日(終日閉門、拝観不可)
入山志納料(個人):大人(中学生以上)500円・こども(5歳以上)200円

2017年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

※見どころが豊富な平林寺ですが、元々は禅修行の専門道場です。修行の妨げとならないよう、公式サイトの「拝観のご案内」をよく読み、マナーを守って参拝しましょう。

※紅葉状況は、ページ下部リンクより新座市産業観光協会の提供する「平林寺・睡足軒の森紅葉情報」をご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/11/30 訪問

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