息をのむ程美しい回廊!加賀藩主菩提寺・高岡「瑞龍寺」

息をのむ程美しい回廊!加賀藩主菩提寺・高岡「瑞龍寺」

更新日:2013/11/11 16:22

Ise Shinkurouのプロフィール写真 Ise Shinkurou
加賀藩前田家と言えば加賀百万石・金沢市を思い浮かべる方も多いかと思いますが、二代藩主前田利長公の菩提寺「瑞龍寺」が高岡市にある事をご存じでしょうか。広い境内を包み込む回廊、規則的に並ぶ障子、白壁、古い梁等が創り出す景観は息をのむほどの素晴らしさです。一般の寺院とは少し趣の異なった雰囲気を持つ「瑞龍寺」を訪れ、日本独自の障子文化に触れる旅はいかがですか。きっとその素晴らしさに満足して頂けます。

息をのんで立ち止まってしまう素晴らしい景観

息をのんで立ち止まってしまう素晴らしい景観

提供元:高岡市観光ポータルサイト

http://www.takaoka.or.jp/d_cat/d_cat1地図を見る

加賀藩二代藩主・前田利長公は、藩主の座を引退した後、高岡でその生涯を終えました。加賀百万石を譲られた三代藩主・前田利常公が、兄である利長公の菩提を弔うため、生前兄が好んだ場所・高岡に建てたのが「瑞龍寺」。

建設当時、寺院の敷地は約3万6千坪、1643年から約20年の歳月をかけて建立されました。現在、縮小されながらも、その堂々とした佇まいで多くの参拝者の心を捉え続けています。それでは寺への入り口にあたる総門からご紹介します。


総門前にある受付で拝観料を支払っていると、皆さんなぜか総門の下で立ち止まって境内を眺めています。不思議に思いながら門を潜ると「わあ〜!凄い!」。目の前に広がる素晴らしい景観に、私も思わず足を止めて立ち止まってしまいました。

総門から山門へとまっすぐ一直線に続く参道、そして左右に置かれた白い玉砂利!遙か向こうには二つ目の門である「山門」(国宝)が!目に入る厳かな雰囲気の景観に圧倒され、しばらくはカメラのシャッターを押すのも忘れてしまう程。

広がる景色に目を奪われながら、二つ目の門へと足を進めます。歩くにつれて気持ちが引き締まり、江戸時代にタイムスリップ。まるで藩主の菩提を弔うために参拝する武士になったかのよう。

さらに足を進めると、美しい障子と白壁の「山門」が少しずつ近づいてきます。この立派な山門は1820年に再建された建物で、大きな楼(ろう)を持ち、楼内には釈迦如来等が祀られています。

あの奥にはどんな世界が広がっているのでしょうか。期待に胸を弾ませ山門をくぐります。

日本文化の粋と言える障子の美しさ!

日本文化の粋と言える障子の美しさ!

写真:Ise Shinkurou

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二番目の門にあたる山門をくぐると、目に飛び込むのは、今までとは雰囲気の異なった参道。通路の左右には緑の芝生が植えられ、法堂(国宝)を中心に左右に廻された回廊がはるか向こうまで続いています。こちらもやはり一度は立ち止まってため息をつく素晴らしさ!

規則的に並ぶ障子と白壁の白さが、緑の芝生に良く映え、歴史を感じさせる木造の建物がそれらをさらに浮き立てています。一体どこまで歩いて法堂へ?と思う程の距離感!外から見る障子がこれほど素晴らしいとは本当に驚きました。改めて障子文化の良さを再確認出来る風景です。

写真は法堂側から山門を写したものですが、是非その場を歩きながら味わって頂きたい風景。

そしてここからの境内の廻り方。回廊には数カ所の入り口があるのですが、真っ直ぐ「仏殿」へと足を進められると面白いかと思います。というのはこの「仏殿」の屋根は金沢城石川門でしか見る事の出来ない「鉛板」で葺かれていますので、こちらは是非ご覧になって頂きたい物の一つです。

また国宝指定の「仏殿」は禅宗の特徴をよく表した造りで、見ごたえのある素晴らしい彫刻が施されています。

それでは回廊の内部をご紹介します。

障子から差し込む柔らかい光!

障子から差し込む柔らかい光!

写真:Ise Shinkurou

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国の重要文化財に指定されている回廊は、庫裏(くり)、禅堂、法堂などを結び、正面の壁が見えないほど。

腰までの障子と白壁、そして並んだ障子から入る柔らかい日差し。回廊に入り込む日差しが、体全体を柔らかく包み、心の中まで入り込んできます。ここにも江戸の時間が流れているのでしょうか?回廊を歩いているだけで本当に心が癒されました。

そしてそれぞれ障子の裏側には木戸が!修行僧は毎朝この回廊を歩きながら一枚ずつ開けていくのでしょうか。想像するだけで気が遠くなってしまいますが、これも修行の一つなのですね。

では回廊の天井にぶら下げられた「魚(ぎょ)ほう」をご紹介します。

歴史を感じさせてくれる「魚ほう」

歴史を感じさせてくれる「魚ほう」

写真:Ise Shinkurou

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回廊で結ばれた棟の一つに国重要文化財の「大庫裏(くり)」と呼ばれる建物があります。修行僧の調理・配膳などに利用される建物です。

棟のほぼ全面が土壁で造られ、漆喰を塗って結露の防止や防火等の工夫されていますので、是非中を覗いて天井や壁にも目を向けてみて下さいね。昔の人の知恵を垣間見ることが出来ます。

そして庫裏の前にある回廊で、天井から下げられた「魚ほう」を見つけました。これは食事の時間を告げるもので、なぜ魚なのかと言えば、魚は夜も目を閉じることが無いので、不眠不休で修行に励むための象徴だそうです。真ん中のすり切れた跡は長い年月を感じますね。

またこちらの回廊は、外の明るさを少しでもたくさん取り入れるために、障子が上の段にも張られています。先ほどの回廊とは雰囲気の違った美しさを愉しめる場所です。

瑞龍寺

  拝観時間:午前9時〜午後4:30
  料金:  大人 500円

法堂、回廊をたっぷり楽しまれた後で、是非立ち寄って頂きたいお勧めの場所があります。それは禅堂の裏手にひっそりと建つ、県の重要文化財の「石廟」です。ここには前田利長・利家の石廟と並んで、なんと織田信長の分骨廟があります。北陸のこの地に織田信長の分骨廟があるなんて興味深いと思われませんか。

まとめ

高岡「瑞龍寺」は、加賀百万石の威勢を感じる素晴らしい菩提寺。白い玉砂利と緑の芝生を愉しみながら参道を歩けば、ここだけ特別の空気が流れ込んでいるのでは?と思える程の素晴らしい雰囲気を味わう事が出来ます。そして障子・白壁・木造の梁が作りだす美しい景観は、是非一度目にして頂きたい特別な美しさです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/04/24 訪問

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