岐阜・美江寺 異彩を放つ姿!三猿を連れた「青面金剛」

| 岐阜県

| 旅の専門家がお届けするオリジナル旅行ガイドメディア

岐阜・美江寺 異彩を放つ姿!三猿を連れた「青面金剛」

岐阜・美江寺 異彩を放つ姿!三猿を連れた「青面金剛」

更新日:2016/12/16 17:49

政田 マリのプロフィール写真 政田 マリ 仏像ナビゲーター

岐阜市の古刹「美江寺」はいにしえから観音菩薩の聖地として人々から厚い信仰を受けてきました。本堂の中央、秘仏である本尊の十一面観音菩薩は美仏として知られ、年に一度のご開帳時には多くの参拝者が訪れます。その本堂内陣右手前に異色の姿かたちを表す仏像が…!胸元にドクロ、足元に三猿、虎の皮を腰に巻き、蛇を体じゅうに巻きつけた勇ましいその仏像は「青面金剛」といい、人々を病気や災難から守ってくれます。

創建は1300年前!天平時代の美しい観音様が御本尊

創建は1300年前!天平時代の美しい観音様が御本尊

写真:政田 マリ

地図を見る

今からおよそ1300年前の718年、現在の三重県瑞穂市に創建された「美江寺」。美濃の地を度重なる水害が襲い、当時の元正天皇の勅願で伽藍が築かれました。その後、現在地へは稲葉山城(のちの岐阜城)を築城した斎藤道三により移されました。

創建は1300年前!天平時代の美しい観音様が御本尊

写真:政田 マリ

地図を見る

御本尊は十一面観音菩薩立像。もとは三重県名張市の伊賀寺に安置されていたと伝わり、その後美江寺に移されました。漆に木屑を混ぜたものを麻布と一緒に塗りかさね固める「脱活乾漆像」という造仏方法は、天平時代によく使われた技法。冠、胸元、腕など美しい装飾が表現され、表情は優しく、非常に女性らしい印象です。年に一度4月18日のみのご開帳で、この1日は多くの参拝者で賑わいます。それ以外の日は御本尊の代わりにお披露目になる御前立ち(おまえだち)の十一面観音像(画像)にお会いできます。端正なお顔立ちや薄衣を纏うなど、平安時代後期の特徴を表す木造の仏さまです。

蛇、髑髏、虎、女性!?をあしらった勇ましい青面金剛立像

蛇、髑髏、虎、女性!?をあしらった勇ましい青面金剛立像

写真:政田 マリ

地図を見る

その本堂の内陣右手前に小さなお厨子があります。薄暗い本堂の中で姿が目に飛び込んだ時にはハッと息を呑んでしまうほど勇ましい表情をしたその仏さまは「青面金剛」と言います。光背には炎を背負い、頭上に猿、腕や足には白蛇が絡まり、腰から虎皮、胸にドクロ3つという特異な姿の「青面金剛」は仏教を守護する帝釈天の使者とも、道教と密教など多宗教の思想から発展した仏とも伝えられ、庚申信仰の御本尊として病気平癒や四魔降伏に霊験あらたかと信仰を集めています。

蛇、髑髏、虎、女性!?をあしらった勇ましい青面金剛立像

写真:政田 マリ

地図を見る

6本の手にそれぞれ武器や法具を持ち、眉間にしわを寄せながら眉をグッと引き上げ、三つ目、口から牙、とその形相は恐ろしく、像高80cmながらどんな強大な邪悪パワーでもはね退けてしまうほとの凄まじいオーラを感じます。

蛇、髑髏、虎、女性!?をあしらった勇ましい青面金剛立像

写真:政田 マリ

地図を見る

この像の中で特に注目したいのが向かって右側の下に握られているお人形のようなもの、こちらはなんと!女性とのこと。髪の毛を握られて少々痛そうですが、合掌してひたむきに祈る姿は昔から弱い立場だった女性も青面金剛のパワーによって邪悪なものから救われることを表しているのでしょう。

足元にも注目!コミカルな表情の三猿を見逃さないで!

足元にも注目!コミカルな表情の三猿を見逃さないで!

写真:政田 マリ

頭上だけでなく足元にも猿がいます。「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿で、それぞれ目、耳、口を塞いでいるコミカルな姿。これは「青面金剛」を本尊として祀る庚申信仰(こうしんしんこう)につながります。

十干十二支(じっかんじゅうにし)と呼ばれる60通りある組み合わせの日の一つに「庚申の日」があります。庚申信仰とはこの日は身を慎んで過ごすという信仰。中国では道教の説でこの日は夜中に人間の体内に入る三尸(さんし)の虫が逃げ出し、その人の犯した罪を天帝に告げ口してしまうといい、虫が体内から逃げないように徹夜をして見張るという風習が広く浸透していました。ちなみに、天帝はその悪行の大きさにより寿命を縮めるのだそうです。

庚申の「申」からこの信仰の神使となったのが猿と言われています。この三猿のように、三尸の虫が自分の犯してしまった罪を見聞きしていない・天帝に告げ口をしないで欲しいという願望を表現したと言われています。

江戸時代に美江寺のあたりで流行した庚申信仰の本尊「青面金剛」

中国の道教の伝説「庚申信仰」が日本に入ってきたのが平安時代と言われています。室町時代から徐々に広まり、江戸時代には多くの人々に広まった民間信仰です。岐阜はとても熱心に信仰する方が多く、この美江寺付近にも講(サークル)を持って庚申の日には青面金剛にお参りする方が絶えなかったといいます。険しく顔や体にしっかり青の残る「青面」にキラリと光る三つの目には、人々が罪を悔い改め、これ以上邪念に押しつぶされないよう見守ってくれている熱いまなざしを持っているのです。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/09/10 訪問

- PR -

条件を指定して検索

トラベルjp<たびねす>

トップページへ戻る

トラベルjpで一緒に働きませんか? 旅行ガイド編集部では運用サポートスタッフを募集中です!

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ