鹿を寄せる魔法のホルン!奈良公園の鹿は名曲『田園』にウットリ?

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鹿を寄せる魔法のホルン!奈良公園の鹿は名曲『田園』にウットリ?

鹿を寄せる魔法のホルン!奈良公園の鹿は名曲『田園』にウットリ?

更新日:2016/11/18 13:52

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家

早朝の奈良公園に鳴り響くホルンの音色。メロディーは、偉大な天才作曲家ベートーヴェンの名曲『田園』です。すると、可愛い顔をむくりと向け、長い耳をぴくぴくさせ、森の奥から勢いよく走ってくるのが、奈良公園のシカ君たち。ど、ど、ど、どぉーー!野生のシカはベートーヴェンの名曲が好き?こんなことがあり得るのか?これは奈良公園の風物詩「鹿寄せ」。奈良の観光旅行で「鹿寄せ」を体験しませんか?シカ君たちよ集まれ!

早朝の奈良公園!鹿を呼ぶ魔法のホルン?

早朝の奈良公園!鹿を呼ぶ魔法のホルン?

写真:沢木 慎太郎

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早朝の清々しい奈良公園に行ってみよう!ホルンを持ったひとりの男性が突然、姿を現します。紺絣(こんがすり)のようなハッピを着て爽やかに登場すると、準備体操を始め、古めかしいホルンを手にふうっと息を吸い込み、演奏を始めます。のどかな奈良の大地に流れるメロディーは、あの天才作曲家ベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調……つまり、簡単に言えば『田園』です。

森の奥から、ど、ど、ど、どぉーー!ホルンの音色に誘われるシカ君たち

森の奥から、ど、ど、ど、どぉーー!ホルンの音色に誘われるシカ君たち

写真:沢木 慎太郎

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クラシックの名曲『田園』が流れると、森の奥から姿を現すのが、奈良のシカ君たち。ど、ど、ど、どぉーー!ホルンを吹き鳴らすお兄さんに向かって、勢いよく走ってきます。

これが奈良公園の風物詩「鹿寄せ」です。もともとは、明治25年(1892年)に、奈良公園のシカを保護する施設「鹿苑」(ろくえん)の完成式典でラッパを吹いたことが始まり。ナチュラルホルンが奏でるシンフォニーの音色に誘われて、シカ君たちが駆け寄ってくる姿は壮観です。眠そうな顔をしているシカや、朝からケンカしているシカも(おい、おい、君たち仲良くしろよ)。

多い時には100頭以上も集まってくるそう。ホルンを吹いているお兄さんは、「奈良の鹿愛護会」の方。「奈良の鹿愛護会」は、交通事故で傷ついたシカの保護や、古都・奈良の秋を彩るイベント「鹿寄せ」「鹿の角きり」といった伝統行事を継承している団体です。

たちまち、鹿、鹿、鹿!魔法のホルンは本物か!

たちまち、鹿、鹿、鹿!魔法のホルンは本物か!

写真:沢木 慎太郎

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ホルンが鳴り響くと、あっという間にまわりは鹿だらけ。魔法のホルンにただア然とするばかりです。この「鹿寄せ」、戦争中はなんと進軍ラッパを使っていました。戦争がひどくなり中断されましたが、昭和24年(1949年)に復活。進軍ラッパからナチュラルホルンに変わり、『田園』のメロディーが奏でられることになりました。

これは、「奈良の鹿愛護会」の会長さん(当時)で春日大社宮司だった方が「奈良の牧歌的なイメージと似合う」という理由で採用。ホルンは昭和24年に中古品であったものを購入し、以来、修理を重ねながら今日まで大切に使われています。

このナチュラルホルンというのは、ピストンがありません。つまり、手で音階を操作するのではなく、息の入れ方で音程を変えるため、たいへん高度なテクニックが必要なのです。演奏はたいへん難しく、吹奏楽の方から指導を受けたことも。現在では、極めて珍しいナチュラルホルン。このホルンがどこの国で生産されたのかは不明で、同タイプのナチュラルホルンは、クラシック本場のヨーロッパでも手に入らないそうです。

のんびり、のどかな奈良旅を楽しみましょう!

のんびり、のどかな奈良旅を楽しみましょう!

写真:沢木 慎太郎

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シカ君たちが、どうしてホルンの音色に誘われて集まってくるかというと、ドングリがもらえるのです。お兄さんがカゴに入ったドングリをまくと、シカ君たちはおいしそうにパクパク。とてものどかで平和な風景に、心がなごみます。「鹿寄せ」が行われているのは、春日大社に近い「飛火野」(とびひの)。春日大社といえば色鮮やかな朱色の社殿や、神秘的な万燈籠で知られる奈良の観光スポット。世界遺産に登録され、20年に1度の修理「式年造替(しきねんぞうたい)」を2016年11月に終えたばかりの神社です。

春日大社と飛火野には、深いゆかりがあります。茨城県の鹿島神宮から、白い鹿に乗って奈良に来られた神さまが、“剣の神”とされる「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」。この神様が、春日大社の主祭神です。奈良に降り立ったのが夜遅く、道明かりのために火を灯したことから、「春日野(飛火野)」の名がついたとの伝説も残っています。

早朝の奈良公園は観光客も少なく清々しい!気分もすっきり!奈良といえば「東大寺」「二月堂」「春日大社」「興福寺」「法隆寺」といった観光スポットが有名ですが、普段とは違った、のんびりした奈良の観光を楽しむことができます。

奈良のシカは神様の使い!いつまでも仲良くしてね。

奈良のシカは神様の使い!いつまでも仲良くしてね。

写真:沢木 慎太郎

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奈良公園のシカは約1500頭。交通事故や病気で死ぬシカも多く、「奈良の鹿愛護会」が保護に努めています。奈良のシカは、野生のシカです。人間とは仲良く共存していますが、好物のシカせんべいをいつまでも持っていると、早く食べさせろと言って頭突きしてくることもありますので注意しましょう。

奈良では、鹿は神様の使い。「奈良のシカ」の名前で国の天然記念物に指定されています。木漏れ日を浴びて、すくっと立つ鹿の姿は神々しくて美しく、宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」をどこかイメージさせます。人間と自然との共存。子鹿の澄み切った瞳をいつまでも間近で見られるよう、これからも仲良く暮らしていきたいですね。

「鹿寄せ」を見るためには?

最後に、「鹿寄せ」への参加についてご案内を。
「鹿寄せ」を実施しているのは一般財団法人「奈良の鹿愛護会」です。個人や団体で事前予約すれば参加することができますが、1回あたり2万円の有料(キャンセル料あり)。ただし、年末年始、子鹿公開(6月)や、角きり行事前後(10月上旬〜中旬ごろ)など実施不可能の期間もあります。

しかし、奈良市観光協会など公的機関が主催し、「奈良の鹿愛護会」に協力を呼びかけて行われる「鹿寄せ」があり、これは無料。夏など、年に数回行われています。
また、奈良市内組合に加盟している旅館やホテルに泊まれば、無料で参加できるキャンペーンも年に数回行っています。たとえば2016年12月1日(木)〜14日(水)午前10時から(ただし、11日除く)。

奈良の観光スポットや、鹿寄せの詳しい内容や詳しいことについては関連MEMOを張り付けておきましたので、「奈良の鹿愛護会」や奈良市観光協会などにお問い合わせください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2010/05/08−2016/11/13 訪問

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