京都の旧賀陽宮邸の門を移築して造られた、総欅造りの総門を入ると、目の前に広がるのは「賞心庭」と言う美しい庭園。「心」の字をかたどった苑池「心字池」を中心に、様々な種類の植物や石をバランスよく配置し、その1つ1つに意味を込め、庭園自体が禅の思想や世界観の表現となっています。
また、建築物も見応えがあります。受付のある社務所「松堂」は、縄文建築で知られる藤森照信氏設計の物で、屋根に松が植えられ、かなりのインパクト。更に、滋賀県大津市石山寺の国宝を模して造られた「多宝塔」、奈良県大和郡山市慈光院の書院を模して造られた「永照院」、高野山の不動堂を模して造られた「開山堂」、千利休が晩年に京都の聚楽屋敷に建てたといわれる茶室を再現した「一来亭」などなど、とにかく盛り沢山です。
心字池に沿って奥へと歩いて行くと、目の前に長い階段が現れます。その上にあるのが、この寺の本堂である「無名院」。本尊には浜田泰三作の弥勒菩薩像を安置され、院内には三百畳を超える本堂では寺の年中行事のみならず坐禅や写経など様々な自己の研鑽の場として利用する事が出来ます。
庭は、「無明の庭」「阿弥陀三尊の庭」「羅漢の庭」の3つから成る枯山水庭園で、こちらも美しい。
この寺のコレクションでもある白隠禅画墨蹟が展示されている「荘厳堂」も必見。神勝寺は、その墨蹟に特化したコレクションを1.500点も有し、中でも江戸中期の禅僧であった白隠慧鶴(はくいん えかく)の作品がたくさんあり、順次架け替えて展示するので、いつ行っても違うものを見る事が出来ます。
菩提心によって生み出された禅画墨蹟で、心が洗われる思いがするでしょう。
茶室など、休憩所もしっかりと設けてあるので、歩き疲れたら何処かに入って一服するのも良いでしょう。
中でもオススメなのが、五観堂の神勝寺うどん。臨済宗の修行僧(雲水)が、4と9の付く日にだけ食べることが許されるうどんで、雲水にとって一番のご馳走。その作法を教えて貰いながら頂くもので、3つの大きさの違う茶碗が用意され、左の一番大きなものには出汁、真ん中にはおかず、右にはたくあんを入れて頂きます。箸は太く長く、先を机の外に向けて置くなどの決まり事があり、最後は汁1つ残すことなく食べる合理的な食事法に思わず、ほほ〜〜っと感心してしまいます。
他ではなかなか出来ない体験、是非チャレンジしてみましょう。
この寺には浴室まであります。浴室は、修行道場に必須とされる七堂伽藍の1つで、本来は蒸し風呂が正式なもの。しかしこちらは、清らかな湯が滾々と木製の湯船を満たし、周囲の竹林の緑を映す美しい外湯となっています。まるで鏡のように木々が水面に反射する美しい景観風呂、思わず歓声があがります。たっぷりの湯に身を委ね、心と身体の垢を洗い流して疲れを癒せば、生まれ変わるような開放感を味わう事が出来るでしょう。
もう1つは岩風呂で、時間によって男湯と女湯が入れ替わります。入浴の際は、社務所に予め申し出ておき、料金は貸しタオル付きで800円です。
禅とは・・・静慮。精神を統一して真理を見通すこと。その言葉がまさにこの建物に集約されたと言っても過言じゃない、改修後の最大の目玉である、アートパビリオン「洸庭(こうてい)」。京都造形芸術大院教授で彫刻家の名和晃平氏の設計した、高さ10メートル全長46メートルの船形のこけらぶきの建物は、賞心庭から道路を挟んで反対側にある庭園の中で、一際異彩を放っています。
まるで空に浮かんでいるかのように見える、18本の柱に支えられた建物の内部は、深い闇に包まれ、わずかな光が波打つ水面を映し出すインスタレーション。微かな光を目で追い、それを知覚する事で全感覚的な体験が出来、それこそが、禅の教えに通ずると考えられています。
さて、貴方はここで何を感じる事が出来るでしょう。
最近は寺ガールや、御朱印ガールなどが流行っていますが、ここは新たな流行を発進する場になるに違いありません。写経の序でに入浴。座禅の帰りにアート鑑賞。茶礼に、うどんに・・・何だかワクワクしませんか。
そうそう境内には、一休という名のロバが居るので、ぜひ話し相手になってやって下さい。
しかし、アクセスは正直よくありません。福島駅からは車で25分ほど。バスもありますが、本数は限られています。そしてバス停からも歩いて15分ほど。周りにはコンビニはもちろん、お店らしきものも全く無し。それも修行と思うべきでしょうか(笑)。
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