足元まで真っ赤に染まる“もみじの永観堂”京都「禅林寺」

足元まで真っ赤に染まる“もみじの永観堂”京都「禅林寺」

更新日:2020/12/16 11:10

もみじの永観堂として名高い禅林寺は、平安時代より紅葉の名所として知られ、古今和歌集にも詠まれました。「おく山の、岩がき紅葉散りぬべし、照る日の光、見る時なくて」。この地にあった山荘を寄進した9世紀前半の文人・藤原関雄の歌です。境内には歌にある岩垣紅葉などが3000本あり、色鮮やかに染まります。見どころはもみじだけでなく、ご本尊「みかえり阿弥陀」や国宝「金銅蓮華文磬」、数々の襖絵など所蔵しています。

平安時代からの歴史ある永観堂

平安時代からの歴史ある永観堂
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永観堂は、左京区永観堂町にある浄土宗西山禅林派総本山で、正式名称は聖衆来迎山(しょうじゅらいごうさん)無量寿院(むりょうじゅいん)禅林寺。

863年に弘法大師の弟子真紹僧都(しんじょうそうず)が清和天皇から「禅林寺」の名を賜り創建。約200年あまりは真言密教の寺院でした。その後、禅林寺中興の祖 第七世永観律師(ようかんりっし)が寺に住し、念仏信仰をすすめました。また境内に、薬王院という施療院を建て、病人救済を行い、梅を育て「悲田梅」と名づけて実を分け与える等、慈善事業を行いました。その遺徳を慕う人々によって、永観堂(えいかんどう)と呼ばれるようになりました。

平安時代からの歴史ある永観堂

提供元:永観堂 禅林寺

http://www.eikando.or.jp/mobile_jp/index.html

毎年2月14日夜から15日朝にかけて、「みかえり念仏行道会」が開催されます。永観律師を慕って、夜を徹してご本尊のみかえり阿弥陀のまわりを念仏行道します。

平安時代からの歴史ある永観堂
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秋の寺宝展の時期には、同時にライトアップも行われます。毎年11月初旬から12月初旬の約1ヶ月間開催されます。詳細はホームページ等で確認してください。

期間中の夜にライトアップされた幻想的な紅葉を楽しめます。寺宝展は17時に閉門され、ライトアップされる夜の特別拝観は17時半から21時までです。週末や祝日には、雅楽の演奏も行われます。寒さに耐え、暗闇に照らされた紅葉を愛でるのもお薦めです。写真は紅葉のバックに浮かび上がって見える多宝塔です。

お堂をつなぐ回廊を進みます

お堂をつなぐ回廊を進みます
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中門の拝観券売場を通ると、右前方に諸堂入口の大玄関があります。こちらで靴を脱いで建物内に上がります。

古方丈には、重要文化財の「二十五菩薩来迎図」、瑞紫殿には、応仁の乱でも焼失せずに残った「火除けの阿弥陀如来像」、釈迦堂には、長谷川等伯の襖絵「竹虎図」や釈迦三尊像が描かれた「二河白道図」などの寺宝が展示され、秋の寺宝展で拝観できます。

お堂をつなぐ回廊を進みます
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お堂周りや回廊から、池を配した中庭に松や紅葉を望むことができます。釈迦堂の脇、市松模様に砂が盛られた先に、雲龍などの彫刻が施された立派な唐門があります。閉ざされた扉は天皇の勅使が出入りするときに使われたものです。現在は住職が亡くなった際にのみ使われています。

お堂をつなぐ回廊を進みます
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奥側にある御影堂・阿弥陀堂・開山堂を結ぶ回廊のうち、左へ折れた開山堂へ続く臥龍廊は、山の斜面に沿って造られた木製の階段状廊下です。龍が体をうねらせている中を歩くようになるため、この名があります。

臥龍廊そばには、水琴窟(すいきんくつ)があります。岩の中の空洞に、水滴が滴り落ちると、その反響音が琴の音のように美しく聞こえます。

最奥にある本堂阿弥陀堂は、1607年豊臣秀頼により、大坂の四天王寺の曼荼羅堂が移築されたもので京都府指定文化財です。阿弥陀堂には、ご本尊「みかえり阿弥陀如来」が祀られています。正面を向かずに、左斜め後ろに振り向いている姿です。1082年、永観が念仏を唱えて行道をしていると、阿弥陀如来像が須弥壇から降り、永観の先に立って念仏行道を始められた。思わず永観が驚いて立ち止まってしまうと左に振り返って「永観遅し」と発せられた。そのお姿を永くとどめるために、その時のお姿なのだそうです。

放生池に構える弁天社

放生池に構える弁天社
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お堂をひと回りした後は、外の庭園を歩きましょう。放生池を中心に東山を借景とした池泉回遊式庭園が広がります。放生池の弁天島に弁天社があり石橋で結ばれています。江戸時代の女流歌人・尼僧の大田垣蓮月(おおたがきれんげつ)の寄進により、1866年に建立されました。

放生池に構える弁天社
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放生池の周りに植えられている鮮やかな楓が、池の水面に映りこみ、絶景を楽しめます。また、鴨などの水鳥の姿も見ることができます。

放生池に構える弁天社
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石橋の前に、みかえり茶屋があり、赤い長椅子に座って庭園を眺めながら休憩ができます。

高台の多宝塔から、紅葉越しの京都の街並み

高台の多宝塔から、紅葉越しの京都の街並み

提供元:永観堂 禅林寺

http://www.eikando.or.jp/siki.html地図を見る

山の中腹に位置する多宝塔は、上が円形、下が方形の二重の塔です。その美しさは、永観堂の象徴的な姿として、境内の紅葉との遠景コラボ写真で、パンフレットなどにも登場します。御影堂手前の通路から、渡り廊下の下をくぐって、約140段の階段を上がった開山堂の先にあります。

高台の多宝塔から、紅葉越しの京都の街並み
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境内で一番高い位置にある多宝塔からは、京都の西側の街並みが一望できます。同じく紅葉名所の真如堂や、新選組ゆかりの地である金戒光明寺、平安神宮や京都御所、遠くには五山送り火の左大文字や鳥居形も確認できます。

高台の多宝塔から、紅葉越しの京都の街並み
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多宝塔へ至る参道からは、建物裏側にも写真のような光景が広がります。

まるで、真っ赤な絨毯を敷き詰めた庭園

まるで、真っ赤な絨毯を敷き詰めた庭園
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永観堂の紅葉で楽しみなのが落ち葉。庭園のあちこちで、鮮やかに色づいた落ち葉が足元に広がり、木々に残る紅葉とのグラデーションを楽しめます。

まるで、真っ赤な絨毯を敷き詰めた庭園
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微妙に変化するもみじやカエデの赤のグラデーションも見事ですが、これとは別に、放生池近くで、銀杏の黄金の絨毯に赤い紅葉が映える姿も素敵です。

まるで、真っ赤な絨毯を敷き詰めた庭園
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ライトアップ時間は、写真の灯籠と紅葉の微妙なグラデーション具合は見事です。立ち入りが制限される放生池周辺も撮影スポットとして人気です。また、阿弥陀堂へ続く階段は、すぐ近くで紅葉しており、紅葉バックのポートレート撮影に人気です。

おわりに

もうひとつの注目ポイントが「三鈷(さんこ)の松」です。通常の松葉は2本ですが、葉先が3本に分かれて、法具の三鈷杵(さんこしょ)に例えられ「三鈷の松」と呼びます。三鈷は「知恵」「慈悲」「まごころ」を表すとされ、この松を持っていると福を授かるといわれています。中門隣の売店に置かれているのでぜひいただきましょう(無料/松の古木は御影堂から臥龍廊へ向かう右側にあります)。

永観堂の周辺には、哲学の道から銀閣寺へも徒歩で行けます。また南には、南禅寺があり、同時に散策することも可能です。

住所:京都市左京区永観堂町48
電話番号:075-761-0007
アクセス:JR京都駅/京阪電車「三条」から市バス5系統で「南禅寺永観堂道」下車、徒歩3分
拝観時間:午前9時〜午後5時(受付は午後4時で終了)

関連MEMOに南禅寺界隈の、湯豆腐の名店「順正」や山形有朋の別荘だった「無鄰菴」の紹介記事を掲載していますので、ご参考にしてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/12/08−2020/11/22 訪問

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