JR尾道駅から徒歩で約25分、路線バスで約10分の場所にあるのが真言宗泉涌寺(せんゆうじ)派の大本山「浄土寺」です。国道2号線に面して大きな石柱が建立されています。こちらから階段を上がって、境内へと向かって行きましょう。
「浄土寺」は、616年(推古天皇24年)に聖徳太子(しょうとくたいし、574年〜622年)が開創したと伝わっています。「本堂」と「多宝塔」は国宝であり“国宝の寺”とも呼ばれています。また「山門」「阿弥陀堂」「露滴庵」といった建築を始め、仏像、絵画、文書、工芸品など国指定の重要文化財も数多く、「宝物館」も整っています。
JR山陽本線の線路の下を潜り抜けて、さらに階段を上がっていくと国指定重要文化財の「山門」が参拝者を迎えてくれます。南北朝時代(1333年〜1392年)に再建された「山門」には白い提灯が並び「十一面観世音菩薩」と書かれています。
「浄土寺」の本尊は秘仏とされる木造の「十一面観世音菩薩」で、もちろん国指定重要文化財。33年に1度の公開が行われ前回は2001年(平成13年)でした。2016年(平成28年)は開創1400年という事で特別の御開帳があり、次回は2034年の予定となっています。
“海の見える寺”とも呼ばれる「浄土寺」ですが、その理由は「山門」から振り返れば自ずと理解できます。目の前にはJR山陽本線の線路、その先には海と向島の景観が広がっています。
尾道は古くから海運業や造船業など海上交易の重要な拠点として栄えた地域。死と隣り合わせの海の仕事に携わる船主、船乗り、商人、住人たちは、神仏に対する信仰心も強かったと言われています。
「浄土寺」に関しても鎌倉時代末期に火災で消失しましたが、豪商たちの寄進により再興されたのです。
国宝に指定されている「多宝塔」は全国で六つありますが、その中の一つがこちらの「浄土寺」のもの。「多宝塔」とはインドにおける墳墓のスツーバ(卒塔婆)が起源と言われ、仏塔の種類の一つです。
「浄土寺」の「多宝塔」は高さ約20メートル。1329年(元徳元年)に建立され、中央には大日如来坐像、その両側には釈迦如来像と薬師如来像が安置されています。
鮮やかな朱色と各所の緩やかな曲線が背景の木々や空とのコントラストに映えて、非常に見事で魅力的な塔となっています。
「多宝塔」と「本堂」の間にあるのが「阿弥陀堂」です。こちらは国指定の重要文化財となっています。1345年(康永4年)に再建されたものと伝わっています。
横幅は約9メートル、奥行きは約7メートルの非常に壮観な和様建築。堂内には阿弥陀如来坐像、その左右には観音菩薩像と勢至菩薩(せいしぼさつ)像が安置されています。
また、本願寺の第8世、室町時代中期の浄土真宗の僧・蓮如(れんにょ、1415年〜1499年)が書いた“南無阿弥陀仏”という六字名号(みょうごう)も掲げられています。
「多宝塔」と「阿弥陀堂」と共に堂内は通常、未公開となっていますが「浄土寺」の「本堂」は拝観が可能となっており、名勝に指定された庭園や「露滴庵」も観賞できます。
足利尊氏(あしかが たかうじ、1305年〜1358年)ゆかりの絵画や文書、聖徳太子像などを蔵した「宝物館」もあるので、そちらも併せて巡ってみてはいかがでしょうか。
以上、“海の見える寺”、“国宝の寺”とも呼ばれる広島県尾道市にある「浄土寺」の御紹介でした。
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